FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

株主優待の電子化は是か非か

本日、AOKIホールディングスから株主優待が届いたのですが、驚きました。紙の優待券から電子チケットに変更になっていたのです。

たしかにWebサイトを見に行ったら、下記のように書いてあるんですね。

なお、2024年6月より、紙の御優待券から専用サイトへアクセスしていただく電子チケット方式に変更させていただきました。

株主の皆様へお送りしております「株主御優待制度のご案内」で詳細をご確認のうえ、ご利用くださいますようお願い申しあげます。

株主優待 | 株式情報 | 株主・投資家情報 | 株式会社AOKIホールディングス

企業側が電子化する狙い

最近、株主優待券を電子化するところが相次いでいます。

 

 

企業側が株主優待券を電子化する狙いはいくつか考えられます。

 

まずは偽造防止。商品券もそうですが一企業が金券を作る場合、その価値が高まると偽造インセンティブが生まれます。店頭での確認も一苦労なので、であれば電子化しようというのはよく分かるものですね。

 

業務の効率化も理由です。上場企業が運営するチェーン店ではほとんどがコード決済に対応しています。となればPOSレジでスマホ画面に表示された電子チケットを読み取ることも容易で、紙の優待券を利用するよりも管理が簡単になります。

 

ペーパーレスを進めるという観点もあります。SDGsの昨今、電子化することで紙の利用が減ります。ついでに、オンラインショップを持っている企業ならば、リアル店舗でもECでも使えるようになるというメリットもありますね。

 

株主にとって利便性も上がります。株主の多くはシニア層ですが「スマホなんて使えない」という人は相当減りました。紙の優待券を持ち歩くよりも、スマホの中に入っていたほうが便利です。

電子化のデメリット

その一方で、不便なところもあります。一つは譲渡の難しさです。親にあげたり子供にあげたりすることはけっこうあるのですが、これはかなり難しくなります。

 

紙の優待券ならば、それ自体を渡せば譲渡できますが、電子化されたら渡すことは基本できません。電子化といっても、現状はIDやパスワードが紙に印刷された形で送られてきて、それをスマホに入れて電子チケットとして使う形なので、最初の紙を渡せば譲渡は可能ですが、容易とは言い難いですね。

 

優待をチケットショップやフリマアプリで売却することも難しくなります。これは、企業側からするとメリットだともいえるかもしれません。「譲渡禁止」をうたっている会社も多いからです。もっとも株主が受け取ったものを譲渡するのは自由であり、企業側が「譲渡禁止」と書いていてもそれが法律で規制されることはありません。あくまで企業からのお願いにすぎないということです。だからフリマアプリでも、「譲渡禁止と書いてあるから」という理由で出品を規制することはないのです。

 

ではなぜ企業が「譲渡禁止」をうたうかというと、いくつかの理由があります。

 

一つは対象顧客の限定です。企業が優待券を提供する主な目的の一つは、特定の顧客群、例えば株主や長期顧客など、特定の関係を持つ人々に感謝を示すことです。譲渡禁止とすることで、これらの特別な優待が意図した対象者にのみ利用されるように制限する狙いです。つまり転売目的の人に株式を持ってもらいたくないという意図です。

 

2つ目は不正防止です。これはコンサートなどのチケットと同じだと考えればわかりやすいですね。株主優待はお金で売買できるものではなく、特別な権利だと考えられ、転売による価格のつり上げを避けるなどの狙いがありそうです。

トークン化で譲渡可能な電子化も可能

電子化された株主優待を、サーバ上のデータとしてではなく、ブロックチェーンに記録されたトークン、要するにNFTなどにすることで、匿名のまま譲渡可能にする技術も登場しています。

 

これによって、偽造を防止しながらペーパーレス、効率化も実現でき、さらに譲渡も可能になります。ただ、上記のように発行側は譲渡ができるよりも譲渡を禁止したいというところが多いようで、トークン化のニーズはあまりないようです。

 

そんなわけで今後もますます電子化は進むでしょう。これは長期保有者限定縛りが付くのと同じような、趨勢じゃないかと思っています。

 

www.kuzyofire.com

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