FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

三井住友カードの10万本タダチャンの当選確率を計算してみた

JCBのQUICPayで20%還元に続き、三井住友カードも大型のキャンペーンを始めました(9月2日)。「タダチャン」と銘打ち、9月2日から12月29日までの約4ヶ月間、抽選で10万本の買い物代金が全額タダになるというものです。

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当選確率は明らかになっていないが……

どのくらいの可能性で当選するのかは明らかになっていませんが、FAQを読み解くといくつかわかってくることがあります。まず、買い物ごとに抽選が行われるわけではなく、毎週金曜日に抽選を行い発表します。

 

都度抽選ではなく、金曜に抽選すると書いたのはFAQにヒントがあります。

本キャンペーンは各回の抽選において当選が出るよう企画しております。キャンペーン期間の途中で10万本すべてが当選することはございませんので、最後まで「タダチャン!」をお楽しみください。

もし先に当選確率を決めて、買い物ごとに抽選を行った場合、想定以上の買い物が行われると10万本が早期に出てしまう可能性があります。PayPayの100億円キャンペーンの早期終了と同じ事態です。

 

これを避けるために、当選本数を期間中17回ある当選発表日にバラし、発表日にまとめて抽選することで、最後まで当選本数を維持することができます。シンプルに考えると、10万/17で、各回5882本ということになりますが、おそらく日付によって傾斜をかけたり、最初と終わりは調整したりしているのでしょう。過去の秋から冬にかけての利用データに基づいて、当選確率が平準化されるように調整している可能性もあります。

抽選結果に応じて各回の当選本数が変動する可能性がございますので、公表することはできかねます。あらかじめご了承ください。 

これを読むと、各回平均5882本という本数決め打ちではなく、過去データに元づいて当選確率を事前に決め打ちしている可能性もあります。ただし、その場合はキャンペーンの早期終了の可能性が出てくるので、2つは矛盾します。本数と当選確率の併用で調整している可能性もあります。

クレジットカードの利用金額と利用件数を推定する 

さて、今度はクレジットカードの利用件数を推定してみます。日本クレジット協会の集計調査によると、2018年のクレジットカードショッピング利用額(信用供与額)は、66兆6800億円となっています。月間にすると、約5兆5500億円。相当大きな額ですね。

 

利用件数はというと、年間約100億件。月間で約85〜90億件程度です。ここから一件あたりの平均単価を計算すると、6668円となります。

 

JCBの調査によると、各種支払の中で、クレジットカードでの利用率が2番目に高いのが携帯電話料金で、約50%(クレジットカード保有者に対する比率)となっています。意外なことに、コンビニでの利用も18%に達しており、少額でもクレジットカードが利用されていることが分かります。一方で、航空券の支払いはクレジットカードの利用率が78%に上っており、高額支払いに使っていることも分かります。ともあれ、1件あたりの利用単価が6000〜7000円というのは納得感があるところです。

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続いては、三井住友カードの件数がどのくらいあるか。クレディセゾンが2017年度のカードショッピング取扱高について、イシュア(発行会社)別のシェアを推計したのが下記のグラフです。

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三井住友カードのWebによると、カード取り扱い高は2017年度で16兆3100億円です。ショッピングクレジット全体(2018年)の66兆6800億円に対するシェアで見ると、24%に達してしまいますが、これはキャッシングなどの取り扱い高も入っている可能性があります。図から推計すると、シェアはざっくり10%という感じでしょうか。

 

つまり、年間約100億円の利用件数に対して、三井住友カードの利用件数はだいたい10億件程度。月間にすると、8000万件程度ではないかと考えられます。4ヶ月だと、2.4億件あたりですね。

当選確率は、2.4億件に対する10万件

いくつか推計を重ねてきましたが、4ヶ月間の利用件数2.4億件に対して、当選本数は10万本です。ざっくり割ると、当選確率は0.04%となりました。

 

うーん。PayPayなどの無料当選確率に比べて、かなり小さいなというのが本音です。2500件に対して1件ということですから。

 

10万本の無料本数を、1件あたり単価の6668円で掛け算すると、キャンペーンにかかる費用は6億6600万円になります。これは100億円単位のキャンペーンコストをかけているコード決済に比べても、たしかに小さいですね。「タダ」をウリにしてお得感を演出していますが、実は小粒なキャンペーンなのではないでしょうか。

新規入会限定だが20%還元のほうがうれしい

これを見ると、新規入会に限られますが、上限1万2000円の20%還元キャンペーンのほうがお得ですね。最近の消費者は賢いので、当選確率も明示されていない「抽選でタダ」が本当に魅力的なのかは、意外と見抜くのではないかと思います。