FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光と不動産のDCF計算を精緻化した

資産の評価法はいろいろありますが、売買価格が定かでない太陽光と不動産については将来キャッシュフローを割り引いて足し合わせ、現在価値を出すDCF法を使って計算しています。今回、その計算をより精緻にアップデートしました。

きっかけは借換

DCFをやりなおすことにしたきっかけは太陽光発電所のローン借換です。1%ちょっと低い金利で借り直すことができ、それに伴いスプレッドシートの計算式を見直しました。

www.kuzyofire.com

見直しのポイントは下記です。

  1. 年次CFから月次CFに変更
  2. シミュレーション数値の補正から実績値に変更
    1. 収入を消費税込みに
    2. メンテナンス費用や固定資産税を実績値に
    3. 廃棄費用積立を追加
  3. 法人税を計算から除外

年次CFから月次CFに変更

もともとは年次でPL予算を作成してCFを出し、そのCFを割り引いて現在価値を出していました。これだと1年間現在価値が変化なしになりますが、総資産の集計は毎月行っています。途中で、経過月数を計算してCFを調整したり割り引くための年数を調整していたのですが、かなり式が複雑になり、ミスも目立つようになりました。

 

そこで今回、年次ではなく月次でCFを出すようにシート自体も変更しました。約17年x12ヶ月、約200ヶ月分のCFを行に並べて計算する形です。分量は増えましたが計算はシンプルになりました。

シミュレーション数値の補正から実績値に:収入を消費税込みに

CFはもともとは業者作成のシミュレーション値を使っていました。実際に発電が行われるようになると、過去平均値を元に補正をかけていました。今回これを実績値に置き換えました。

 

また初期のシミュレーションは消費税を入れない税抜きで計算していました。インボイス制度の導入が迫っており、消費税が支払われるか不透明だったからです。ただ制度が始まってみると、消費税はしっかり支払われているので、これを数値に入れ込みました。

シミュレーション数値の補正から実績値に:メンテナンス費用・固定資産税を実績値に

草刈り費用や固定資産税については当初想定値を入れていました。こちらも確定してきたので実績値に切り替えました。ただ、固定資産税は土地だけでなく工具備品扱いのソーラーパネルにもかかっており、こちらは定率で償却が進みます。つまり年を追うごとに金額が小さくなるのですが、これを計算するのは厄介なので現在の固定資産額をそのまま入れています。新しい固定資産額が分かったら修正する形です。保守的な数字ということです。

シミュレーション数値の補正から実績値に:廃棄費用積立を追加

これは2020年に決まった法律で、売上の約4%が強制的に源泉徴収されます。これはFITの後半10年が対象なのですが、当初のシミュレーションではそちらが盛り込まれていませんでした。

 

www.kuzyofire.com

法人税を計算から除外

もともとは発電所ごとにPLを作成し累損も計算。赤字の繰越がすべて完了したタイミングで法人税の支払いを盛り込んでいました。ただ実際のところ、損失繰越は複数の発電所を合算した形で行いますし、法人の費用には他の経費なども入ってきます。中にはキャッシュアウトがない家事按分なども含まれます。

 

また株式などでは最終的に含み益に課税されるわけですが、それを考慮せず税前で総資産を計算しています。

 

そのため今回、法人税を計算から除外しました。

どのような影響が出たか?

今回の修正によるDCF額への影響はざっくりこんな感じです。

  • 年次CFから月次CFに変更: 不明
  • シミュレーション数値の補正から実績値に変更:ほぼ同
    1. 収入を消費税込みに:増加
    2. メンテナンス費用や固定資産税を実績値に:増加
    3. 廃棄費用積立を追加:減少
  • 法人税を計算から除外:増加

その結果、驚いたことに以前のDCF計算の2倍弱の額になりました。消費税込みで売上が1.1倍になりましたが、借入によるレバレッジが効いている中なのでCFへのインパクトはけっこう大きかったという感じでしょうか。また唯一の減少要因の廃棄費用積立はまだ7年以上先のコストということで、あまりネガティブインパクトをもたらさなかったのも理由でしょう。

割引現在価値の実際

さて最後に実際の割引現在価値のグラフを見ておきます。下記はローンがあと11年、FIT期間が16年ほど残っている白子発電所の月次CFを割り引いたものです。DCFはこの割引CFをすべて足し合わせたものになります。

ギザギザしているのは季節変動を実績値から反映させたからです。2035年末に向けて評価額が下がっているのは6%で割り引いているから。2031年に下に棒が飛び出ているのはパワコンの交換費用を入れてCFが大きな赤字になっているからです。

 

ここから年月が進むと、左の棒が1ヶ月に1本ずつなくなってその分DCF値は減少します。一方で将来CFの割引量が少なくなるので、全体に上に伸びます。この2つの要素の綱引きでDCF値が変化することがわかります。

 

下記は5年後の白子発電所の同じチャートです。残り期間は3割減りますが、DCF額は2割ほどの減少にとどまります。

実はFIT終了後も自由市場で売電は可能なので、どこかのタイミミングでそれもDCF評価に盛り込んだ計算をする必要がありますね。

 

www.kuzyofire.com

www.kuzyofire.com

www.kuzyofire.com