2025年10月10日、トランプ大統領による中国への追加関税発言が、株価と仮想通貨の急落を引き起こしました。いったい何が起きたのか、影響はどんな感じなのか、今後の動向は? といったところをまとめました。
中国に100%追加関税、ソフト輸出も制限へ
10月10日、トランプ大統領が発表した中国への100%追加関税と重要ソフトウェアに対する輸出規制に、市場が揺れました。

ドナルド・J・トランプ
@realDonaldTrump中国が貿易に関して極めて攻撃的な立場をとったことが、たった今明らかになりました。世界に対し非常に敵対的な書簡を送り、2025年11月1日をもって、自国が製造する事実上すべての製品、および一部は自国製ではない製品に対しても、大規模な輸出規制を課すという内容です。これは例外なくすべての国に影響を与え、明らかに何年も前から彼らによって画策された計画です。これは国際貿易において全く前代未聞のことであり、他国との関係における道徳的な恥です。
中国がこの前例のない立場をとったという事実に基づき、また同様に脅威にさらされている他の国々のためではなく、アメリカ合衆国のためだけに述べますが、2025年11月1日(あるいは中国による今後のいかなる行動や変更によってはそれより早く)から、アメリカ合衆国は中国に対し、現在支払っている関税にさらに上乗せして100%の関税を課します。また、11月1日には、すべての重要なソフトウェアに対しても輸出規制を課す予定です。
中国がこのような行動に出たとは信じがたいことですが、彼らは実行し、あとは歴史が物語るでしょう。この問題にご注目いただき、ありがとうございます!
ドナルド・J・トランプ
アメリカ合衆国大統領
これは、戦略物資であるレアアース(希土類)に対する輸出規制を中国が拡大したことへの直接的な報復措置だとされています。
株式市場、急落
この発言によって、株式市場は急落。S&P500は1日で2.7%の下げを記録しました。より影響が大きかったのが、NASDAQと仮想通貨で、NASDAQ100は4.99%の下落、ビットコインは4.11%下落しました。

一方で、金は逆に0.53%上昇し、長期金利は0.98%の下落(=長期債価格は上昇)となりました。
とはいえ、これはこのところ順調に上昇し続けていて過熱感のあった相場が、下落のチャンスを探っていたという背景によるものだという指摘もあります。単にこのニュースが引き起こした下落というより、楽観ポジションがここぞとばかりに解消されたことでパニックが増幅されたと見ても良さそうです。
直近1ヶ月のチャートを見てみましょう。金は別として、今回の下げがこの1ヶ月の上昇分を帳消しにする下落だったことがわかります。逆にいえば、この1ヶ月が上がりすぎだったということです。

では、4月のトランプ関税ショックと比べるとどうでしょうか。このときの落ち込みは10%以上となり、回復にも1ヶ月以上かかりました。これに比べると、今回の下げは軽いようにも見えます。

ただし10日は金曜日だったため、週明けに市場がどう反応するかには注意が必要でしょう。早くも反発するのか、それともズルズルと下がり続けるのか。ちなみに、24/365市場が動き続けているビットコインは、急激に下がったあと半値ほどリバウンドし、その後揺れながら横ばいが続いています。

株式市場も同じような動きをするのならいいのですが、果たしてどうでしょうか。
なお、トランプ氏は下記のように述べており、いつものように舌戦をしただけという見方もできます。
ただ、トランプ氏は中国がレアアース輸出規制を撤回すれば、追加関税を取り下げる可能性があると認めた。また、この日いったん中止を示唆した中国の習近平国家主席との会談について、実現する可能性はなお残されていると説明した。