九条です。FIRE後の自由な生活をベースに、投資・税制・制度・クリプト・法人運営を考えるブログです。 利回りや還元率の表面ではなく、税引き後の手取り、制度の前提、リスクと不確実性を見ながら、自由を増やす方法を書いています。

会社を辞めてよかったと思う、AI時代のわりと本質的な理由

むかし後輩を指導するときに、「僕らにとってPCは、料理人にとっての包丁と同じだよ」とよく言ったものです。ところが、今や包丁に相当するのはAIです。いや、包丁以上の存在かもしれません。

 

働くときに、自分の好きな包丁を使えるかどうか、これは以前よりも断然重要になってきています。

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会社から指定されたAIだけで仕事するなんてあり得ない

自分が使う仕事の道具は、自分が納得いくものを自腹でいいから揃える。そういう態度で仕事をしてきました。しかしセキュリティがうるさくなる昨今、会社支給PC以外の利用が制限され始め、すべてのPCに利用状況を把握して報告する「スパイウエア」の導入が必須化され、「こんなところで働けるかいっ!」と思ったのも、実は退職した理由の一つです。

 

PCは仕事をする上での重要なアイテムですが、いまやPC以上に重要で、かつ差が付くのがAIです。ChatGPT Proを使えるのか、ClaudeCodeを使えるのか、NotebookLMを使えるのか。トークン予算はどのくらいあるのか。仕事に関連するファイルをどこまでAIに読み込ませていいのか。こうした事柄が速度にも品質にも直結します。というか、少なくとも僕の場合は直結しています。

 

なぜ複数のAIを使い分ける必要があるのか。それは複数試してみないと分からないでしょう。そして現在は課金しないと高位モデルを使えないのです。GPT-5.5 ProとかClaude Fable5とか、Grokエキスパートとか、こういうモデルは無課金で使えるものとは性能が段違いです。でもみんな使ったことがないから分からない。

 

そして、世間の多くの会社の状況は、まだAIとの向き合い方を試行錯誤中です。最も進んでいる会社でも、「ChatGPT Enterpriseを法人契約している」というあたりのレベル。ClaudeCodeとかは、全社員に提供するのは難しく(コストとセキュリティの問題で)、会社の上層部とか「業務上必要だと認められた人」にだけ提供しているというのがよく聞く話です。

AIエージェント時代の企業のジレンマ

会社側の気持ちはよく分かります。ちょっと前までの話でいえば、セキュリティです。AIに入力したデータは「学習される」と言われ、個人情報や社外秘情報を入れるなんて論外。これをもって「AIの利用は促進したいが、使えるデータを制限する」みたいな方針の会社ってけっこうあります。

 

でもさ、ChatGPTとおしゃべりするだけだった2024年ならまだしも、2025年はコンテキストが勝負の年でした。どれだけの仕事に関するデータをAIに適切に渡せるかが勝負。だから企業は今はもうほとんど聞かなくなったRAGとかを使って、「ウチもAI活用しているぜ」とか胸を張っていたわけですが、そもそも安全にデータをAIに渡せない時点で一周遅れです。

 

そして2026年にはAIエージェントがやってきました。ClaudeCode、Codex、OpenClaw。こうしたエージェントは、PCの中のファイルやSaaSにログインして、さまざまな仕事をこなしてくれます。まさに人ができることの多くをAIが実行可能になりました。でも、だからこそ、セキュリティ的には悪夢です。

 

「AIがローカルのファイルを消してしまいました」「AIが見ては行けないファイルを見て外に送信してしまいました」――くらいなら、まだ個人の範囲でのリスクですが、CRMにアクセスして顧客データをダウンロードし、流出させてしまいましたとか、会計SaaSにアクセスしてデータを消してしまいました、とか、まだそういうニュースを聞くのは海外の話ばかりですが、社員にAIエージェントを配れば、どこでもこんな事故は起こり得ます。

 

さらにコストです。チャットであれば月額3000円くらいのアカウント料で社員にAIを提供することができました。ところがAIエージェントでは、その10倍、100倍のトークンコストが簡単に発生してしまいます。ある企業では、すでに人件費の2割くらいに相当するトークンコストを払っているとか。もうAIはツール代ではなく、成果を生み出してくれなければ払えないレベルのコストになっているのです。

個人事業主の良さ

こうした状況みるに、AI時代において個人事業主こそが、最もレバレッジがかけられるいい立ち位置なのではないでしょうか。何しろ、すべての責任は自分で負えます。どんなツールを使ってもいいし、どれだけAIにコストをかけてもいい。リスクもROIも、自分で使う分には何も気にする必要はないのです。

 

僕自身、現在契約しているAIサブスクはこうなっています。

  • ChatGPT Pro 100ドル
  • Claude MAX 100ドル
  • Gogole AI Pro 2900円
  • Super Grok 30ドル

そして使っているツールは、Webのチャット以外だとこれです。

  • Codex
  • ClaudeCode
  • NotebookLM

AIの活用は僕にとってPCの登場以上のレバレッジ手段です。でももしぼくが従業員を雇うとしても、AIを使えるようにはしないでしょう。いやChatGPTくらいは提供するかもしれませんが、AIエージェントを使わせるようなことは怖くてできない。雇用主として責任が取れないからです。

 

逆に、相手も個人事業主なら、自身の責任でぜひAIを使って仕事のスピードと品質を高めてくれって思います。

 

仕事の内容にもよりますが、これまで大企業の中にいたほうが、ツール、データ、予算のすべてが個人よりも上回っていることが多かった。でも、AI時代においては、個人事業主のほうが、適切にAIを活用できる可能性が高いのではないでしょうか。

Mythos時代

ただ、今後は分かりません。現在最高峰のモデルといわれるAnthropicのMythos/Fableは米国政府によって提供が止められています。そもそもMythosは限られた大企業だけに提供されました。Fableは米国人以外利用禁止です。

 

どの組織に属しているか、国籍がどこか。AIがサイバーテロも起こせるような戦略兵器的な扱いになるにつれて、どんな組織に属しているかがライセンスになる時代も来そうです。そうなったら、やっぱり大企業にいるほうがAIの効果を存分に引き出せるのかも。

 

まぁそれでも、自分の活動する環境を自分自身でコントロールできるというのは、パフォーマンス云々を抜きにしても、僕にとっては尊厳の問題です。そういう意味では、やっぱり会社を辞めてよかった。改めてそんなことを思うわけです。

 

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