セミリタイアを志すひとにとって、最大の関心事は「いったいいくらあればセミリタイアできるのか?」です。そしてこれはとても答えるのが難しい問題です。何一つおカネに困らない悠々自適な生活をしていきたいのなら、下記の記事でいうように30億円必要なのかもしれません。
一方で、普通のサラリーマン相当の生き方をするのにどのくらいの額が必要かというのもかなりの幅があります。年収400万円のサラリーマンもいれば、年収2000万円の人もいるからです。
実際に計算するためのシミュレーターも作りましたが、ここではもっとシンプルに計算をしてみます。
いまの生活水準を維持してセミリタイアすると仮定する
置く前提は、「いまの生活水準を維持してセミリタイアする」です。セミリタイアしたからといって急に支出が増えたり、これまでよりも生活を切り詰めることは想定しません。
さらに、いま何歳かも想定しません。いまが50歳なら定年退職前にセミリタイアしても、普通の人に比べて10年なんとかすれば済みます。40歳なら20年なんとかしなくてはなりません。しかし、資産を切り崩さずに不労所得だけで生活するならば、残りが何歳であっても変わらないことになります。
唯一、30歳でセミリタイアしてしまうと、そのときの生活水準を維持することになります。もし結婚して広い家に住みたいとか、子供ができたとかいう生活の変化が起きると大きく計算が狂うでしょう。一方で、家族の増減が今後ないという人は、現在の生活水準に満足している限り、気にすべきは「いまの生活水準を維持してセミリタイアするにはいくら必要か?」となります。
不労所得で生活するわけですから、当然資産には働いてもらわなければなりません。その時のリターンは、ある程度保守的に4%とします。
生活費の31倍の資産があればOK
現在の年間生活費をまず1とします。その前提で、生活費の何倍の資産が必要かを考えます。抽象化することで、現在の資産規模や生活水準によらない計算ができるからです。
年4%で1の収入を生むには、その25倍つまり25の資産が必要です。4%のリターンに税金がかかることも考えると、分離課税譲渡所得税率を20%として、実質3.2%リターンとすれば31.25倍です。そしてこの運用資金とは別に、生活費6カ月分を生活防衛費として持つことにしましょう。すると、31.75倍となります。ざっくり32倍と考えましょうか。
年間1000万円の生活費をかけている人は3億2000万円が必要な資産です。年間700万円なら2億1700万円、年間500万円なら1億5600万円といったところになります。
この値を調整するには、3つの方法があります。ひとつは運用利回りを上げることです。ただし、高いリターンを求めるとリスクもあがります。二つ目は生活費を抑えることです。ただこれは前提に矛盾します。日々の節約は重要ですが生活水準を下げるほどのことはしたくないですよね。3つ目は完全リタイアではなく、ある程度の収入を得ていく方法です。この収入によって生活費を補填できれば、総資産は少なくて済みます。
あとは、下記のようなことが見込まれます。
- 子供が巣立ったら生活費はきっと少なくなる
- 年金を受取り始めたら、年金で補填できる
- 残り年数によっては資産の取り崩しで補填できる
ただ少なくともいえるのは、生活費の31倍の資産があれば、現在の生活を続けていくことはできるだろうということです。