金融教育が重要なんて言われる昨今ですが、それが株式の疑似トレード体験ならやらないほうがマシだと思っている九条です。では、お前はどんな金融教育が大事だと考えているんだ? と聞かれたら「お金のすべては大体モノポリーが教えてくれた」と答えます。
モノポリー日本選手権(の予選)に行ってきた
今日はモノポリー日本選手権(の予選)大会に行ってきました。総勢100名程度が3ゲームして、成績上位2名が日本選手権に出場できるというものです。日本選手権での優勝者は、4年に一度の世界選手権(次期開催は未定。。。)に出られます。過去、百田さん、岡田さんが世界選手権で優勝しており、由緒ある大会なわけです。
実は何度目かの出場なのですが、今回も敢え無く敗退。3回戦ともに破産と相成りました。
第一回戦は、オレンジ揃えてホテルまで建てるも、破産!マジか!
— セミリタイア九条 🌐📈☀ (@kuzyofire) 2024年8月18日
小学校3年生のお嬢さんがモノポリー勝ちでした https://t.co/SucD7qSaEP pic.twitter.com/RenkaAXQ3C
第3戦
— セミリタイア九条 🌐📈☀ (@kuzyofire) 2024年8月18日
先行してライトパープル4軒づつ建てるも、ボードウォーク3軒に入って準破産🤣🤣
小学4年生のお坊ちゃんは強かった https://t.co/hp1vGTF3V9 pic.twitter.com/5xEdeBOFuH
実は第2戦で戦った小学校2年生のお嬢さんが、見事関東地区代表の一人(本大会での2名/100名)に選ばれました。第1戦で戦った小学校3年制のお嬢さんは前回の関東地区代表だし、なんというか若者の強さがみなぎる感じです。ぼくも勝ちたかった……。
モノポリーで何が学べるか
さてではモノポリーのどこが金融教育になるのかという話です。まずまず根本として、モノポリーはお金を増やすゲームです。実はお金の増やし方には2通りあります。
- ボードを一周するともらえる給料200ドル
- 土地を集めて建物を建てて、顧客からもらえる収入
(2)のほうは土地の種類や投資状態によって、2ドル〜一撃2000ドルまで幅があります。そして、いくら(1)で頑張っても結局(2)の事業を伸ばしている人に負けてしまうのです。この2つ、いろいろ暗示してませんか?
日常生活でのお金の知識としてとても重要なのは、借金です。モノポリーではお金が必要になったときに、下記のようなルールでお金を借りられます。
- 土地を担保にして
- 銀行から借りられる
- 返済には10%の利子がかかる
基本的に担保がなければ銀行はお金を貸してくれません。無担保ローンのほうが例外で、借金というのは担保が必要なものなのです。そして借りると利子がかかります。簡単に借りると大変なことになるというのが、まぁ少しだけ分かります。
とはいっても、必要なときには借金は必要なのです。サラリーマンや株式投資家の人は借金を嫌う人が多いと思いますが、事業をやっている人で借金を毛嫌いする人は稀です。事業にとって、借金は基本的な財務アクションだからです。
モノポリーはこれを学ぶことができます。まず事業を拡大するにはキャッシュ(現金)が必要です。キャッシュがあれば一気に事業を拡大できるし、苦しんでいる人から安く土地を譲ってもらうこともできます。不慮の事態が起きても、キャッシュがあれば生き延びられます。キャッシュは王様なのです。
そして土地など担保に入れられるものがあれば、銀行からキャッシュは調達できます。今が攻め時だ!と思ったら、可能な限り借り入れを行い、一気に投資する。これはどんな事業でも共通だと思うのですが、それが最もプリミティブな形で表現されているのがモノポリーでしょう。
交渉とは何か
ビジネス上の交渉を体験する機会というのは意外と少なくて、学生生活ではほとんど機会がないでしょう。働き始めても、意外と交渉する機会は少ない人が多いのではないかと思います。
ビジネス上の交渉とは、
- あるモノに値段をつけて相手から購入したり売却したりするもの
になります。この「適切な値段」を見つけるのは非常に難しくて、しかもこの値段は誰にとっても同じではないのです。相手にとっては二束三文の価値で、自分にとっては非常に高い価値がある、または逆。こういうものをうまく見つけて、相手と折り合える価格探る。
バリュエーションは金融の一大分野なわけですが、モノポリーのプレイヤーは「この土地を買えれば、これだけ投資できて、するとお客一人あたり◯◯ドルの収入がある。4人が一周する間に停まる確率はこのくらいで、ゲーム終了までに◯周あるから、期待値はこのくらい。ならば◯円で買ったら儲かる」みたいなことを瞬時にはじき出すわけです。
そして交渉によって取引が行われると、自分の資産の価値も上がりますが、相手の資産の価値も上がります。つまりWin-Winなのです。そして交渉をしていない残りのメンバーに対して優位に立てるのです。
ドラマとかを見ていると、交渉というのは「いかに相手を騙すか」とか「弱みにつけ込んだり、足元を見たり」というようなイメージをもつ場合が多いのですが、実は交渉がまとまるというのは双方にとってメリットがあることなのです。モノポリーをやっているとこれが実感できるため、どこかで交渉がまとめると、他のプレイヤーも遅ればしと交渉を始める光景が見られます。交渉に参加できなかったら、ほかから一周遅れになってしまうのです。
マネーサプライを肌で感じる
実は経済情勢というかマネーサプライが及ぼす影響も、モノポリーは肌で感じることができます。モノポリーには、8種類の土地があるのですが、安い土地は投資金額も低くて済むものの、得られるリターンも上限が低くなります。高い土地は投資金額が大きくなるのですが、得られるリターンはどんどん大きくなり、一撃で相手を破産させられる規模まで拡大できます。
では8種類の土地のうち、どこを経営すべきか? 一般的には止まる確率の高いオレンジが最強と言われていますが、そういう土地にはプレミアムがついて、集めるのにより高いコストがかかるようになります。一方でグリーンは投資コストが大きく、投資に対するリターンの比率が上がりにくい。そのため敬遠されがちというのがベースの知識です。
ところがプレイヤーの人数が多いとか、ゲームの展開が遅くて全員の手持ちのキャッシュが積み上がっていくとか、今回の大会ルールのように初期権利書をランダムで2枚配布(支払いなし)というようなルールだと、市場全体に流通するキャッシュ、マネーサプライ的なものが大きくなるんですね。
すると高額な土地が経営しやすくなり、相場感が変わってきます。ぼくの中では、イエローやグリーンは勝ち切るのが結構難しい土地だというイメージだったのですが、今回の3戦ではかなり活躍していました。お金が市場に豊富にあることをイメージできるんですね。