投資でセミリタイアする九条日記

セミリタイアを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

レイ・ダリオのオールウェザーポートフォリオを検討する

個人投資家向けのベンチマークを検討する中で、改めて価値を再認識したのがレイ・ダリオのオールウェザーポートフォリオ(All Weather)です。「全天候型」の名の通り、経済状況によらず安定したパフォーマンスを見せるのが特徴です。どんなポートフォリオで、どんな特徴があるのか、Portfolio Visualizerのバックテストを使って確認してみます。

S&P500とのパフォーマンス比較

まずは米国株指数のS&P500とのパフォーマンス比較です。下記グラフの「Portfolio 1」がS&P500、「Portfolio 2」がオールウェザー(簡易複製ポートフォリオ)です。ちなみに縦軸は対数表記となっています。

f:id:kuzyo:20191113162540j:plain

まず分かるのは、オールウェザーがリーマン・ショックをほとんど無傷で乗り切っているということです。この安定感が最大のポイントです。しかし、その後の回復期では、S&P500に負け続けます。ちなみにCAGR(年平均成長率)で見ると、S&P500が8.29%、オールウェザーが7.12%となっています。

 

上記はリーマン・ショック直前からのグラフですので、リーマン・ショック直後からのパフォーマンスも比較してみましょう。

f:id:kuzyo:20191113170604j:plain

なるほど、S&P500が+300%の増加なのに対し、オールウェザーは+100%です。大きく差がつくことになりました。この間だけを取ってみると、S&P500のCAGRが14.1%、オールウェザーは7.1%です。これは歴史的に見ると、S&P500のリターンが素晴らしすぎたともいえると思います。

小さなドローダウン。安定感が魅力

オールウェザーポートフォリオの最大の魅力はドローダウンの小ささです。2008年の結果を見ると、S&P500が30%近い下落だったのに対し、プラスの成績で終えています。回復期の2009年や、大きく株が伸びた2013年のリターンは大きく負けましたが、「減らない」のがこのポートフォリオの特徴です。

f:id:kuzyo:20191113162546j:plain

債券比率が高いこともあり、配当や利息などのインカムも安定しています。

f:id:kuzyo:20191113162550j:plain

オールウェザーはどんなポートフォリオなのか

レイ・ダリオは、書籍「世界のエリート投資家は…」の中で、オールウェザーポートフォリオの基本的なアセットアロケーションを、次のように書いています。

  • 株式         30%
  • 中期米国債(7-10年) 15%
  • 長期米国債(20-25年)  40%
  • 金          7.5%
  • 商品         7.5%

これは、それぞれETFに当てはめると、下記のようになります。株式をここではS&P500連動のSPYにしましたが、全世界株式のVTにするのもありです。

  • 株式         SPY
  • 中期米国債(7-10年) IEF
  • 長期米国債(20-25年)  TLT
  • 金          GLD
  • 商品         GSG

ちょっと気になるのは、金と商品が入っていることです。アセットアロケーション的には、金と商品はインフレヘッジ向けの資産クラスになります。この期間は米国であってもインフレは2%程度と穏やかでした。そのため、基本的に成長せず、インカムもうまない金と商品は、パフォーマンスの重しになってきました。

 

下記が米国の直近25年のインフレ率推移です。高いときでも4%程度、直近では2%前後で推移しています。このくらいのレンジならば、金や商品を入れ込む必要はないのかもしれません。

f:id:kuzyo:20191113172723j:plain

しかし、より長期の1920年からのインフレ率推移を見ると、直近がいかに低インフレだったかが分かります。世界大戦中はともかく1980年にもインフレ率は10%を超えています。こうしたタイミングでは、現金は持っているだけでどんどん価値を失います。金のようなインフレヘッジ資産クラスが重要になってくるということです。

f:id:kuzyo:20191113172836j:plain

 そして現在、「債券はもはや安全資産ではない」という話も出ています。通常、債券は株式リスクのヘッジ目的で組み入れられますが、JPモルガンAMによると債券はもはやヘッジに使えないというのです。

www.bloomberg.co.jp

背景には、いわゆる「債券バブル」があります。株高も続いていますが、ショック時には長期金利の上昇、つまり国債の大幅下落が起きる可能性が高く、すでに国債の一部は調整に入っています。

 

JPモルガンAMも、

向こう10年はプライベートエクイティー(PE、未公開株)や実物資産のような代替投資先がリターン向上に役立つと考えている。

としており、金や不動産などがやはり重要なアセットクラスになりそうです。