投資でセミリタイアする九条日記

セミリタイアを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

書評:『世界一ラクなお金の増やし方』セミリタイアの参考にも

 インデックス投資ブロガーNightWalker氏の著書『世界一ラクなお金の増やし方』を読みました。アーリーリタイアされている方でもあるので、参考になったところをまとめておきます。

 

世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました

世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました

 

 

 

インデックス投資の概要がコンパクトに:1章〜5章

1章から5章はインデックス投資の概要をコンパクトにまとめています。投資なんてしたことがない、というような超初心者をターゲットとしているようで、既にインデックス投資を始めている人にとっては教科書的な内容がうまくまとまっている感じです。

 

投資タイミングの話(思い立ったらすぐに)、現代ポートフォリオ理論とアセットアロケーションの話(リスクを下げながらリターンを上げる)、リバランスの実際の手法(1〜3年に1回でOK)、市場がクラッシュしたときにどうするか(買わないで休む)といった内容になっています。

 

アーリーリタイアのチェックポイント:第6章

セミリタイアを目指す人にとって、何がどうなったらアーリーリタイアできるのか? は大変気になるポイントです。本書の類書に対するエッジは、この6章と7章にあると思います。

 

アーリーリタイアできるかどうかのチェックポイントとして、第1に著者が挙げているのが「年金は足りるか?」です。年金は、保険料を払えば払うほどもらえる金額があがるので、アーリーリタイア後の年金がどうなるかを計算しておく必要があります。

 

kuzyo.hatenablog.com

 

本書でも記載されていますが、「ねんきんネット」は意外とよくできたサイトで、現在の収入が継続する場合から、何歳のときに収入がどのくらいになったら、受給開始年齢を繰り下げたらどうなるか、などもシミュレーションできるようになっています。さらにシミュレーション結果を保存することもできるなど、なかなか奥が深いものです。

 

第2に挙げているのが生活費の棚卸しです。著者の場合、アーリーリタイア直前のキャッシュフローを見ると、住宅費、教育費、仕事に関わる雑費で支出の3分の2を占めていたそうです。住宅ローンの繰り上げ返済による完済めどがついたこと、教育費の終わりも見えたこと、仕事に関わる雑費は大きく削減できることがわかったこと、などで会社を辞めてもなんとかなるな、という見通しがついたそうです。

 

そして第3が老後の運用資産はあるか? です。著者の場合、「年金10年分」を運用資産の目標としていたそうで、資産額がそこに達していたため踏み切れたということでした。年金10年分というのはなかなか面白い考え方だと思います。残念ながら本書には、なぜ年金10年分なのかは記載がありません。

出口戦略。資産をどう取り崩すか:第7章

資産を増やす方法はいろんな情報が溢れていますが、資産をどう取り崩すかという情報は意外とないものです。しかし、現実的なアーリーリタイア(セミリタイア)には、資産をどう取り崩すかという観点は抜かせません。

 

著者は、3つのポイントを挙げています。

 

1つ目は、出口が近づいたらリスク許容度を見直し、リスク資産の割合を減らすということ。2つ目は、このリスク資産の割合をリバランスを通じて一定に保ち続けること。要は取り崩すときは無リスク資産から取り崩すので、放っておくとリスク資産の比率が上昇してしまうということです。

 

著者は、リスク資産:無リスク資産の比率を1:1とすることを「分かりやすくていい」としていますが、これはけっこう利回りの減少をもたらします。バフェットが家族に向けた投資のアドバイスとして、「私の死後は、ヴァンガードのS&P500連動ETFに9割を、残りを米国短期国債に」と言っている*1ように、1:1はリスクを取らなすぎなようにも思います。まぁ絶対額の違いがあるので、一概にはいえませんが。

 

そして3つ目は、取り崩すときは定率で取り崩すことを推奨しています。

期待する資産の運用利率が3%、取り崩し率が4%だったとすると、資産活用期の運用利率は、長期的にはマイナス1%になると考えるのです。

ただ、著者はこの方法を合理的としながらも、自分自身は違うやり方をしているそうです。まず、リスク資産をETFにして分配金(配当)を使ってしまう(再投資しない、実質的な取り崩し)。そして、大きな支出があったときは、躊躇なく運用資産を使う、です。

 

たしかにこれは現実的だと思います。取り崩し方を単純化でき、さらに自分が老人になったときに複雑な資産運用は難しい可能性があるからです。ただし、この方法だとそこそこ高配当(高分配)のETFをメインにしないと、生活費を賄えない可能性が高いです。例えば、PFFやARCC、債券系のIEFなどなら3%以上の分配金が見込めるので計算が立ちますが、S&P500のETFなどだと2%前後となってしまいます。

 

kuzyo.hatenablog.com

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最後に、「資産活用期は思ったよりも長い」と書かれているのが印象的でした。そこそこ投資歴が長い僕でさえ、たかだか20年。ところが、セミリタイアしたあとは平均寿命の85歳までと考えても40年を資産を活用して生きていかなくてはなりません。

 

期間が長いがゆえに、リスクを取ってアグレッシブに投資を続け拡大を目指し続けるか、給与収入が減ることを前提にリスクを抑えて安定して過ごすか、この最適解はまだ自分自身でもわかっていないところです。

 

 

*1:バークシャー・ハサウェイの株主に当てた2013年の手紙より。"My money, I should add, is where my mouth is: What I advise here is essentially identical to certain instructions I’ve laid out in my will. One bequest provides that cash will be delivered to a trustee for my wife’s benefit. (I have to use cash for individual bequests, because all of my Berkshire shares will be fully distributed to certain philanthropic organizations over the ten years following the closing of my estate.) My advice to the trustee could not be more simple: Put 10% of the cash in short-term government bonds and 90% in a very low-cost S&P 500 index fund. (I suggest Vanguard’s.) I believe the trust’s long-term results from this policy will be superior to those attained by most investors – whether pension funds, institutions or individuals – who employ high-fee managers."