Xを通じて交流のあるななしさんが、本を出しました。タイトルは『氷河期世代のお金の戦略』。手取り25万円、妻子持ちで7000万円を貯めた戦略の本です。いやぁ、どう貯めたかが気になります。
もちろん貯め方も書いてあります。ただ今回聞いたのは、ななしさんが、どうやって本の出版に至ったのか? ということ。 それから、本を読んでいて引っかかった生活保護の話も聞きました。
※メールでいただいた回答を、趣旨を変えない範囲で対話形式に整えています。
「Gakken? 詐欺かな」
九条: Gakkenから書籍化の連絡が来たとき、最初はどう思いました?
ななしさん: 「Gakken」とあったので、詐欺かな?と思いました(笑)。ただ、やり取りをするとちゃんとした話だったので、何度か話しながら本気度を確認しました。
九条: 自分の本が出る話なら、すぐにうれしくなりそうです。でも、最初から乗り気だったわけではないんですね。
ななしさん: 私は毎日ブログを書いていますし、本業もあります。最初はそこまで乗り気ではありませんでした。ただ、編集担当さんの情熱がすごくて、同じ氷河期世代で年齢も近かったんです。それで「じゃあ、頑張ってみようか」となりました。
まぁ、いきなりメールが来たら、ぼくでも疑います。
編集者も老後が不安だった
九条: 編集担当さんとのどんな話が、引き受ける決め手になったのでしょう?
ななしさん: 担当さんも氷河期世代で、社会に出たときは本当に大変だったそうです。生きていくことで精いっぱいで、サービス残業や休日出勤もあったと聞きました。何とか働いてきたけれど、気づけば老後が見えているのに何も準備していなくて、焦っていると話していました。
九条: Gakkenで働く人でも、同じところで焦っていたんですね。その点は意外でしたか?
ななしさん: 私からすると、Gakkenで働くような人でもそうなのか、と思いました。自分で考えて準備できる人もいます。でも、最初から「自分には無理だ」と決めつけて、動かない人もたくさんいると思うんです。だったら、本を書けば少しでも役に立つ人がいるかもしれない。それなら頑張ってみよう、と考えました。
編集担当者にも聞きました。ご本人も老後のお金が不安だったそうです。
編集担当者より(回答を一部抜粋。表記を整えました)
この企画は「自分やまわりの友人」のために考えました。親の入院や自身の体力の衰えで、「働けなくなったら、詰む」と不安になりました。
「こんな時代に生まれたのは仕方ない。とにかく、やれることをやろうよ」。ななしさんのこの言葉を「まだ何もしていない」読者に伝えたいと思っています。
ななしさん: 担当さんから「自分の老後資金を準備する勉強にもなるので、本ができたらうれしい」と言われました。少なくとも一人の役には立てます。それも大きかったですね。
初めて見た「校閲ガール」の現場
九条: 初めての本づくりで、印象に残ったことはありますか?
ななしさん: 楽天証券にも内容を確認してもらったことには驚きました。あと、私は小説の『校閲ガール』が好きなんです。実際に校閲の赤字を見られたのは胸アツでした。赤字を見ただけですけど(笑)。
初稿から最終稿まで、途中で構成が変わったり、ばっさり削られたりしたところもあったそうです。それでも、老後資金の見積もりとNISAの話はちゃんと残っています。
投資前の自分に届けたい
九条: 7000万円という結果だけを見ると、ずっと迷わず行動してきたようにも見えます。実際には、何もしていなかった時期もあったのでしょうか?
ななしさん: 資産形成の本は読んでいましたが、実際には何もしていない時期もありました。結婚して子どもができると、投資に回すお金も少なくなります。それで副業を始め、少しだけ積立投資に回せるようになりました。でも、副業や投資を始める人は少数だと思います。
これは分かります。ぼくも初めて投信を買ったときは、おっかなびっくりでした。知っているのと、実際にお金を入れるのは別なんですよね。
九条: だから、この本の読者として思い浮かべたのも「投資前の自分」だったのですか?
ななしさん: 基本的には、過去の自分を救いたいという気持ちなんですよね。投資を始める前の自分や、老後が不安だった自分です。年収が低くて「老後は終わった」と思っている人に一冊でも届いて、読んだあとに動いてもらえたらうれしいです。
本もまずは第1章の「老後のお金を見積もろう」から始まります。NISAや積立投資の話は、そのあとです。
ななしさん: 氷河期世代も、自分と向き合って将来を見積もり、準備すれば大丈夫だと伝えたいです。いつも言っていることですが、庶民はコツコツ最強です。
7000万円の本に生活保護が出てくる
九条: ぼくが読んでいて最も気になったのは、最後の生活保護の話でした。7000万円を貯めた人の本なのに、最後は「どうしても無理なら、迷いなく生活保護を」と書いています。なぜ、資産形成の本にここまで入れたのでしょう?
ななしさん: 氷河期世代には、本当に生活がしんどい人もいますよね。私は貧乏な家の出身だからか、実際に生活保護を受けている人との関わりもありました。最後のセーフティネットがあるから、そんなに人生を悲観しなくていいと伝えたい気持ちが大きいです。
タイトルに7000万円とあっても、ななしさんが思い浮かべたのは「老後オワタ」と感じていたころの自分です。なるほど、だから生活保護の話まで出てくるんですね。
九条: 最後に、読み終えた人に一つだけ行動してもらうなら、何をしてほしいですか?
ななしさん: 証券口座を開設して、積立投資を始めてほしいです。一度始めれば、人生を変える大きな行動になります。最初に読んでほしいのは、第1章の「老後のお金を見積もろう」です。
「7000万円貯めた!」を見て「自分には関係ない」と思う人もいるかもしれません。ぼくも最初は投資成功談の本だと思いました。でも、実はここに至ったななしさんの考え方のエッセンスが、この本のキモなんですよね。だから、ななしさんが読んでほしいのは、老後が不安なのに何も始めていない人です。
そして、流石だなあ!とおもったのは、「老後のお金を見積もろう」という生活費のチェックが最初の最初にでてくること。そう。使う目的もなく単にお金を増やしたい!という投資本ではなく、自分に必要な金額をまずは把握して、それに必要な額をなんとか作ろうという本なんです。
投資の最初の一歩は、知識より勢いだったりします。老後のお金は気になる。でも、まだ口座も作っていない。そんな人は、本を読み終えた勢いで証券口座を作り、積立まで設定してしまうのも手です。投資の第一歩も、そんな感じではないでしょうか。

