先日、『金のインゴットを持っている理由』という記事を書きました。そこで書き残したのが、なぜETFではなく金の現物を保有しているのか? です。昨日は「実は現物のほうが保有コストが小さい」という話を書きました。今日は消費税について。
金には消費税がかかる
意外かもしれませんが、金(ゴールド)には消費税がかかります。つまり1万円分の金を買うには1万1000円支払う必要があるということです。え? 消費税がかかったら投資先として損じゃん? と思うなかれ。逆に売却するときも消費税が発生します。1万円分の金を売ったら1000円の消費税が乗って、1万1000円手元に入ってくるわけです。
買うときにも売るときにもかかるので、消費税は投資に対してニュートラルかとおもいきや、実はそうでもありません。増税されたときです。
2019年10月1日、消費税が8%から10%に上がりました。当然、金の売買にかかる消費税も10%になりました。このとき、9月30日に金を買ったときは8%の消費税を支払い、それを10月1日に売却したら10%の消費税を受け取れます。なんと、2%ノーリスクで受け取れるわけです。
このように、消費税がかかりかつ流動性の高い品物は、増税されるたびにその分価値が上がっていくという性質があります。その最右翼が金現物なわけです。ちなみに、ぼくが初めて金を買ったのは2019年の9月末、消費税8%時の駆け込みでした。
ETFは消費税がかからない
逆に、金の投資信託やその上場版であるETFには消費税がかかりません。もう少し正確にいうと、金の投資信託は裏付け資産として金の現物を買い付けていますが、消費税が基準価額に影響することはないのです。
下記は純金ETF【1540】の目論見書から。価格は金の先物価格から算出されるとあります。先物には消費税は関係ないので、消費税が上がろうと下がろうと、純金ETFの価格には影響がありません。
そのことは、消費増税があった2019年10月1日近辺のチャートを見ても分かります。現物の価格は、この日を堺に消費増税分2%跳ね上がりました。しかし、1540の価格は金現物価格(消費税なし)と連動していて、乖離が生まれた様子もありません。
受け取った消費税はどうすればいい?
さて購入時に消費税を払い、売却時に消費税を受け取るわけですが、この受け取った消費税はどうしたらいいのでしょうか? 納税しなくてはいけないのでしょうか。
結論からいえば、個人で金現物を売買する場合、消費税の納税義務はありません。消費税というのは「事業者」が納税義務者となり、つまり個人事業主や法人が対象です。つまり事業を行っているわけでもない個人の場合、受け取った消費税を納税する義務はありません。
今後増税があれば……
というわけで、個人で売買する限りにおいて、消費税は金を買うときに支払い、金を売るときは受け取ることになります。そのため、もし消費税が増税されれば、その分だけ金資産の実質価値は増えることになります。
今後、例えば消費税が20%になったら、その時点で持っている金地金の価値は約9%上昇するわけです(110%→120%になるので)。増税があればあるほど価値が増す資産、それが金地金なわけです。
次回は、金地金の売買利益にかかる税金について書こうと思います。(書きました)