かなり前に「宝くじで1億円当たった人の末路」シリーズの連載を日経ビジネスがやっていました。らしからぬ煽ったタイトルだな、と思ったものですが、確かになかなか面白い。
ほとんどは「1億円当たるとろくなことがない」という内容なわけですが、ではぼくが宝くじで1億円当たったら、どんな末路が待ち受けていそうか、考えてみました。
「宝くじで1億円当たった人の末路」シリーズ
まぁ大体の話が、「宝くじで1億円当たっても幸せにならない」「しっかり働くのが大事」というような、なんか道徳の授業みたいな話になっています。あんまり新たな気づきがないんですね。
そもそも滝さんなんて、マネーフォワードの共同創業者なわけで、上場目論見書によるとIPO時にSO含めて79万株を保有していました。現在の株価で約43億円相当になるわけで、ある意味、1億円以上”当たった”わけですが、宝くじで当たるのとIPOで一発当たるのはどういうところが違うのでしょうか。
IPO長者は揉めないのか?
例えば、宝くじが当たった人の末路として、次のような話が出てきます。
宝くじを当てると家族はもちろん、それまで縁遠かった親族までが直接的・間接的に“おすそわけ”を要求してくる
我慢しきれずに自らカミングアウトする人もいるし、隠そうとしてもついつい生活が派手になり周囲に隠し切れなくなる人もいる
人間の浪費というものは一回始まるとなかなか止まらない
企業側も「急に資産を築いた人」の財布を開くためのマーケティングは研究し尽くしています
んー。これってIPOで数億円の資産を築いた人にもそのまま当てはまるのでは? 宝くじに当たった人を心配するコンテンツより、IPOで資産を築いたときに、周りの人がどういう反応をしたかを聞きたいものです。もっともマネーフォワードの上場は、この記事が出た翌年なので、この時点では何も言えなかったとは思いますけど。
ぼくが宝くじで1億円当たったら?
ではぼくが宝くじで1億円当たったら、どんな末路になるか、ちょっと考えてみましょう。
まず周囲の人たちがおすそ分けを要求してくるかどうか。幸いにして家族や親戚は常識人ばかりで、そんな話が出てくることは想像できませんが、金の出どころが汗水たらして貯めたものではなく、幸運にも当たったものだと、「ちょっと貸してくれ」と言うハードルが低くなるのかも……という気もします。
でも、それこそIPO時のストックオプション(SO)だって宝くじみたいなものです。ベンチャーに新卒で入ったらSOをもらい、翌年上場してそれが1億円!みたいな話だってあるわけで、これは宝くじと似たようなものですよね。
では1億円当たったら生活が派手になるかどうか。これはあるともないとも言えそうです。実はぼくも、初めてSOでまとまったお金を手にしたとき、昔からほしかったクルマを買いました。当時の資産の10%くらいの額です。自分で貯めたお金では、そんな散財はできなかったような気もします。
「実は宝くじに当たったんだよ」なんて言わなきゃいいのに周りに言うでしょうか。言いたくなる気持ちがあるような気もしなくもないですが、これはないですね。だって資産額が増えていったときも、周りに自慢はしませんでしたから。
ただ代償行為として、絶対額こそ書かないものの、ブログやXでそれをほのめかすような投稿をしているわけで、やっぱり言いたくなるのかもしれません。
1億円にリアリティを持てるかどうか
この記事を書き始めたときは、「ぼくは宝くじなんて当たっても別に平然としているぜ!」と言いたかったわけですが、書きながらよくよく考えてみると、意外と指摘されたとおりのことをやってしまうかもしれません。
ただ一ついえるのは、1億円当たったからといって日々の生活が変わるようなことはないと確信できること。それはなぜかというと、1億円あったら何ができて、どのくらいでなくなって、運用したらどのくらいのリターンが得られるかのイメージが持てるから。つまり1億円にリアリティを感じられるからだと思います。
もしこれが100億円とかだと、リアルな想像ができません。ぼくも舞い上がってしまって、価値観が崩壊し、必要以上の散財をしてしまうかもしれません。「100億円当たった男」みたいなXネームにして、痛い金持ちアピールとか始めてしまうかもしれません。
自分の中でどれくらいの額ならリアリティを持って向き合える額なのか。結局のところ、そんなことが大事なのかなと思うのでした。