日銀が追加の利上げを決めました。3月にマイナス金利を解除し、今回はリーマンショック前の水準となる0.25%まで政策金利を引き上げます。合わせて、日銀が買い入れる国債も減額します。いずれも引き締め方向の施策で、景気や為替への影響が懸念されます。
利上げ、0.25%に
ついに日銀が利上げです。7月31日の会合で、従来の0-0.1%程度から、0.2%に政策金利を引き上げることを決めました。エコノミストへの調査では今会合での引き上げ予想は少なかったのですが、ひっくり返されたかっこうです。
もっとも、今日に至るまでに政治家の発言や意図的な特定メディアへのリークも相次ぎ、市場はほぼ利上げを織り込んでいました。発表直後は乱高下もありましたが、すぐに元のレンジに戻りました。現在、ドル円は152.85円の水準です。
国債買い入れも減額、海外に販売へ
併せて、日銀の国債買い入れも減額します。日銀は国債発行の最大の受け入れ先で、発行済日本国債の、実に47.4%を日銀が保有している形です。現在、月に6兆円を新たに買い入れていますが、これを3兆円に減らしていきます。四半期ごとに4000億円ずつ減額し、約1.5年かけて半減させる計画になります。
これまで発行されたきた国債は、その多くが国内で受け入れられていました。しかしその実態は日銀が買っていたわけで、日銀が購入を減らすと、銀行や生保ではそれをすべて吸収することは難しくなっています。そのため、海外投資家に買ってもらうため、複数の証券会社が海外投資家の開拓を進めるといいます。
ただ日本国債は米国債などに比べて利回りが低く、長期債で1%程度。さらに債務残高はGDPの2倍を越えていて、格付けも米国やドイツよりも低くなっています。魅力体な投資先かというと、そうでもありません。しかも円建ての発行なので、為替リスクも抱えるわけで、海外投資家が関心を向けてくれるかはハードルが高そうです。
さらに円高に振れるか?
この1ヶ月間、160円を越えていたドル円は、一気に10円ほど円高に進みました。当初から言われていたとおり、米国は利下げの可能性が高く、日本の利上げの可能性が高い。となれば、円安に進んでいた為替の構造は逆回転し、円高に巻き戻るからです。
まぁ直近1年のドル円の動きを見ると、年初に一時140円まで行ってから、7月の160円越えまで、とにかくこの半年は円安が進んだ年でした。
今晩は、米国FOMCもあります。7月会合での利下げはないというのがもっぱらの予想ですが、次の9月の利下げは市場は織り込んでいます。金利差増大→円安というトレンドは、今回の日銀利上げと米国利下げで一気に逆回転へ向かうのか。今晩のFOMCにも注目です。