FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

繰越欠損金を活用仕切る長期戦略

事業で損失が出た場合、その損失を繰り越して翌年以降の黒字と相殺することで、節税ができます。要するに、過去累計で儲かった分にだけ税金を払ってね♪という仕組みなのですが、少し落とし穴もあります。繰越は最長10年なのです。

 

ぼくの法人Aは、設立から5期にわたって赤字を続けてきており、そここその額の繰越欠損金があります。これを使えば、今後の黒字が相殺されるはずなのですが、顧問税理士からこんな連絡がありました。

 

税引後当期純利益は過去の赤字(欠損金)と相殺して法人税の発生を防ぐことが可能ですが、この欠損金は発生から10年後には消滅します。現在の貴社における欠損金の状況は添付の法人税別表7-1に記載されておりますが、今後当期と同じ程度の利益が発生する場合、欠損金の一部が使い切れないまま消滅する可能性が高い状況となっております。

 

つまり、期間内に欠損金を全部使い終えるほどの利益がないのでは? という指摘です。これはもったいない!

対策は売上を増やすかコストを減らす

この対策にはどんな方向性があるでしょうか。繰越欠損金が余る、つまり利益が足りないわけですから、売上を増やすかコストを抑えるかというのが選択肢です。もちろん、営業頑張る!とか無駄なコストを抑えよう!とか、そういう話をしているのではなく、テクニカルに解決します。

 

まず売上ですが、太陽光発電所を売却すれば、一時的に大きな利益が発生します。残存簿価と売値の差額が利益になるので、これはけっこうな額になりますね。もう一つ、別の法人や個人の利益の付け替えも選択肢です。単純に、一部の仕事を個人ではなく法人で受ければいいですね。また個人から法人に仕事を発注するという手もありますが、これはやりすぎるとちょっとグレーな気もします。

 

太陽光発電事業のコストは、そのほとんどが減価償却費と金利です。金利のほうは借り換えを行うことで、金利を下げたり期間を長くして年あたりのコストを抑えることができます。

税理士からの提案

そんな中、対策として提案をいただいたのが、減価償却の抑制です。設備を購入するとそれを毎年減価償却していくというのがルールです。例えば1000万円の太陽光発電設備を購入うした場合、毎年次の額を償却することになります。

年度 減価償却費 (円) 期末帳簿価額 (円)
1 1,180,000 8,820,000
2 1,040,760 7,779,240
3 917,950 6,861,290
4 809,632 6,051,658
5 714,096 5,337,562
6 629,832 4,707,730
7 555,512 4,152,218
8 489,962 3,662,256
9 432,146 3,230,110
10 403,764 2,826,346
11 403,764 2,422,582
12 403,764 2,018,818
13 403,764 1,615,054
14 403,764 1,211,290
15 403,764 807,526
16 403,764 403,762
17 403,761 1

 

ただしこの額はあくまで「償却可能な上限額」であって、実はそれよりも小さい額でもかまいません。例えば5年めの償却費は71万ですが、これを50万とか30万とかに減らすことで、その期の利益を増やせるというわけです。まぁ言ってみれば損失の先送りですね。

 

これはデメリットはないものか? と思い、Xでも聞いてみたのですが、ほとんど影響はいようです。あえて言えば、現在借入を行っている銀行は僕の法人の財務状況をチェックしているわけですが、通常の方法と償却額が異なると、担当者が償却額を調整して入力しなくてはならないので手間だとか、金融機関が決算書や申告書をチェックする際に償却限度額より少ない償却額を計上していることから今後融資を受ける際には影響があるかもしれないといったあたりでしょうか。

そもそも本当に余るのか?

ただふと思ったのが、そもそも本当に繰越欠損金は使い切れないのか? ということ。何年か前に簡単にシミュレーションして、法人Aの利益を少し増やしたほうがいいということで、法人Bに一部のコストを付けるように運用を変えたところだからです。

 

そもそも太陽光発電の売上は天気次第なことがあって、基本的に安定しています。そしてコストのほうも、家事按分+減価償却費+金利くらいなので、こちらも不確定な要素が少ないんですね。

 

そして、減価償却費は定率法を採用したので、10年目までは減り続けます=コストが減り続けるわけです。そして金利も元本の減少によって減り続けます。いずれもコストの減少なので、何もしなくても勝手に利益は増えていくわけです。

 

確かに2025年3月期なみの利益が続くなら繰越欠損金が余ってしまいますが、利益が増大するならまたちょっと違います。

 

繰越欠損金の消化については、初年度の赤字を10年目までの利益で相殺し、2期目の赤字を11年目までの利益で相殺し……とずれていく形になります。そうやってシミュレーションしてみると、最後の赤字だった2023年3月期の欠損金は2033年3月期まで相殺できるわけですが、その段階では累積の黒字がかなり積み上がることになるのです。

要するに、減価償却費の減少と金利負担の減少を考慮にいれると、繰越欠損金を使い切れないどころか足りなくなる、つまりもう少し利益を減らしてもいいのではないか? とさえ思うわけです。

 

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