先日、FIREイベントを開催させていただきました。そこで少し話した内容が、MONEY INSIDER誌で記事になっていたので、少し補足しつつ、FIRE実現のために最も重要なことは何かを考えてみたいと思います。
FIRE Talk2025夏、開催
8月に実施したイベント「FIRE Talk2025夏」では、40人以上の参加者の中、少し話をさせていただきました。
その話の内容を、MONEY INSIDER誌のほうで記事にしてくださいました。ありがとうございます!
貯蓄率はFIREにとって決定的なパラメーター
記事にもあるように、FIREを目指すにあたり決定的に重要なパラメータは、収入でも運用力でもありません。実のところは「貯蓄力」こそがFIRE実現を左右します。もう少しそれを噛み砕いて説明しましょう。
議論の前提として、年間生活費の25倍の資産を構築できたらFIREが実現可能だとします。これはいわゆる4%ルールと整合性のある値で、概ねFIRE達成者は納得感のある数字だと思ってもらえるのではないかと思います。
つまり、年間生活費が300万なら7500万円、500万なら1億2500万、700万なら1億7500万、1000万なら2億5000万ということです。
ではこれだけの資産を構築するのにどのくらいの年数が必要でしょうか。大学卒業後22歳から資産構築に乗り出すとして、18年かかるなら40歳でFIRE、23年かかるなら45歳でFIRE、28年かかるなら50歳でFIREできるということです。そして38年なら60歳になっているので、もうFIREというには遅いかもしれません。32年かかっても25倍に達していなかったら、年金に頼らなければ老後を過ごせないともいえます。
ではこの年数を短くするには、何を頑張ればいいのでしょうか? 投資のリターンを大きくする、入金力を高める? 無駄遣いせず節約する? どれも間違いではありませんが、その効果は微妙に違います。最も効果が大きいのは「無駄遣いせず節約」なのです。
貯蓄率が重要な理由
ではなぜ節約が重要なのか。絶対的な資産の量を求めるなら必ずしも節約が重要とはいえません。でもFIREする=生活費の25倍の資産を作るなら節約は重要です。
それを理解するために、生活費をベースに方程式を考えてみましょう。まずは運用を行わない場合に、FIREに達するまでの年数がどのくらいかかるかを考えます。
必要資産 = 生活費 x 25 = 収入 x (1-貯蓄率) x25
貯蓄率 = (収入 - 生活費) / 収入
必要資産 = (収入 x 貯蓄率) x 年数
これらを代入すると、次のようになります。
収入 x (1-貯蓄率) x 25 = 収入 x 貯蓄率 x 年数
↓
25 x (1-貯蓄率) =貯蓄率 x 年数
↓
年数 = 25 x (1-貯蓄率) / 貯蓄率
この式からはいくつかのことが分かります。まずFIREを目指すときに、収入というパラメータは相殺され消えてしまうこと。つまり無関係になるということ。FIREに影響するパラメータは、貯蓄率だけだということが分かります。
また、FIREまでに必要な年数は(1−貯蓄率)に比例するので、貯蓄率が高いほど短くなることが分かります。また貯蓄率で割っているので、貯蓄率に反比例することも分かります。要するに、貯蓄率のアップはダブルで効いてくるのです。
ここで貯蓄率に50%を入れてみると、FIREに必要な年数は25年であることが簡単に分かります。
貯蓄率か運用リターンか?
ではここに資産運用も加味したらどうでしょうか。例えば、運用なしでは貯蓄率50%の場合25年の歳月がFIREに必要ですが、年率5%で運用できればFIREまでの年数は次のようになります。

では貯蓄率を上げるのではなく、運用利回りをアップさせたらどうなるでしょうか。そのほうが効果的でしょうか。式は省略して計算した表だけ掲示すると、イベントでも紹介したように下記のようになります。
これは横軸に運用リターン(年平均)を、縦軸に貯蓄率を取ったもので、数字はFIREまでに必要な年数を表しています。これを見ると分かるのは、運用リターンを上昇させてもなかなかFIREに必要な年数は短くならないが、貯蓄率を上げると急速に短くなるということです。

例えば、貯蓄率30%のラインを見ましょう。運用利回り5%だと28年でFIRE可能です。ここから、運用利回りを約2倍の9%に上げられたとしても21年にしかなりません。ところが貯蓄率を30%から50%に上げただけで17年まで短縮されます。
その上、運用利回りを上げるのは至難の業で、20%近い運用利回りをFIRE達成可能な年月にわたって出し続けられるなら、バフェットの再来と言われるでしょう。一方で、貯蓄率の改善は、努力しだいで可能です。
FIREを目指すなら節約を極めるべし
というわけで、FIREを目指すなら、運用をうまくするよりも貯蓄率をアップすることが大きな効果があるということを見てきました。
もちろん、過度な節約はそれが本当に幸福な人生なのか? と疑問符を付けられますが、何に幸せを感じるかも人それぞれ。そもそもFIREなんてしないで、ずっと働き続けるほうが幸せという人のほうがメジャーなわけで、こと人生の意味合いとか幸福とかを言ったら、そこに正解はありません。
それでもFIREを目指すというのなら、もっと貯蓄率に目を向けてほしいと思います。それはFIREの成功率を大きくアップさせるからです。そしてこれは貯蓄率の話なので、支出を減らさなくても収入を大きくすれば改善できます。年収500万のときの生活レベルのままで、年収が1000万円になれば、貯蓄率は激しく改善されるわけです。