FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

証券会社が破綻したら資産はどうなる? 1000万まで補償する日本投資者保護基金

投資によるリスクはいろいろありますが、その一つが証券会社の破綻リスクです。よく言いますよね、「貸株に出していると、証券会社が破綻したときに返ってこないからリスクがある」って。でも本当にそうでしょうか。改めて、破綻時にどうなるか、見ておきましょう。

そもそも証券会社は顧客の株を預かっていない

意外と知らない人もいるのですが、証券会社は顧客の株を預かっていません。楽天証券で株を買っても、その株は楽天証券にあるのではなく、ほふり(証券保管振替機構)と呼ばれる会社に電子的にあります。

 

ほふりは証券取引所や証券会社が出資してできたもので、日本で唯一の証券集中保管機関(CSD)だとされています。

 

ぼくが楽天証券を通じてトヨタ株をAさんから買ったら、ほふりのDB内でAさんのトヨタ株保有数が減り、ぼくのトヨタ株保有数が増加するという感じです。ほふり内では、証券会社ごとに口座が分かれているので、ぼくが楽天証券からSBI証券に株を移管したいときは、ほふりに株を移動する依頼を出すわけです。

 

そんなわけで、どの証券会社を使っても、そこは取引所に注文を取り次いでいるだけで、購入した株は証券会社には行かず、ほふりに保管されているというわけです。

これが分別管理という仕組みです。同様に、証券会社の預り金も、信託銀行に信託財産として保管されます。つまり、所有している株式も預り金も、証券会社が破綻しても安全だというわけです。

証券会社破綻の影響を受ける場合

とはいっても、すべての商品がこうなっているわけではありません。代表例が貸株です。貸株は保有している株を証券会社に貸し出し、証券会社は空売りをしたい人に貸し出して手数料を取ります。貸株の対価として金利に相当する感じの貸株料をもらえますが、このときにもし証券会社が破綻すると、分別管理されていないため、返ってこないリスクがあるわけです。

 

さらに証券会社が分別管理を適切に行なっていない場合もあります。要は不適切会計であり、さらにいうなら顧客資産の横領です。証券会社が破綻するようなときは「業績が悪くて赤字になって潰れました」なんてときではなく、厳しい状況を隠し続けて突然破綻となるはずで、先の山一證券の破綻劇を見ても、違法な何かに手を染めざるを得ない状況の可能性が高いといえるでしょう。

 

つまりは証券会社がちゃんと資産を分別管理しているか信頼できない状況です。こうなったらもうアウトなのでしょうか。

日本投資者保護基金

実は、こうした状況で、証券会社が破綻した場合でも、投資家資金を保護する仕組みがあります。日本投資者保護基金です。

万が一、何らかの事情で証券会社が破綻し、分別管理の義務に違反したことによって、お客さまの資産の返還が円滑に行われない場合には、返還できないお客さまの資産について、当基金がお客さま一人当たり上限1,000万円まで補償を行います。

jipf.or.jp

これは国内の証券会社が強制加入している基金で、これによりもし分別管理が適切に行われていなくても、一部は補償される仕組みです。

上限は1000万円。つまり、銀行のペイオフ制度のように、もしも証券会社が破綻して、その際に分別管理がちゃんとされていなくても、1000万円までは戻ってくるということです。少しでもリスクを減らしたい人は、1つの証券会社に預ける資産は1000万円以下にしておくといいかもしれません。

日本投資者保護基金の補償対象外となるもの

といっても日本投資者保護基金がすべての資産を補償してくれるわけではありません。まず対象として、機関投資家やプロ投資家は対象外です。あくまで個人投資家だけが対象です。また「仮名口座」での取引も対象外です。妻の口座だけど実質は自分が取引しているというな場合ですね。

 

さらに保護対象となる金融商品は、株式/債券/投信がメインです。デリバティブや先物、FXは対象外です。

また、あくまで証券会社が対象の補償なので、銀行に預けてある投信は対象外です。またペイオフは預金が対象なので、ペイオフでも投信は守られません。そういう意味でも銀行で有価証券を買うのは避けたほうがいいですね。

 

細かなところでは、信用取引の保証金も対象ですし、店頭取引ではなく取引所で取引しているオプションなら補償対象です。大阪取引所の日経225先物取引や日経225オプション取引とか、東京金融取引所の「くりっく株365取引」です。

 

ただし残念ながら貸株で預けた株は分別管理されず、日本投資者保護基金の補償対象にもなりません

まとめると

ということで、まとめると、次のようになります。

  • 金融商品は分別管理されていて、証券会社が破綻しても保護される
  • もし分別管理がされていなくても、株式や投信などのポピュラーな金融商品は、日本投資者保護基金が1000万円まで補償する
  • ただし、デリバティブ系とか貸株はいずれも対象外
  • 銀行に預けている投信も日本投資者保護基金の対象外

少なくとも、貸株以外はかなりリスクが小さいということがわかります。

 

証券会社や銀行の破綻の可能性をどれくらいリスクと考えるかはいろいろですが、優良銘柄のほとんどが貸株金利0.1%なのを考えると、「1000年に1度、その証券会社が破綻する」確率ということになります。いや、もっと破綻確率は大きいだろ、と思うならこの貸株金利で貸し出すことはリスクになりますね。

 

1億円分の株を貸株に出しても、0.1%なら年間で10万円。月間だと8333円。これをそこそこ大きいと考えるか、破綻リスクに比べて安いと考えるか。なかなか難しいものです。

 

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