ぼくは全データを基本的にクラウドに上げて、処理もクラウドで行うという今風なコンピューティングを行っています。ただ、昨今のAIの状況を見ると、もう一度ローカルに戻るかもしれない。そんなふうに感じて、データの取り扱いやオペレーションフローを、ローカル主体にすべく、いろいろと試しています。
GmailとDropboxから始まった
思い返すと、データとロジックのクラウド化は、僕の場合GmailとDropboxから始まりました。2004年に生まれたGmailはいわゆるWebメールでありながら1GB(!)という大容量で世間の度肝を抜きました。2006年には日本でサービスを提供開始。当初招待制でしたが、熱狂的に受け入れられました。
当時はローカルメールアプリからPOP3やIMAPサーバにアクセスするのが普通で、ぼくはThunderbirdを愛用していました。が、メインアドレスをGmailに移行。合わせてメール管理も「検索すればOK」という方向に転換しました。
次のブレイクスルーが生まれたのがDropboxです。2011年の春に日本でサービス提供。このとき友人を招待すれば無料で利用できる容量が増加するという、秀逸なリファラルキャンペーンを行い、ぼくは今でも25GBを無料で使っています。
これにより、データはすべてクラウドに保存されているという状態が整いました。不慮の事故などでPCが壊れても安心だし、PCの入れ替えもほぼ手間がかかりません。PCを使い始めて初めて、データ紛失の不安が解消したのがこの時でした。
そして転機となったのが、2011年の秋、GoogleDriveです。正確にはDriveというより、GoogleDocsとGoogleスプレッドシート、Googleスライド。それまでExcelやテキストエディタなどローカルのアプリケーションでファイルを作成し操作していたものを、ほぼ全部オンラインに移行しました。
GoogleDocsの前身となるWritelyなども、初期からトライしていたのですが、ようやく使い物になると感じたのがこのタイミング。これで、基本となるOffice系ファイルは「保存し忘れ」もなくなり「修正履歴」もすべて保存され、「他者との共有」も容易になりました。
このGmail+Dropbox+GoogleDriveで、ぼくの環境はほぼすべてクラウドに乗ったのです。
プラットフォーマーに生殺与奪の権を奪われる
Dropboxこそ課金せずにまだ使っていますが、Google系はGeminiに課金すると自動的に2TBに容量が増えることもあり、もうGoogleDriveからは離れられない状況です。それでも、最近気になっているのがGoogleアカウントが生命線になってきていることです。
GoogleアカウントはGmailもあり、さらに各種サービスがGoogleアカウントでログインできるようになっています。データのほとんどがGoogleDriveにあり、もしもGoogleアカウントが停止されたら、すべてが失われます。
そして、GoogleはDriveに保存されているファイルの中身によって、またGeminiの利用の仕方によって、警告なくアカウントを停止する場合があるのです。「Google BAN」で検索するといろいろ出てきます。例えば、
- Gmailアカウントからスパムメールを送信
- YouTubeで違法コンテンツを投稿(アーカイブ
- Drive含め児童ポルノと誤解されるようなデータをアップロード
- 規約違反の利用(OpenClawでサブスクGeminiを使うとか
- Geminiで性的、暴力的、差別的なコンテンツの生成依頼や、ヘイトスピーチ、嫌がらせにつながるようなプロンプト
少し前に『Dr.STONE』の科学監修を務める、くられ(@reraku)氏の「ChatGPT」のアカウントが停止されたことが話題になりました。Googleのアルゴリズムが、子供とプールで撮った写真が児童ポルノと判定されないかは、誰にも分かりません。
しかも、アカウントを停止した場合に、Googleはじめプラットフォーマーは理由も明らかにしませんし、それが回復することもまずありません。そしてそもそもGoogleとは会話をすることさえ困難です*1。アカウント凍結されたら一発で人生がフリーズ。そしてそのリスクは誰にでもあるというのが現実です。
デジタルでの人生が完全フリーズするのに、ここは独裁国家で申し立てもできず、回復も期待できないという恐ろしい世界なのです。
ローカルは自分のデータを自分で管理できる
これだけクラウドに依存していると、プラットフォーマーの胸先三寸で息の根を止められられる状況が逆に怖くなってきました。しかも、昨今はAI花盛りの時代です。視点を変えると、実は生成AIは、クラウドよりもローカルのほうが相性がいい部分があります。
例えばClaudeCodeはローカルのファイルを操作し、ローカルのCLIアプリケーションを自由に使い、ログイン中のChromeブラウザを操作しますが、クラウド上のClaudeにはできることが限られています。
そして、GoogleやDropboxなどの大手クラウドベンダーに完全依存しなくても、複数のサービスを組み合わせたり、オープンソースソフトウェア(OSS)を活用することで、よりデータのコントロールを取り戻すことができるようになってきました。
そんなわけで、少しずつ、クラウド一辺倒からローカルへの回帰、またはローカル多重化を進めようかと思っています。今のところ、下記のようなトピックで環境構築を考えていきたいと思っています。
- ローカルバックアップとしてのNAS
- ローカル同期としてのSyncthing
- ローカル情報管理としてのObsidian
- ローカルAI LM Studio
*1:Googleは法人でGoogleWorkspaceを契約していれば、会話も可能です。またYouTubeやAdSenseなどの大口は担当者も付きます。