破綻した仮想通貨のレンディング事業者「BlockFi」に、忘れるにはちょっと額の大きい債権を持っています。先日、半分くらいがやっと戻ってきて、残りの半分も変換手続きが進んでいるのですが、ネックになっているのがKYCでした。これをやっと通すことができました。
これまでの経緯
BlockFIが破綻して失われたステーブルコインが、破産手続きの処理の末、一部回収できたという話を下記に書きました。いろいろ手続きはあったものの、8000ドル程度を回収。そして残りは……というと、これが少し進捗しているのです。
その後の推移を簡単にまとめると次のようになります。
- 2024年5月31日 BlockFiのWebがシャットダウン
- 2024年7月 債権全額が受け取れると連絡が
- 米国在住者はCoinbaseアカウントに分配
- 海外剤儒者は長い時間がかかる
- 2024年11月 バミューダ規制対応のため2025年5月15日までにKYCを行え
下記が、債権全額が返還されるというメール。
ただし、海外在住者はKYCを行え、と。
仕組みとしては「Persona」のeKYCを使う。
何度やっても通らないKYC
さて、日本ではとんと聞きませんが、海外ではメジャーっぽいeKYCサービスのPersona。最初にパスポートをスキャンして、次に顔写真を撮影し、さらに「住所が掲載されている書類を提出せよ」ということです。
まず最もポピュラーな免許証を撮影しました。が、機械認証のタイミングでエラー。不適切な書類と出てしまいます。何度トライしてもダメ。こりゃダメだろうなと思いながらマイナンバーカードなどでもやってみますが、こちらもダメ。どうやら英文の住所でないと通らないのではないか? とあたりをつけました。
では英語の住所が記された書類はどこかにないのか? 公共料金の請求書でもいいし、銀行などの書類でもいいと書かれています。だいぶ書類の制約はゆるい感じ。ただ、普通の日本人に英語で書かれた住所の書類なんてありませんね。
英文住所の公式書類を求めて
なんかいい方法はないか? と思ってXで聞いて見ると、いろいろと教えていただきました。
- イオン銀行の残高証明書 コールセンター経由、費用は1650円
- 新生銀行の残高証明書 フォームから新生 費用は1100円
- クレカの海外健康保険証明書 電話で申請 費用は無料(DL)
- GMOあおぞら銀行の残高証明書 Webで出力可能 費用は無料 ※住所は和文
イオンと新生はかなりまともな証明書のようですが、手続きがちょっと面倒なのと紙を郵送してもらうのでコストも期間もかかります。GMOあおぞら銀行はWebからPDF出力できてナイス!英文も選べるのですが、「住所は英字で記載されません」の注が。なんてこった。
もう一つ、クレジットカードの海外健康保険証明書というのが目からウロコでした。こちら海外旅行保険について海外の病院に提出する証明書なのですが、下記のWebから入力してPDFで無料出力できます。
ちょっと面白いのは、下記の書類のように名前も住所も英文で入力したとおりに出力されること。つまり自由な名前と住所で英文証明書の作成が可能です。
さて、もう一つ。ぼくが実際に使ったのは、住信SBIネット銀行の英文残高証明書です。こちらの何がポイントかというと、名前は自分で英文を入力することです。ここで名前の後ろに住所を入れてあげると……。
下記のように住所が付記された書類が出来上がるというわけです。なおAccout holder nameにはカタカナで口座名義人の名前が入るので、名前を詐称しても見る人が見れば分かります。
PersonaのKYC無事に通過
今回は住信SBIネット銀行に英文をちょっとハックした住所入りの証明書を使い、PersonaのKYCにトライしてみました。1回目はこれまでと同じように弾かれたのですが、2回目で無事成功。
なんとか残金を回収するためのKYCをクリアした次第です。なお、もう一つ提出書類としてW-8BENという書類をPDFで記入する必要があります。W-8BENとは「アメリカ合衆国における源泉徴収のための受益者の海外における地位についての証明書」で、これを提出しないと源泉徴収対象になるっぽい。海外在住者が米国の金融機関からお金を引き出すときには必須の書類のようですね。こちらもいくつかサイトをチェックして提出しました。
ここまで長い時間がかかりましたが、果たしてちゃんとお金は戻ってくるのか……。そもそもBlockFiのサイトは閉鎖されてしまいましたが、あずけたステーブルコインはどんな通貨で戻ってくるのでしょう。ステーブルコインの引き出しに、一銘柄あたり50ドルも手数料がかかったのですが、これがドルでの送金とかなったらいくら手数料を取られることか。まぁ少しでも戻ってくるならマシなわけですけどね。