FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

人間心理&確率

『原価厨』という病 「ぼったくり」の認識と「自分にとっての価値」

世の中には「原価厨」という人たちがいます。何かの値段を評価するときに、その“原価”に着目して、原価に少し利益が乗ったくらいの価格なら適正、原価を大きく超える価格なら”ぼったくり”認定するような人たちです。 iPhoneの原価は意外に安い? 物販なら原…

ドル投資は期待値プラス?「シーゲルのパラドックス」または「2つの封筒のパラドックス」

よの中にはいろいろなパラドックスがありますが、投資に関しても一見騙されてしまうパラドックスがあります。というか、よくよく考えても、どういう解釈が正しいのか、よく分かりません。そのうちの一つ「シーゲルのパラドックス」または「2つの封筒のパラド…

金融教育を受けた人ほど金融トラブルに遭いやすいのか?

「金融教育を受けた人のほうが、受けない人よりも金融トラブルに遭いやすい」。一見そんなふうに見える調査結果が話題です。はて、なんでこうなるのでしょうか。そこには典型的な疑似相関が存在しています。 金融教育の有無と投資トラブル 金融教育を受ける…

自己責任と公正世界仮説 「被害者にはそうなる理由」があったのか?

投資において相場が下落したり、事件が起こったりするたびに囁かれる言葉があります。「投資は自己責任だから」――。表面的には、そのとおりだよねと感じることも多いこの言葉ですが、実は意外と奥が深い。今日は、「自己責任と公正世界仮説」について考えて…

確実な少額と、大当たりで爆益と、どちらのキャンペーンに惹かれる?

マーケティング目的のキャンペーンには、確実に少額な還元があるものと、抽選ではあるものの大きな還元がもらえるものの2種類があります。これの良し悪しを考えてみました。 確実な少額と抽選大還元の例 考え方 その1:期待値で考える 考え方 その2:ワクワ…

投資人気と株価の“やっぱり”な関係

一応、ぼくのブログは投資ブログなのですが、このところあまり投資の話題を書いていません。そもそも売買しない質なのに加え、ポートフォリオが固まってきたこと、リバランスしようにも株価が下落して売りたくないなんてのが理由です。それにしても、世間で…

「足るを知る」なぜ投資家はリスクを取り続けるのか 『サイコロジー・オブ・マネー』

『サイコロジー・オブ・マネー』を読んでいます。こちら、投資に関する本でありながら、投資理論や投資手法の本ではなく、お金に関する向き合い方と、人間心理の話。かといって、昨今流行の行動経済学でもありません。 サイコロジー・オブ・マネー――一生お金…

ゼロリスク信仰 銀行、自動車、原発

絶対的なものに安心感を抱く人がいる。確実性、ルール。すべては黒か白 BULL/ブル 心を操る天才 シーズン1(トク選BOX)(11枚組) [DVD] マイケル・ウェザリー Amazon 人はなぜリスクを嫌うのでしょうか? 絶対的なものに安心感を感じるというのは、おそらく人…

「確率マッチング」という不合理はなぜ起こるのか

『適応的市場仮説』からのお話も、今回が最後。「確率マッチング」という不思議な判断についてです。 エルスバーグのパラドックスとは? 損失回避効果がもたらす投資パラドックス 資本主義という中毒 儲けと快楽 Adaptive Markets 適応的市場…

資本主義という中毒 儲けと快楽

お金はどうしてこんなにも、いろいろな人を魅了するのでしょうか? 「貯め込んでも仕方ない。使ってナンボだ」という意見がある一方で、使い切れないほどの金額になってもさらに増やしたいという人は枚挙にいとまがありません。そこには脳の快楽中枢が影響し…

損失回避効果がもたらす投資パラドックス

行動経済学の概念の1つに「損失回避効果」というものがあります。プロスペクト理論の1つで、「ヒトは利益を得られることよりも、損失を忌避する傾向が強い」ことを指します。 そりゃそうだよね、と思うかもしれません。ところが、一歩踏み込んで見ていくと、…

エルスバーグのパラドックスとは?

投資にまつわる金融理論にはアカデミックな1つの柱があります。それは「効率的市場仮説」というもの。多くの理論がこれをベースに、またこれに例外を付け加える形で構築されています。インデックス投資の理論的背景が効率的市場仮説ですね。 ところが効率的…

我々はスキルと運の間で生きている 書評『確率思考』

投資に対する考え方に、示唆的で自分の思考をアップデートできる一冊に出会いました。プロポーカープレイヤーが書いた『確率思考』です。投資家にとっては、示唆的なことが多く、自分のスキルと運をどう捉えるかについて、考え方をアップデートしてくれる一…

ポートフォリオの損益が確認できるアプリは害しかない

自分のポートフォリオを入力しておくと、リアルタイムで損益が分かるアプリやサービスがあります。これって、便利なようでいて、実は害しかないと思っています。 そもそも何のために投資するのか 過去の推移より未来への指針を 損益をチェックすべきとき 過…

人はどうしても損失に目がいく VIX投資で実感

実は、FRBの議会証言直前の7月3日と4日に、VIXロングのポジションを取りました。GMOクリックのCFDで米国VIロングです。タイミングとしては、12ドル台であり直後にFRB議長が利下げを渋るかどうかを控え、悪くないタイミングだと思っていました。 VIX値は最低…

権威主義者の見分け方

社会のいろいろなところに、権威主義者がいます。権威主義者とは、権威を重視し権威に服従する姿勢の人のことです。会社の上司が権威主義者だと、部下は機能的に行動することができなくなります。 権威主義者の見分け方 『権威主義の正体』 「いま忙しい」と…

『効率的な利他主義宣言!』に見る、目の前の人を助けるか、多くの人を助けるか

先日、『効率的な利他主義宣言!』を読みました。慈善活動、つまり人助けというのは世界を良くするという意味でも、自分自身が幸福になるという意味でも大切なことです。では、どうしたら最も合理的に慈善活動を行えるのか? という問いへの答えを示した本に…

人材という言葉が嫌い

「人材」という言葉が嫌いです。同じように思う人は多いようで、昨今は敢えて「人財」という言葉を使う人もいますが、実は「人財」も嫌いです。 人材の語源 なぜ嫌いなのか 人材には、仲間とかパートナーと違う 人材の語源 もともと人材という言葉は「人才」…

VIXで損失と利益の心理的影響を実感する

同じ利益でも損失でも、その状況によって人の感じ方は変わります。買った株が暴落して半値になったら夜も眠れないほどの悲しみになりそうですね。では、売った直後に暴騰してしまったら、同じように夜も眠れないほど悲嘆にくれるでしょうか? 損得とアクショ…

確率から考える運 運がいいとはどういうことか

運がいいとはどういうことでしょう。 人は若い時はなんでもできるという全能感を持っていますが、歳を重ねるごとに自分の限界を知るようになります。自分自身についても、これまでの仕事の成果を自分の能力のおかげだと思っていた時期がありましたが、次第に…

投資もケータイプランもシンプルなほうがいい

ウォーレン・バフェットの有名な言葉に、「理解できないものに投資するな」があります。これは1992年の株主向け書簡からでしょう。 "We select our marketable equity securities in much the way we would evaluate a business for acquisition in its enti…

なぜ日本人は投資嫌いなのか?

先日知人と話をしていて、「ポイント還元とか投資とか、そういうのは好きじゃないんですよ」という話が出ました。理系の技術系の人だったので、なんでかな? とは思ったのですが、その場では理由を聞くことができず。 でも、周りの人と話をしていると、 資産…

意識は脳のバグなのか? 『ホモ・デウス』が示唆するもの

意識は複雑な神経ネットワークの発火によって生み出される、一種の心的汚染物質だ。意識は何もしない。ただそこにあるだけだというのだ。 ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来 『サピエンス全史』の著者が送る新作『ホモ・デウス』を読…

幸せになるための金の使い方 限界効用逓減かピークエンド法則か

人生の大きな目的の一つは「幸せになること」でしょう。多くの人がそうだと思います。では幸せになるにはどうしたらいいか? いくつかの研究から幸せになるための面白いメソッドが明らかになっています。 どっちの人生が素敵ですか? 最初に質問です。あなた…

含み益は利益なのか? 『億男』で考える損失回避と機会損失

米国株の乱高下が続いています。特に2017年からは継続的に上昇してきましたので、不調が精神的にダメージが大きいです。下記は、S&P500の1年間の推移です。2018年は2月に大きく下がったあと、再び上昇して最高値をつけましたが、結局この秋の下落で年初と同…

キャシュフローゲーム会に出ると勧誘メールが来る

以前、久しぶりにキャシュフローゲームがやりたくなって、巷でやっているキャシュフローゲーム会に出席しました。ネットでは、「キャシュフローゲーム会は、ネットワークビジネスやマルチ商法の勧誘がすごいので注意」という話がたくさん載っています。 kuzy…

エンタテインメントとしての買い物

毎日新聞の読者投稿が話題になっていました。スーパーがセルフレジになって、店員とコミュニケーションがなくなったので、買い物に行く気がしない、という内容です。 近くのスーパーがセルフレジを導入した。今まで店員さんが入力していたバーコードを自分で…

コスパ思想につきまとう計測可能性問題

昨今「コスパ」が流行です。何かモノを買ったりサービスを受ければ、「コスパが良かった」「コスパが悪かった」と口々にいいます。なぜ、みんなこんなにコスパを気にするようになったのでしょうか。 言うまでもなくコスパとはコストパフォーマンス、つまりパ…

人生におけるサンクコスト(埋没費用)

人は、これまで費やしてきたものを大事に考え、それがうまくいく見通しがなくても「せっかくこれだけの時間やお金をつぎ込んできたんだから」と思う傾向があります。これをサンクコスト(埋没費用)といいます。 事業ではよくいいますね。10億円費やしたもの…

 年収700万円を超えると幸せが増えない? カーネマン研究を読み解く

ヒトはみんな幸せになりたいと思って暮らしています。しかし幸せの定義はいろいろで、一律に「こうすれば幸せになれる」という方法はありません。それでも、現代の政治や経済では、それをカネに置き換えて考えるのが通例です。個人ももっと稼げばハッピーだ…