FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

オプションを学ぶための入門書 5選

デリバティブの中でもオプションの面白さは別格です。利回りがどうとかリスクがどうとかよりも、数学的なエレガントさと抽象度の高さに惹かれます。一方で、学ぶのが難しいのもオプションです。意外と入門書がありません。

 

そんな中で、僕が読んでよかった!と思ったオプションの入門書を5冊ほど紹介します。だいたい易しい順に書いておきます。

 

東大卒医師が実践する株式より有利な科学的トレード法

東大卒医師が実践する株式より有利な科学的トレード法

 

 

『東大卒医師が実践する株式より有利な科学的トレード法』とあると、何だこれは? と思いますが、要は米国株式を対象にしたカバードコール戦略の本です。オプション戦略の中でもカバードコール(CCW)はメジャーな手法ですが、一冊まるまるカバードコールというのはあまり見ません。

 

内容は医師らしく、「ロジックはともかくエビデンス」です。ですので、数式は出てきません。過去のエビデンスによると、株を買ってもっているよりも、カバードコールを仕掛けたほうが優位にリターンが上昇するという結果になっており、それを豊富なデータを元に解説します。どのくらいの限月がいいのか、コールを売る価格はどのくらいがいいのか、などたいへん具体的なので、カバードコールに注目している人は一読の価値があると思います。

この研究結果によると、リターンについては、権利行使価格は現在の指数より3%上のアウト・オブ・ザ・マネーのコールが良く、権利行使価格が現在の指数より3%下のイン・ザ・マネーのコールは、リスク(標準偏差)は最小ですがリターンも減っています。

  

最新版 オプション売買入門

最新版 オプション売買入門

 

 

分厚い本ですが、まさにオプション売買の入門書です。理屈やデータというよりも、「こんなふうにするといいよ」という感じで、複数の戦略を説明しています。オプションの入門書は「ブラック・ショールズ方程式によると……数式数式」というのも多いので、雰囲気をつかみたい、でどうやって儲けるの? という人に最適化だと思います。

 

ただし、基本的には「オプションいいよ!」という本なので、鵜呑みにして取引すると大怪我をするようにも思います。

つまり、オプションの買い手にとって有利な状況(オプションの売り手にとって不利な状況)とは、ボラティリティが相対的に低い状況なのです。

 

実務家のためのオプション取引入門

実務家のためのオプション取引入門

 

もし僕と同じく、オプションという手法自体に興味があるなら、この『実務家のためのオプション取引入門』が一番のおすすめです。かなり数式も出てきますが、本当の最初から丁寧に順をおって解説してくれます。

 

オプションの価格は何で決まるのか? というのは本質の話で、どの本でも書いてありますが、数式を自分で触りながら理解できるように見ていくなら、本書が最適です。ただし、具体的な取引手法についてはさらっとしかないので、上の『 最新版 オプション売買入門』あたりとセットで読むのがいいのではないでしょうか。

 

8章で述べたように、オプショントレードの大きな目的の1つは、オプショナリーのトレードにあります。つまり、ガンマ、セータ、ベガをトレードすることです。

もちろん、保険として、あるいは手軽にデルタを得るためにオプションをトレードすることも至極正しいオプション取引です。

しかしそうでなければ、ほとんどの場合オプションについてくるデルタは不要となります。

 

なお全14章のうち、最終章は「VIXとは」とVIXにフォーカスを当てています。

 

トレーダーは知っている-オプション取引で損をしない「法則」-

トレーダーは知っている-オプション取引で損をしない「法則」-

 

 ある意味、最も具体的なのがこちらの『トレーダーは知っている-オプション取引で損をしない「法則」-』です。なにしろExcelシートが付録でついていて、そこに数値を入れることでオプション価格を計算してくれます。逆に、数式はほとんど出てきませんが、体感的な難易度はけっこうあります。オプションの理論的な概略を知るには、上記の『実務家のためのオプション取引入門』と併せて読むのがいいと思います。

 

オプションに本当に詳しくなりたい方には、なんとSabrモデルまで解説している(全6章のうち、5章はまるまるSABRモデル)日本語の本として、本書は有名です。ただし、後半からは妙に実務的になり、つまり個人投資家ではなく業務でオプション取引をやっている人向けの内容になっていきます。表紙とタイトルから受ける印象とは全く違う中身なので注意が必要です。

 

日経平均オプション入門

日経平均オプション入門

 

 

最後にこちらの『日経平均オプション入門』です。こちらは理屈はほとんど載っていません。理屈を理解して、オプショントレードをしている人が、どんなマインドでいたらいいのかが、相場師的な観点で書かれています。

 

とはいっても、そこには長年のトレーダーらしい、「理屈ではこうかもしれないけど、こう考えないと危ないよ」 という話が満載です。バタフライを使ってオプションを「モデルを使わずに市場を観察する」とか、「オプション市場を動かしている力」(第6章)とか、スマイルカーブだけで一章分、代表的な戦略からトレードスタイルのいろいろまで、まさに実践といえます。

 

数式はなしで、難解なところはありませんが、基礎的なことをある程度知らないと、何を書いてあるのかわからないという本です。また、「日経平均オプション」とありますが、内容は日経平均について書かれていることはほぼなく、オプション全般にいえる話だと感じました。

 

オプションを始めるときに、買いはリスク限定、売りはリスク無限大という説明を聞かされます。これは、初心者向けに買いのメリットを強調した、偏った説明で、実践的にはまったく意味がありません。

 

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