毎日新聞の読者投稿が話題になっていました。スーパーがセルフレジになって、店員とコミュニケーションがなくなったので、買い物に行く気がしない、という内容です。
近くのスーパーがセルフレジを導入した。今まで店員さんが入力していたバーコードを自分で入力、支払いをする。何だか放り出されたような気持ちになっていた。
ある日、懇意にしている建築屋さんが来て、「近くのホームセンターのレジがセルフレジになって、もう買いにいけない」と言う。夫も「そうなんだよ。みんなセルフレジになって買い物に行けなくなった」と嘆いた。その気になればできないことではないが、やりたくない気持ちが先にきてしまうのだろう。過疎地でもないのに「買い物難民」化している
ここには、2つの要素が入っていると思います。一つは「私は買い物をしてあげているんだから、店員は感謝の気持ちを表すべき」というもの。二つ目は「買い物はエンターテインメントであるべき」というものです。
投稿の節々に匂う「私は買い物をしてあげているんだから、店員は感謝の気持ちを表すべき」には、言うべきこともありません。お客様は神様だというおかしな風潮がありましたが、それは一部の人に根強いものなのかもしれません。
二つ目は、考察の余地があります。買い物を仕方ないが必要な動作だと考えれば、セルフレジ歓迎ですし、ネットショッピング大歓迎です。ところが、買い物というのはプロセス全体を楽しむものだと考えると、確かにセルフレジは味気がありません。
日々の買い物をエンターテインメントとして楽しめるよう、店員がキャストとして歓迎するコンセプトの店舗はありだと思います。それこそ、入り口から出口までエスコートして世話を妬いてくれる。必要があれば、いくらでも会話をしてくれる。店内は快適で、ゆっくりと過ごすことができる。
ショッピングではなく、レストランでの食事を考えると、このコンセプトがよくわかります。自販機で食券を買って、自分で配膳と片付けをする店のほうがいいか、ウエイターが注文を取って配膳してくれる店がいいかの違いです。
そんなコンセプトの店は、当然品物は割高になるでしょうし、滞在時間に対して課金する方法もありかもしれません。それでもニーズがあるなら、面白いと思うのですが、果たしてつくば市の72歳女性は、これを魅力的と思うでしょうか。