FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

AIブームでNVIDIA爆上げ 強さの秘密はCUDAにあり

NVIDIAの株価がすごいことになっています。いきなり時価総額27%アップ。つまり株価が1夜で27%アップです。5月24日の会社からのアナウンスで、翌期の売り上げがアナリスト予想の1.5倍となったことが好感されました。

 

ここまで上がるとアレなのですが、さてNVIDIAの強さは続くのでしょうか?

NVIDIA株価27%アップ

5月24日発表によると、NVIDIAのQ1(2-4月)の売り上げは7.19Bドル。これはアナリスト予想の6.52Bドルを上回りました。しかし株価に影響を与えたのは、Q2(5-7月)の売り上げ予想です。こちらは予想の7.18Bドルを大きく上回る11Bドルでした。

 

グラフにすると次のようになります。赤いところが予想への上方上積み分です。実に売り上げで35%増。これが株価が27%アップした要因というわけです。

株価27%アップといっても、NVIDIAの時価総額は750Bドル規模。これが220Bドル増加して、963Bドルに達したわけです。

結果、NVIDIAは全米企業全体の時価総額で5位に踊りました。あと少しで1兆ドル企業の仲間入りというわけです。

次に来るAI銘柄は?

では次に来るAI銘柄は何か? それはこちらのTweetで引用されたモルガン・スタンレーのチャートが参考になります。

これが何を意味しているか。モバイルインターネット勃興のときに、どんな順番で株価が上昇したかを示しています。まず最初に上昇したのは半導体でした。QualcommやARMです。まさにこれが今のAIブームでNVIDIAに起きたことです。

次に約2年後、上昇したのが端末関連企業でした。SamsungやAppleです。そこから数年後、一気に伸びたのがソフトウェアとサービス企業です。

ただし、昨今の市場変化速度はモバイル・インターネットの当時よりもずっと速くなっています。半導体と合わせて、サービスも一気に勃興しています。つまり、2年も待たずして、AIを活用して破壊的イノベーションを実現した企業の株価が暴騰する可能性があるということです。

NVIDIAの強さは続くか? CUDA

しかし気になるのは、NVIDIAの強さがどこにあるか、果たしてこの強さは続くのか? です。まずAIブームでNVIDIAの株が買われるのは、AIの学習にも推論にも膨大な演算が必要で、そこにはIntelやArmが強いCPUではなく、NVIDIAのGPUが使われるからです。

 

初期のGPUはほぼ3Dゲーム専用で、NVIDIA創業当時は「GeForce 256」などを提供していました。NVIDIAはこのチップに初めてGPUという名前を付けたのです。ちなみに、その前は「RIVA シリーズ」などで、ATI(後にAMDに買収)のRAGEやVoodooなどと争っていました。懐かしい。

 

その後GPUは、GPGPU(汎用計算GPU:General Purpose computing with Graphic Processing Unit)に移行し、3Dレンダリング以外のさまざまな用途に使われるようになります。このGPGPUを扱うために、NVIDIAが2007年に開発した並列計算アーキテクチャとプログラミングモデルがCUDA(クーダ:Compute Unified Device Architecture)です。

CUDAはC、C++、Pythonなどの一般的なプログラミング言語をベースに、GPU上での計算を行うための専用のAPIとライブラリを提供します。CUDAを使うことで、大量のデータを同時に処理する能力を持つGPUを活用して、CPUでは効率的に行えない大規模で並列な計算タスクを処理することを可能にします。このため、機械学習、画像処理、物理シミュレーション、さらには深層学習などの領域で広く利用されています。

 

実際、AI周りではCUDAがデファクトスタンダードで、例えばディープラーニングのフレームワークのほとんどはCUDAを前提に作られています。実はこれがNVIDIAの強さの1つです。なぜならCUDAはNVIDIA専用で、他社のGPUではCUDAは動かないからです。CUDAに相当するオープンな規格、OpenCL(Open Computing Language)もありますが、特にAI関連ではCUDAほど活用されていません。

 

GPU製造だけでなく、その開発環境であるCUDAを押さえていることがNVIDIAの強さだといえます。

AI専用チップ GAFAも参入

とはいえ、GPUはやはりGPUです。汎用の並列計算ユニットです。ここに競合はAI専用チップを開発して参入しています。

 

代表的なのはGoogleの「TPU(Tensor Processing Unit)」でしょう。ディープラーニング向けに開発されたこのチップはAlphaGoで利用されたことで有名になりました。汎用プロセッサは32ビット演算をしますが、TPUは8〜16ビットをベースとします。推論用ならば高精度な32ビットは不要という考えによるもの。これによりAI専用のチップが実現しました。

 

Metaも5月26日にAI処理に特化した「Meta Training and Inference Accelerator(MTIA)」を発表しています。

これからAI専用チップが大きな注目を浴びるでしょう。その方向性は、大きく3つあると言われています。下記のとおり、(1)GPUなど既存チップ進化型 (2)TPUなど第一世代AIチップ、 (3)脳型チップなど第2世代AIチップです。

第2回:AIチップを巡って競い合う巨人たち (1/4) | 連載02 あらゆるモノに知性を組み込むAIチップ | Telescope Magazine

Intelも学習領域のチップを開発していますし、Teslaも自動運転用にAIチップを開発しています。もちろんMicrosoftもLLMトレーニング用にAIチップ「Athena」を開発しています。さらにSun Microsystems出身メンバーが立ち上げたスタートアップSambaNovaなども、独自チップを開発しています。各社はNVIDIA依存から自社チップ開発に進んでいるわけです。

 

もっとも、NVIDIAもAI向け需要に対してガンガン開発を進めています。サービス競争とはまた別に、半導体競争も始まっているわけです。

 

とはいえ、開発環境を含めたエコシステムは、そうそう新しいものに乗り換えられるものではありません。Intelのx86アーキテクチャは、Intel自身が何度も新しいアーキテクチャへの移行を試みたものの、ことごとく失敗。最終的には、競合のAMDがx86を拡張したものを逆輸入までして、今でもx86アーキテクチャは生き残っています。

 

NVIDIAのCUDAが、これからもAI開発におけるメインストリームである可能性も高いかなと思っています。

 

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