九条です。FIRE後の自由な生活をベースに、投資・税制・制度・クリプト・法人運営を考えるブログです。 利回りや還元率の表面ではなく、税引き後の手取り、制度の前提、リスクと不確実性を見ながら、自由を増やす方法を書いています。

Q:ポイ活は労力に見合わないのでは? 読者からの質問に答えます

ポイ活は労力に見合わない?

読者の方から質問箱で下記のような質問をいただきました。

九条さん、いつも鋭くためになる記事を楽しく拝読しております。 ポイ活やメルカリ、優待クロス取引などについて質問です。これらは「動けばほぼ確実に成果が出る」「知的ゲームとして面白い」という満足感がある一方、金額の絶対値としては小さなことも多く、自分の資産規模や時給換算で考えると非効率であることもしばしばあり、自分で運用している「AI投資委員会(合理的な客観判断)」からは「労力に見合わない」と否決されてモヤモヤすることがあります。

九条さんご自身も大きな資産を運用されながら、ポイ活やお特な小技の検証・実践を楽しまれているかと思います。ご自身のタイパや資産規模と照らし合わせた際、こうした「投資効率からは外れるが、ゲームとして面白い取り組み」をご自身の中でどのように位置づけ、スタンスやマインドセットを整理されているのでしょうか? 九条さんの割り切り方や別の合理性があるのかをぜひ伺いたいです。

ポイ活や優待クロスなどは、金額の絶対値が小さく、労力が見合わない。そんな中、どう位置づけて整理しているのか、合理性はあるのか。というご質問だと思います。ありがとうございます。

道に千円札が落ちていたら拾いますか?

これを考える上で、一つ思考実験をしてみましょう。道を歩いていたら千円札が落ちていました。周りにはだれもいません。これを拾いますか?

 

この問題には歴史的なジョークもあって、経済学者は拾わないそうです。なぜかというとこれが本物の千円札ならすでに誰かが拾っているはずで、誰も拾っていないということは偽物だから――という、効率的市場仮説をからかった小話です。

 

さてじゃあぼくはどうかというと、拾います。そりゃ、拾います。あ、ネコババするのか?!とか交番に持っていけ!とかそういうのはここではなしですよ。あくまで思考実験です。

 

そして、もし資産額が増えていったり、ものすごく高給を稼ぐ人なら、千円札が落ちていてもスルーするでしょうか。その境目はどこでしょうか。資産1億とか年収1000万なら千円札はスルーなのでしょうか。それとも資産10億とか年収3000万あたりがスルーするラインなのでしょうか。

 

別の観点で、落ちていたのが1万円札ならどうでしょうか。「僕には資産が十分にあるから」とスルーするでしょうか。「止まって屈んで拾う時間を考慮すると、時給換算で見合わないから拾わない」と考えるラインがあるのでしょうか。

資産額や年収とは別のファクターで動くのでは

この思考実験をちょっと考えると、資産額や年収は全く無関係ではないが、落ちている1000円札を拾うかどうかは、別の要素、ファクターに依存するのではないかと思うのです。

 

例えば、ぼくの母は株式投資などはやるのですが、キャンペーンによるキャッシュバックや現金付与が全く響きません。スーパーで便利だからと電子マネーは作るものの、「PayPayアカウント今作ると1000円もらえるよ?」といっても、「面倒だからいい」といいます。

 

必要かどうか便利になるかどうかを主軸に考えていて、なにか特典がもらえるかどうかでは動かない。それが徹底されているなぁと感じるわけです。

 

翻って僕はというと、「落ちているお金は拾う」という主義です。先の思考実験でいえば、100円玉が落ちていれば拾うし、1円玉でも拾います。そこには主義があるだけで合理はありません。いや、落ちているのが道の向こうで、遠回りして横断歩道を渡らなければいけないのなら諦めるかも。ただ落ちているのが1万円札ならそれでやるかも。そういう意味では、合理性が全くないわけではないのですが、落ちているお金をひろうことに関してはかなり腰が軽いのです。

時給を軽く考えすぎ

またポイ活や優待クロスなどについて、本当に労力に見合わないのかは検証してみる必要があります。例えば、ポイ活は数クリック、時間にして10秒ほどで500円分のポイントをゲットできるような内容がよくあります。これは時給に換算するとなんと18万円にもなります。

 

確かに絶対額は500円と小さいのですが、時給換算で18万円の仕事がそこにあって、それは何の特殊能力もいらず単にボタンを押すだけで貰える。案件を探すところから含めて30分かかるなら割に合わないけど、目の前に案件があり、10秒のクリックだけなら話は別です。

 

優待クロスについても考えてみましょう。ちょっと前の実績ですが、2021年の実績を1名義ベースに置き直すと、年間223銘柄、瞬間最大必要資金969万円、優待価値37万2700円余りでした。貸株料や逆日歩を差っ引いても30万円くらいは得られます。これは瞬間最大必要資金利用に対して、3.09%のリターンです。

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ではこの年間30万をどのくらいの労力で手に入れられるのでしょうか。1銘柄あたり、証券コードを入れて、注文ボタンを押し、数量を入れ、成行を選択、暗証番号を入れて注文ボタンです。売り買いあるので、これを2回。権利落ち日にポジション一覧から現渡ボタンを押し、数量を入れて暗証番号を入れてボタン押下で完了。しかも僕の場合、数量、成行選択、暗証番号はブラウザが自動で入れてくれます。つまり1銘柄3クリック。売り買い現渡で3倍の9クリック。これが223セットで2007クリックです。

 

2007クリックで30万円得られるのですから、1クリックあたり150円弱の価値ということになります。1クリック150円の仕事(しかも全く頭は使わない)は非合理でしょうか? 僕の場合、複数名義を高速に切り替えて淡々とクリックをしていきます。実測で、1銘柄x7名義で買い注文するのに1分くらい。売りも同じくらいなので、1銘柄・1名義あたりに直せば10秒弱です。10秒x売り買い現渡x223セットで6690秒=112分。

 

もちろん資金移動とかログインの手間とかもあるので、これを2倍しましょう。それでも224分=3.8時間。保守的に4時間で30万円としても時給7.5万円になります。ひたすらポチポチとクリックしていくだけの作業で時給7.5万円。いったい、資産額がどれだけあって収入がどのくらいあれば、時給7.5万円が非合理になるのでしょうか*1

 

僕の場合、子どもの口座(取引主体者は親となる)や法人口座が多数あるのでだいたい7名義運用しています。クロスで得られる優待価値は、直接的なクロスコスト控除後でも7名義なら200万円を超える計算です。もちろん7名義なら作業時間も増えますが、基本的には名義数に比例するだけなので、時給換算は大きく変わりません。そして残念ながら、この年間200万円の所得を誤差といえるほど僕の資産は大きくない。だから、時給換算でも資産見合いでも非合理とは言えないなぁなんて思うわけです。

それでもゲームである

ただ敢えて計算してみましたが、これらがゲームであることには変わりありません。世の中に残っている歪みを見つけて、それを換金する。そういうゲームです。これを浅ましいと思う人もいるかもしれませんが、まぁふるさと納税とか節税対策と同じくらいの浅ましさはあるでしょう。

 

ちなみにメルカリでは、普通に300円で出品して手数料で30円、送料で180円とか取られて、手残りが90円なんて取引をしていますが、これはひとえに「捨てるよりは必要としてくれる人に使ってもらいたい」という気持ちから。僕だって地球環境のことを考えているのですよ。

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*1:なおクロスのために使った資金の調達コストまたは運用機会損失コストも考えなければなりません。ただそれは1回あたり3−5日程度、年間で60日程度であり、金利2%で調達したとしても3.3万円程度でしかありません。