日経平均の下げがすごいですね。8月6日朝の株価は3万1458円。下げ幅では過去最大なんて言われています。どんな状況かをまとめ、今後の行方を占います。
年初来マイナス突入の日経平均
7月には4万2000円を越えて過去最高値を更新した日経平均なわけですが、そこからの下げは急でした。日銀の利上げ発表と時を同じくして(きっかけではあるのでしょうが、原因とは言い難いかも)急落。高値から早くも1万円以上下落です。
年初は3万3000円あたりからのスタートでしたから、もうこの時点で年初からの上げ幅を全部失って、マイナスに突入しています。
原因はいくつか言われていますが、その一つは為替。ドル円は7月10日に161円をつけていましたが、そこから段階的に円高に進み、現在は145.7円まで円が買われました。日銀が利上げを発表したのは7月31日、その数日前から各メディアにリークという名の情報漏洩を繰り返していたせいで、ジリジリと円高になっていたわけですが、為替もこの1ヶ月で15円うごいたことになります。
もっとも、為替だけが日経平均ショックの原因ではありません。2つを並べてみると、なんだかんだいって、為替はまだ年初のレートに戻ったところ。
年間チャートで見ると昨年末も為替は円高に振れましたが、株価は逆に上がっていたんですよね。
何が今回の日経平均急落の原因?
では、いったい何が今回の日経平均急落なのでしょうか。そもそも株価が動いたことに何かしら理由を見つけて語るのはしょーもないことなのですが、人間は原因を求めたがる生き物です。また、要因を分解することで、次回どうようなことが起きたときの参考になるかもしれません。
メディアなどで語られている原因を並べると、大きく「急速な円高」と「米国経済の後退懸念」です
- 急速な円高
- 日銀の0.25%利上げ
- 米国経済の後退懸念
- 失業保険件数が11ヶ月ぶり高水準
- ISM7月製造業景況指数も低水準
- 7月個要統計の伸びが鈍化
- 失業率は4.3%まで上昇
一方で、懸念されたISM非製造業景況指数はそこまでの悪化を示しておらず、下落は一息つくかもしれません。
パニック売り?
面白いのは、今回の日経平均急落に対して、明確なストーリーをもって説明しているエコノミストは稀で、ぼくが見る限り「パニック売り」「売られすぎ」というコメントが多いことでしょうか。
ブルームバーグはテクニカル分析ベースで「売られ過ぎは災害レベル」と書いています。
加熱した相場では、信用買いなどでポジションを取っている投資家も多いわけですが、そんなときに株価が急落すると追証が発生し、ポジションを手仕舞って損切り売りする必要が出てきます。すると、それがさらに下落を呼ぶというポジティブスパイラルに突入するわけです。
ともあれ新NISAで初めて投資に参入した人にとっては、夜も眠れなくなるレベルの下落かもしれませんね。日本株メインなら含み損に突入している可能性はけっこうありますし、海外株でも無傷ではありませんから。
三井住友DSアセットの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「投資経験の浅い人たちは、このような大きな下落を経験したことがなく、ショックはかなり大きいかもしれない」と言う。
ちなみに、下記はS&P500のドル建てチャート。まだ年初来からはプラスですが、5月からの上げを全部失った感じでしょうか。
ぼくはこういうときは、自分のポートフォリオをチェックするのはやめるようにしています。チェックしても別にいいことないですし、あくまで長期投資家ですから。そして、こんなときのためにたくさん買っておいた米超長期国債がいい仕事をしているはずです(見てないからあまりわからない)。
個人的な予想と思いを書けば、
- 日本株の下げは行き過ぎ。リバウンドする
- 円高も行き過ぎ。落ち着けばジリジリと円安に
- ハイテクAI銘柄のストーリーは変わっていない
- FRBの利下げは確定的
- 日銀は次回の利上げは政治的に厳しそう
- 大統領選挙と総裁選が秋に控える。大きな経済対策が飛び出しそう
という感じです。良い投資を!
※これを書いている間に場が開いて、(タイミングは分かりませんでしたが)予想通りリバウンドしたようです。