太陽光発電所が稼働して、長いところでは5年が経過しました。そうなるとちょっと気になるのが太陽光パネルの経年劣化です。一般的にはパネルの寿命は20〜30年とされ、初期は年率1%程度で劣化、その後は0.5%程度の劣化が進むとされています。では実際にどのくらいパネルは劣化したか、実際のデータから見てみましょう。
6か所の発電所の発電量推移
太陽光発電所は、月によって日照時間が大きく変わるため、1月と6月の発電量を比較しても仕方ありません。そのため、年間発電量が年によってどう変化したかを発電所ごとにチェックしました。
チャートにしたのがこちらです。君津と石岡については2021年の途中に連系しているので年間で発電しているのは2022年から。いずれも丸一年発電した年を1として、指数化しています。

これを見るとどうでしょう。2022年はどの発電所でも数パーセント減少しました。これはもしや劣化か? と思いきや、翌2023年は初年度を上回って発電しています。そして2024年は全体に前年を下回りましたが、それでも半分くらいは1を上回っています。
うーん。全然劣化しているのかどうか分かりませんね。劣化状況よりもその年ごとの変動のほうが激しく、劣化の状況が見えなくなっています。
こんなグラフだけで判断するのも何なので、もう少し数学的に劣化をチェックしてみました。年ごとの気象条件を加味しない粗い計算ですが下記のようになりました。筑西以外では劣化(マイナス)どころか増加しているという結果です。

ただMK_p値が大きすぎて、全く統計的には意味がありません。0.05以下の場合有位となるので。ちなみにどんな計算をしたのかというと、下記。もちろん、ぼくが計算するのではなくChatGPT-5 Thinkingにやってもらいました。いい時代になりました。
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対象年の選定
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2021–2024年のみ使用(2025=部分年の可能性、2020=欠損ありのため除外)。
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サイトごとの年次系列を作成
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例:=各年の総発電量(kWh)、。
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Theil–Sen 傾き(ロバスト傾向推定)
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すべての年ペア の傾き を計算し、その中央値を**年あたり傾き(kWh/年)**として採用。
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粗い劣化率(%/年)の換算
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各サイトで 代表レベル=年次発電量の中央値(2021–2024)を算出。
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粗い劣化率=(Theil–Sen傾き ÷ 代表レベル)×100(%/年)。
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統計的単調トレンドの有無(Mann–Kendall 検定)
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年次系列の符号比較に基づくノンパラ検定で Kendallのτ と p値(両側)を算出。
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点数が少ない(4点)ため、有意になりにくいことに留意。
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参考:OLS傾き・CAGR
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参考指標として、単回帰の傾き(kWh/年)と CAGR(2021→2024)も併記。
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残暑が残る
2025年は10月に入っても暑さが残りました。これは雨があまり降らなかったということでもありますが、その日照時間の長さを反映して昨年よりも発電量は増えています。5万7883kWhです。昨年対比+7.9%でした。

計画に対しても二桁の上回りです。木更津と筑西だけ予算を下回りましたが、石岡と君津の予算超過はすごいですね。

粗CFは56.5万円
売電収入からローン返済額を引いた粗CFは、56.6万円を確保しました。夏が終わったとはいえ、なかなか粘った数字です。ここから冬になると20万円くらいまで落ちるので、今のうちに頑張って稼いでください!

各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。
- 1号基 木更津発電所 2020年3月連系
- 2号基 筑西発電所 2020年10月連系 ※初期費用回収完了
- 3号基 いすみ発電所 2020年12月連系
- 4号基 白子発電所 2021年1月連系 ※初期費用回収完了
- 5号基 君津発電所 2021年3月連系
- 6号基 石岡発電所 2021年7月連系 ※初期費用回収完了
FIT単価はいずれも18円。システムのスペック(パネル/パワコン)は次のようになっています。
- 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
- 筑西発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
- いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
- 白子発電所 JINKO(87.42kW)/オムロン
- 君津発電所 JINKO(97.2kW)/オムロン
- 石岡発電所 Qセルズ(98.8kW)/オムロン
↓8月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。