著名プログラマ中島聡氏の近著『メタトレンド投資』を読みました。これは社会を10年20年単位で変革していくようなトレンドを牽引する企業を見つけて長期投資しよう、それが10倍、100倍株になる――。という投資法についての話です。
個人的にはたいへんしっくりくる投資法で、僕自身も同様の考えかたで、Google、Amazon、Faceboo、Tesla、NVIDIA、ビットコイン、イーサリアムなどに初期から投資してきました。
ただこの手法の課題は、どうやってそういったトレンドを見つける嗅覚を身につけるかにあります。そのため本書ではいくつかの方法を紹介していますが、中でも深く同意したのが、Podcastです。
Podcastは深く深く情報を得られる
マクロトレンドよりももっと長く本質的な変化をもたらすメタトレンド。これがどこにあるか気づくには、当然情報収集が欠かせません。ネット時代の情報収集といえば、Webニュースやブログはもちろん、SNSなどが速報性も高く、価値が高いと考えがちです。
ただオールドメディアである新聞やテレビもそうですが、こうしたメディアの欠点は、編集され美味しいところだけをピックアップされ切り取られたコンテンツになっていることです。情報の真偽はともかくとして、耳目を集めることにフォーカスして、背後の文脈や深い思想についてはカットされていることがしばしばです。YouTubeでも切り抜き動画が流行っているのはそのいい例でしょう。
そうではなく、業界のCEOなどが本当に考えていることの全体を知るにはどうしたらいいでしょうか。しばしば長文のブログ記事をアップすることもあるので、それを見るのも一つ。書籍はこうした目的にマッチしますが、本が出る頃にはトレンドはけっこう進んでしまっていることも多い。あとは直接会って話すことですが、なかなかそれは難しいですね。
そんな中で、こうした役割にぴったりなのがPodcastです。
特に1〜2時間に及ぶ長尺のインタビュー形式の番組では、ゲストの思考プロセスや、その背後にある経験、そして将来への具体的なビジョンまで詳細に語られることが多く、表層的な話題だけで終わることは稀です。
これは投資家にとって、企業の将来性や、業界全体のメタトレンドを見極めるうえで、きわめて強力な武器になります。
どんなPodcastがオススメか
そんな中で中島氏がオススメとして挙げるのがレックス・フリードマン氏の番組です。エンジニアや経営者、科学者、政治家など多岐にわたる分野の第一人者をゲストに迎え、1本あたり1〜2時間、場合によっては5時間以上もの長尺のインタビューを行っています。
直近のインタビューを見ると、確かに聞きたくなりませんか?
- DeepSeek,China & AI 5時間 177万回再生
- Marc Andreessen 3時間45分 140万回再生
- Jennifer Burns: 経済思想家 4時間 109万回再生
- ゼレンスキー大統領 3時間 710万回再生
- Adam Frank:宇宙科学者 3時間 206万回再生
- Saagar Enjeti:政治ジャーナリスト 3時間30分 185万回再生
もう一つオススメしているのがガイ・カワサキのPodcastです。元Appleのエバンジョリストで多種多様な分野の傑出した人たちにインタビューしています。
国内の長尺ポッドキャスト
メタトレンドに役立つかどうかは別として、テクノロジー以外の領域では国内のPodcastでも長尺の素晴らしい番組があります。
歴史キュレーションプログラム「COTEN RADIO」がその一つ。教科書とも小説とも違う、独特の面白さがあります。
また、投資家向けにはCOTENの面々が送る別のPodcast「資本主義の未来」が面白いと思います。現在世界のすべての国はなんらかの資本主義的な体制になっていますが、これが最良の制度かというとそうでもありませんね。では、資本主義に変わるものはあるのか、何をどう修正すべきなのか。それを多彩なゲストとともに話す番組です。
まさに人間社会という体制のメタトレンドを肌で感じられる内容でしょう。
ほかにやはり長尺のPodcastでオススメは、「ゆる言語学ラジオ」と「サイエントーク」。
もう一つ、Podcastの考えかたを体現していると思っているのが、朝日新聞のPodcast「朝ポキ」です。「一つのテーマを、じっくり時間をかけて取材し、徹底的に掘り下げます。複雑な問題を単純化せず、記者が言葉を尽くして伝えます」とうたっていて、長尺で解説します。
下記はマイナンバーを巡る懸念の番組。このくらい丁寧に解説してくれると、理解が一段進むと思います。