
立憲民主党と公明党が魔合体した中道改革連合が、新たな公約に「NISA減税」を盛り込んだようです。あれ?NISAって非課税じゃない。NISA減税って何? と思ったので調べてみました。
記者クラブにしか情報を出さない
「NISA減税」とか「中道改革連合 公約」とかで検索してみたのですが、ぜんぜン見つかりません。立憲民主党のWebページにも綱領は載っていますが公約については見当たらず。出てくるのは既存記者クラブメディアが報道する「公約要旨」ばっかりです。要旨なんてどうでもいいから、原文をみせてくれ! とぼくなんかは思うのですが、意図的にこうしているのか、Webなどを使ってダイレクトに広報する手段を持ち合わせていないのか、いろいろ謎ではあります。
ただ、日経に載っている共同通信による選挙公約の要旨は下記のようになっています*1。
【消費税減税】
今年秋から恒久的な食料品消費税ゼロを実現。財源に政府基金、特別会計の剰余金などを活用。国の資産を運用する政府系ファンドを創設し、新たな財源をつくり出す。
【生活者支援】
減税と生活支援の二刀流「給付付き税額控除」を導入し、中所得者や、減税では支援できない低所得者も応援する。
家賃補助や安価な住宅の提供制度を導入。奨学金返済や少額投資非課税制度(NISA)で減税を実施。社会保険料負担が生じ手取りが減る「130万円のガケ」を解消。週休3日制など働き方の選択肢を増やす。
【経済政策】
教育・子育て支援など「人への投資」を拡充し成長軌道に乗せる。人工知能(AI)などに投資。女性の賃金アップや女性正社員比率の公表義務付け。定年制を廃止し、いつまで働くかは自分で決める社会を実現。
【外交・安保政策】
核なき世界を目指し、非核三原則を堅持。必要な防衛力は整備する。
【政治改革】
企業・団体献金の規制を強化。政治資金を監視する第三者機関を創設。
国民本位の選挙制度改革とセットで国会議員の定数を削減。首相の衆院解散権を明確化し、国民置き去りの解散に歯止め。インターネット投票導入や、18歳で立候補できる選挙制度を目指す。〔共同〕
※全然検索でひっかかってこないのですが、中道改革連合のWebページに基本政策が載っていました
NISA減税とは?
ではNISA減税とは何なのか。公明党の谷口むつお刈谷市議会議員がブログでまとめてくれていました。
ただこれもオリジナルではないので原本に当たりたいですよね。どうやらオリジナルとなるのが、公明党・岡本政調会長が公明党の公式YouTubeチャンネルで話した内容のようです。
これの後半部分からNISA減税について触れられていますので、Geminiを使って文字起こしさせてみました。
【NISA減税の提案】
私たちが提案したものの、与党である自民党や維新に受け入れられなかった案があります。これを是非とも実現したかったのですが、その背景からお話しします。
3年前、私が財務副大臣として新NISA拡大の責任者を務めていた際のことです。「貯蓄から投資へ」という流れの中で将来不安を解消していただくため、特に若い世代の方々に新NISAをご利用いただいています。昨年の実績では、新NISA利用者の7割以上が年間リターン10%を超えました。これは博打のようなものではなく、あくまで将来のための資産分散としての結果です。
昨年、与党から「新NISAの拡大案」が出され、可決されました。これは18歳以下の子供もNISAを活用できるようにし、子育て資金等に充てようというもので、それ自体は良いことだと思います。
しかし実際には、5歳の子供が自分で投資資金を持っているはずもありませんし、運用方法も分かりません。つまり、余裕のある保護者が子供のために積み立てることになります。現役世代のNISA積立枠は年間360万円(月30万円)もありますが、これを満額投資できる人はほとんどいません。枠を使い切れていないにもかかわらず、資産や所得が多い人だけが子供の分まで利用して節税などの恩恵を受けることになってしまいます。
そこで私たちは、「子供への拡大」も良いが、それよりも優先すべきこととして、「NISAの掛金に対する所得税減税」を提案しました。
iDeCo(確定拠出年金)をご存知でしょうか。iDeCoの場合、例えば毎月1万円(年間12万円)投資すると、その全額が所得控除の対象になります。所得税率3割の方なら、年末調整で3万6000円が戻ってきます。自分の将来のために投資をしつつ、その金額に応じて年末減税でお金が戻ってくるため、大変メリットが大きい制度です。
これと同じ仕組みをNISAにも導入すべきだと考えています。若い方は将来不安からNISAを行っていますが、足元の生活も苦しいのが現状です。ですから、NISAで積み立てた金額の、例えば1割(年間100万円なら10万円)が年末調整で戻ってくるというように、NISAの投資額を所得税減税に対応させることを提案しました。
残念ながらこの提案は否決されてしまいましたが、私は諦めていません。これは多くの国民に共感していただけるはずです。「子供への拡大」も良いですが、まずは満額を投資できず、生活が苦しい中で将来のために投資をしている人を応援したいと考えています。この「NISA減税」をぜひ実現したいので、皆様の世論の後押しを期待しています。
趣旨を簡単に説明すると、
- NISA枠360万円は資産や所得が多い人だけが子供の分まで利用して節税などの恩恵を受ける →これを解消したい
- iDeCoでは掛け金が所得控除の対象になる →同じ仕組みをNISAにも
NISAは譲渡益と配当が非課税になる制度ですが、これに加え、積み立て分を所得控除しようというのが「NISA減税」の趣旨のようです。
矛盾と疑問
制度自体は減税策であり、個人的にはそうなってくれたらもっといいな〜くらいなのですが、これ本当に考えられた内容なの? というところが散見されます。
まずは趣旨です。NISA枠は360万もあり、資産や収入の多い人しか埋められず、こどもNISAも始まれば、さらに富裕層ばかりが得をする。これはそのとおり。でも、その解決策としてiDeCoのような所得控除をしたらどうなるでしょうか。
所得税は累進課税です。所得が多い人のほうが税率が高くなっています。つまり、同じ所得控除額でも、税率の高い高収入層のほうが得をするわけです。あれ? 矛盾してない? きっと制度が固まってきたら「収入制限」とかするんでしょうけど。
また、iDeCoは確かに所得控除されますが、その代わり60歳を超えてiDeCoを崩して受け取ったときに全額に課税されます。このことはどう整理しているのでしょうか。所得控除したんだから受け取るときは課税ね♪って一見筋が通っているようにも見えますが、iDeCoはそのときキャピタルゲインにも課税なんですよね。最終的にNISAにも課税するための布石なんじゃないかとか勘ぐってしまいます。
即売り対策もどう考えているのでしょう。iDeCoの場合、60歳を超えるまで売却できないようにして即売りを防いでいますが、NISAの場合はいつでも売却は自由です。すると、NISAで投資して所得控除を得たらすぐに売却して、所得控除だけを得るような裏技(?)が横行するのは目に見えています。なら一定期間保有しないと所得控除の対象外にする(年内の売却は所得控除から差し引く、など)とか制約が入るでしょうが、それって結局NISAの自由度を阻害しますよね。
というわけで、そもそもの出発点から筋が通っていなくて、なんか「『NISA減』って言ったらインパクトありそう?」くらいの案のような気がしてならないのです。
*1:共同通信のオリジナルも探したのですが見つからず。