FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

どうしてカスタマーセンターがなくならないんだろう?

昨日、ANA Payに登録しようとして必要事項を入力したら、「すでに登録があるので入会できません」と表示されました。あれ? そうだっけ。なら自分の会員ID=マイレージ番号を確認しようとおもって、「お客様番号をお忘れの方」というところから、名前と生年月日、メールアドレス、電話番号などを入力したら、「登録がありません」と。

 

こういうどうにもならない行き止まりのときには、コールセンターに電話するしかありません。案の定、コールセンターはナビダイヤルor03番号の組み合わせで、丁寧に「現在つながるまでに1時間程度の時間がかかります」と記載があります。

 

でもしかたありません。「03番号があるのでまだ良かった」と思いながら、Rakuten LINKでつながるのを数十分待ちました。オペレータさんが出てからは、名前と生年月日、電話番号、住所を伝えたら、「登録があります」と即答。カード再発行は1週間かかるそうなので、登録を破棄してもらい、新規登録をするようにしました。

 

はてさて。なんでこんなにユーザー体験が悪い仕組みができあがってしまうのでしょうか?

サポートに電話したくてしているわけではない

まず、世の中にはネットがうまく利用できず、とりあえず困ったら全部サポートに電話という人がいるのも事実でしょう。証券会社に電話すると、「お電話での株価照会はこちら」とか大真面目にメニューが表示されるのですから。

 

問題はぼくのような人です。ネットで解決しようとしていろいろ調べて、FAQとかSNSとかも検索して、どうにもならないからコールセンターに電話している。そして、案の定、コールセンターにつながると、簡単に解決してしまう。

 

これはどういうことか。

イレギュラーにどう対応するか

企業でサービスを作ったことのある人なら分かると思いますが、利用者が取り得る状況をすべて網羅して対応策を用意するのはかなり大変です。例えば、「退会」「パスワードを忘れた」「IDを忘れた」みたいな、必ず発生するトラブルへの対応方法は、システム側で用意します。

 

ところが、めったに起きないようなトラブルは、システム設計者が頭を悩ますことになりす。「この問題への対応をシステム化すると、◯人月の工数が必要だ。しかし、この問題は年間でも20人くらいしか起きないだろう。ならば、対応方法のマニュアルを用意して、コールセンターで対応させよう」

 

はい。システムを作るコストとコールセンターのオペレーションを天秤にかけると、イレギュラーな対応は全部コールセンターでやろうということになりがちなのです。

コールセンターを設けないGoogle

他方の極論は、コールセンターを用意せず、全部オンラインで対応しようとするものです。有名なところではGoogleがそうでした。いまは変わってきましたが、日本上陸のころのGoogleは、一切サポートセンターがなく、問題が起きても問い合わせはフォームからだけ。電話での応対窓口というのは一切用意していなかったのです。

 

この方法は一見わがままに見えて、実はサービス設計のほうをよほど工夫しないと大変なことになります。イレギュラーをコールセンターで吸収できないからです。

企業が取り得る選択肢

少なくとも、現在はシステム側でなんとかできるようなものでも、安易にサポートセンターに投げすぎでしょう。最たる例が、Apple Payにカードを登録する際の本人確認です。

 

こちら、Appleの仕様で、ある条件を満たすと、必ずイシュアに電話で本人確認を求められるようになったようです。ほんとこれは酷い。イシュア側も、この想定をあまりしておらず、電話をかけても人が出なかったり、ナビダイヤルオンリーだったりと、意思疎通がちゃんと取れていない感じがあります。

 

そんな中で、企業にはいくつかの選択肢があります。

  1. オペレータの人員を増強する
  2. ネット対応を基本とし、オペレータはイレギュラーだけに対応する
  3. ユーザーを延々と待たせる

昔のサービスは(1)の状況でした。電話すればすぐにオペレータが出たのです。ところがコロナ禍を堺に全くオペレータに繋がらくなりました。コロナ禍が明けても、いまだにつながりません。

 

おそらく多くの企業が(2)を目指したのでしょう。そのために、AIチャットボットを導入し、FAQを調べないユーザーにもテンプレ内容なら回答を返せるようにしました。FAQなども充実させました。でも、結局はWebで得られるのは情報だけで、具体的な手続きは行えないままです。例えばアカウントがロックされたときは、Webでは解除できる仕組みは設けておらず、結局のところオペレータに繋がざるを得ないのでした。

 

オペレータの効率アップのために、事前の案件仕分けのためにナビダイヤルを導入し、ナビダイヤルの入力指示ルーティングガイダンスを設けました。ナビダイヤルは、こうした仕組みが充実していて、だからサポートセンターに多く導入されているのです。

 

というわけで、いろいろ工夫はしたものの、起こったのはオペレータのパンク。ユーザーは10分、20分どころか1時間近く待つことになるのです。

経営の問題

はっきりいって、これは経営のミスだとぼくは思っています。人員リソースの配置ミスです。というのは、コールセンターが全然つながらないときに、店舗に電話するとすぐに繋がって、しかも即対応してもらえることが多々あるからです。

 

店舗に暇な人員がいるなら、それをコールセンターに回そうよ。。。ほんとに何度そう思ったことか。そして何より、ちゃんとシステムに投資して、イレギュラーを全部人員で対応する思想を止めてほしい。

 

そもそも「DX」とか言っている時点で、一周遅れなのです。現代のビジネスはスマホとオンラインを前提に設計すべきで、店舗と人間が対応しているプロセスをデジタル化しようなんて考えている時点でダメなのです。まぁ既存のビジネスプロセスと顧客がいるがゆえに、そうそう変われないのは分かります。でもその先にあるのはジリ貧だということに、そろそろ気づいてほしいものです。

 

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