先日、『金のインゴットを持っている理由』という記事を書きました。金融資産花盛りの昨今ですが、現物資産もいいよ、そしてその代表格である金はいいよ♪ ということを書いたのですが、「なぜ金のETFじゃダメなの? その理由が書いてないよ」とご指摘をいただきました。
あ。確かに。それ書こうと思っていましたが、ちょっと長くなったので省略したのでした。そこで今回は、なぜETFではなく金の現物を保有しているのか? について。
保有コストの違い
まず保有コストの違いを確認しておきましょう。ETFには信託報酬その他という形で保有に対してコストがかかります。オルカンなど株式のファンドと違い、このコストは小さくありません。
例えば三菱UFJ信託銀行が設定している純金ファンド【1540】の場合、信託報酬が0.440%で、総経費率は0.45%となります。
STATE STREETのSPDRゴールドシェア【1326】の場合、信託報酬は0.4%です。このように、決して安くない保有コストがかかるのがETFです。
では現物の金地金はどうかというと、けっこう複雑です。例えば田中貴金属の場合、年会費/口座管理料/購入手数料/引き出し手数料がかかります。基本的には積立の場合を除き、金の預かりはしていないようです。
ぼくが使っている三菱マテリアルの場合、購入手数料はかかりませんが、売買価格にそれなりのスプレッドがあります。下記の通りスプレッドが148円、約0.87%かかる形です。
一方で、保管料は年率で0.1〜0.03%かかります。ETFと対比すると、比較的リーゾナブルだといえると思います。
さらに、金の所有権を三菱マテリアルに渡し、返還請求権だけを持つ消費寄託という保管方法も選べます。株でいう貸株とにていて、三菱マテリアルはその金を運用先に渡して運用してもらうという方法です。こちらの場合は保管料は無料となります。ぼくはこの消費寄託を使っています。
また、三菱マテリアルの場合、1年保有するごとに会員継続ボーナスがもらえます。これは5円/gと額は小さいのですが、費用と取られるどころかもらえる話なので悪くありません。
まとめると、ETFは売買手数料こそ安い(楽天とかSBIなら無料)ですが、0.4%程度と安くない保有コストがかかります。現物は売買手数料が1%弱かかるなど重いのですが、実は保管コストはほぼゼロにできます。つまり長期投資なら現物を買って寄託するのもありだということです。
ちなみに、下記は金価格(GOLD)と、金ETF(1540、SPDR GLD)のチャートです。ほぼほぼ連動しているのですが、わずかにETFのほうがパフォーマンスが悪く、その差が次第に開いていっているのが分かると思います。これが保管コストの影響です。
このように、意外かもしれませんが、長期保有する前提なら、高い売買手数料によるビハインドを、保管コストの低さのアドバンテージが上回り、ETFよりも金地金のほうが有利になります。
ちなみに、どこで買うのがいいかは、かなり前ですが各社のスプレッドを比較してみたので、それも参考に。そして三菱マテリアルは株主優待で1gあたり5円の優待が受けられます。
次回は消費税について書こうと思います。
書きました。↓