保険料控除だけを狙えるニッセイの「ちょこつみ」。新発売になったこの保険をさらに活用するにはどうしたらいいか、ニッセイに聞いてみたのでまとめるとともに、その投資効率を計算してみました。
ニッセイちょこつみの概要
ニッセイの新商品ちょこつみは、保険機能はほぼゼロで定期預金のようなものだけど、保険料控除という仕組みを使って税金を減らすことができる商品です。所得税の控除額上限は、保険料8万円超で4万円。住民税は5.6万円超で2.8万円。これに税率を掛けた分の税金を節約することができます。
ちょこつみを月額6000円/8000円で掛ける裏技
所得税の控除額上限は、保険料8万円超で4万円です。そのため生命保険料控除を最大限活用するなら、8万円ピッタリになるのが最良となります。
ところが、ちょこつみで選べる保険料は次の通り。
- 3000円 年額3万6000円
- 5000円 年額6万円
- 1万円 年額12万円
- 2万円 年額24万円
- 3万円 年額36万円
月額3000円、5000円だとマックスにちょっと足りず、1万円だとオーバーしてしまいます。8万円ぴったりにするには6667円がいいのですが、そんな都合のいいメニューはありません。
ところがここに裏技があります。実は生命保険料控除というのは契約者が対象になるのではなく、支払った人が対象になるのです。
つまり、夫と妻でちょこつみに契約して、夫が両方の保険料を払ったら、合計額が夫の生命保険料控除の対象となります。またちょこつみの被保険者は0歳からOKなので、子どもが入り親が生命保険料控除を受けるという手もあります。下記のような組み合わせを作れば、最適額に近い控除額となるわけです*1。
- 夫:3000円 妻:3000円 → 合計6000円 年間7万2000円
- 夫:5000円 妻:3000円 → 合計8000円 年間9万6000円
なお気をつけなくてはならないのは年齢制限です。ちょこつみは0歳〜49歳という年齢制限がありますが、これは被保険者だけでなく契約者も対象になります。つまり上記のパターンでいえば、妻、夫、子どもともにこの範囲にある必要があるのが基本です。
ただここにも裏技はあって、例えば子どもが被保険者で契約者となりちょこつみに加入します。保険料は子どもの銀行口座やカードから支払います。ただし、その金額は親が負担している――という形にすれば、親の生命保険料控除の対象になるということでした。
この場合、親の年齢は不問です。そのため49歳を超えている場合でも、子どもを被保険者・契約者とすることで生命保険料控除用途に活用することができます。
実のところ節税額はどれくらいか
ちょこつみは保険といっても加入の主目的は保険料控除です。でも保険料控除の効果、リターンは実のところどれくらいなのでしょうか。生命保険料控除は保険料によって変わってくるのですが上限があって、計算式は下記のようになります。
- 保険料年間2万円以下 全額控除
- 〜4万円 保険料/2+1万円
- 〜8万円 保険料/4+2万円
- 8万円超 一律4万円
住民税のほうは次のようになります。
- 保険料1万2000円以下 全額控除
- 〜3.2万円 保険料/2+6000円
- 〜5.6万円 保険料/4+1.4万円
- 5.6万円超 一律2.8万円
当然、全額控除が最も利回り(投下資金に対する節税効果)は高くなりますが、ちょこつみの場合、最低金額が3000円なので、初年度と最終年度を除くと全額控除にはなり得ません。
一方、控除額が最も大きくなるのは所得税/住民税で4万円/2.8万円のときです。このときにどのくらい税金が戻ってくるかというと収入額によります。住民税は一律10%なので節税額は2800円ですが、住民税は超過累進課税だからです。
下記は所得税/住民税で4万円/2.8万円の生命保険料控除を受けたときの節税額(単位万円)を計算したものです*2。
これを見ると、節税効果は年収400万円までは年間4800円にしかすぎませんが、年収700万円を超えると1万円以上の節税になることが分かります。保険料控除額がこの半分なら、節税額も半分になるという計算です。
具体的なリターンは?
ではリターン(投下資金に対する節税効果)はどうでしょうか。これは保険料を定期預金に見立てて、節税額を利子として捉えれば計算できます。銀行預金においておくよりはリターンは高いでしょうし、場合によっては株式投資よりも高リターンが期待できるでしょう。
計算結果を示す前に、1点注意があります。初年度こそ、節税額を年間保険料で割ればリターンが出ますが、2年目は違います。1年目に支払った保険料もプールされたままだからです。その点を意識して見てみましょう。
まずは月額保険料5000円の場合です。これは控除額が所得税/住民税で3.5万円/2.8万円で上限に満たないのですが、足も出ないので最もリターンは大きくなります。初年度のリターンは凄まじいですね。3年目まで見ても、確定リターンとしては破格です。節税額は4550〜1万4350円とそこまで大きくありませんが、効果は抜群です。
次に、その倍1万円の場合です。これは控除額が所得税/住民税で4万円/2.8万円とマックスになりますが、最適解の6667円をオーバーしているので、月額3333円分が無駄になります。節税額の絶対額は増えますが、効率は悪化します。
最後に、2名義の裏技を使った月額保険料8000円の場合。これは控除額が所得税/住民税で4万円/2.8万円とマックスにしつつ、最適解の6667円からの超過分を1333円まで減らしたプランです。
この金額とリターン率を見て、ちょこつみをどのように活用するか考えるといいでしょう。なおじぶんの積立は積立期間が5年なので、もっとリターンが悪化します。3年で積立が完了するちょこつみは、その点でも改善が図られていますね。
またベストプラクティスは3年積立したら解約して、再度契約することです。じぶんの積立は解約後、再度契約するには一定期間を空ける必要がありましたが、ちょこつみは特に期間を空ける必要がないようです。これも大きな改善点でしょう。