FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

流動性プレミアムを考える。高利回りだが資金が固定されるのはお得?

ソーシャルレンディングや不動産投資、太陽光発電など、そこそこ利回りは見込めるけど、長期間に渡って資金が固定化される投資があります。

 

生活用の資金を別に取っておいたとしても、

・急に資金が必要になった

・もっと利回りの良い投資先を見つけた

・一時的な証拠金や運転資金として使いたい

というような場合、資金が固定化されているのはデメリットになります。

 

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固定化されていることがデメリットなら、その分だけ利回りは上がっているはずですね。それを金融用語で「流動性プレミアム」または「非流動性ディスカウント」といいます。現金は強いのです。

 

では流動性プレミアムとはどのくらいあると考えればいいのでしょう? 単位は何で考えるのがいいのでしょう?

 

こちらのサイトでは、

流動性プレミアム=5年定期金利−1年定期金利

と書いています。

kabu-yutai.com

 

日本のメガバンクの定期預金金利は、年数によらず下限に張り付いている感じなので、ドル建てを見てみましょう。1年で0.4%、5年で1.05%。差し引きは0.55%となります。米国債の利回りを見ると、1年で2.04%、5年で2.62%。差し引きは0.58%です。このあたりが妥当なプレミアムといえるのでしょうか?

 

また、別のサイトでは、下記のように分析しています。

IPO以前5か月以内であれば、上場によって流動性を獲得できる可能性が非常に高いので、上場時の株価と上記期間に行われた取引価格との差は流動性の欠如によるもののはずだという前提

 

ここで引用されている論文では、なんと流動性プレミアムが平均で50%に達しているとのこと。ただし、IPOが失敗し流動性が限りなくゼロになるリスクというのも織り込んだプレミアムだと思いますので、定期預金の金利差よりは大きくなるでしょう。ここにIPO失敗時の買い取り権利などもついていれば、プレミアムはここまで大きくはならないように思います。

www.derukui.com

 

さらに、不動産の場合、物件を担保に入れれば現金を借り入れることができます。担保評価額は物件の実評価額の8割とかになるでしょうし、借り入れ金利も必要です。借り入れ金利を2%と考えれば、これも流動性プレミアムの裏返しといえるかもしれません。

 

また、流動性プレミアムはタイミングによって大きく変化するといえるかもしれません。たとえばリーマンショックの際には「流動性の罠」といわれたように、金融機関や投資家がたとえ安くても資産を叩き売って現金に変えようとしていました。こんなときはたいへんプレミアムが高い状況だといえます。逆に有望な投資先がなく、現金が余っているような状況では、プレミアムが低い状況です。現在の日本は、政府と日銀の必死の投資推進にもかかわらず、まだみんな現金を持っている状況です。流動性プレミアムが低いと言ってもいいのでしょう。

 

 僕としては、資金が固定されてしまう投資の場合、0.5%〜1.5%程度、利回りを割り引いて他と比較するつもりです。