投資の本には必ず「感情が大事。冷静さを保つのが最も大事」と書かれています。切った張ったの相場師ならではだと思っていたのですが、実はインデックス系の投資家でもそうなんだろうなと、最近思います。
インデックス投資でも重要なのは、投資した資産を売らないこと。そして、積み立てるなら、よい時も悪い時も継続することです。
ところが、どうしても現金が必要になって売らなくてはいけない時があります。例えば僕の場合だと、金融資産の一部を太陽光に切り替えるために、売却が必要です。
そんな時、やっぱり売りやすい、売りたくなるのは下落している資産です。価格が下落すると、どうしても不安になって売りたくなります。そして、価格が上昇トレンドにあるときに買いたくなるのです。
本当は、安いときに買って、高いときに売るのが投資のセオリーです。効率的市場仮説を信じるならば、今が高いのか安いのかは分からないので、買いたいときに買って、売りたいときに売るのが合理的なはずです。でも、売る必要は必ずしもなくても、下がっていると不安になって売りたくなってしまうんですね。今の市況がそうです。
そして現金が必要なタイミングは、たいてい場合、市況が悪い時だったりします。
こんなときにどう我慢するか。鉄の意志を持てればそれに越したことはないのですが、人間は弱いものです。
意志の弱さを仕組みでカバー
一つは売りにくい環境を自ら作ることでしょう。例えば、売買手数料の高い証券会社を使えば、頻繁な売買を控えたくなります。単なるコスト高なので、全然合理的ではないのですが、心の弱さと天秤にかける感じでしょうか。
米ドル建ての投資をするのも意外と弱い心にストップをかけてくれます。株価と為替の両方が総資産に影響するので、現在のように株価の下落と円安がダブルでくると、円建て資産額はそれほど減らないからです。
税金を意識するのも手です。利益の20%が税金で持っていかれると思えば、売ることもためらわれます。
信託財産留保がある投資信託を選ぶというのも、歯止めになります。
NISAやiDeCoのように、売ることでメリットの多くを失ってしまう口座を使うのも手です。難点は、投入額の上限が決まってしまっているということでしょうか。NISAでも総額600万円、iDeCoでも普通のサラリーマンなら月額2万3000円なので、年間で25万6000しかありません。それでも5年で700万円超になりますので、それを超える資産を持っている人が対象ではありますが。
現在の時価評価額を意識しないというのも一つの手です。最近は簡単に損益を確認できてしまうので、つい1日に何度もスマホで資産額を確認したりしてしまいます。敢えてそういった仕組みを除外して、月に1回とか年に1回だけ見るようにするという方法もあるでしょう。
最後に、僕が採用している方法は、売買してもいい口座を用意して、売りたくなったらそこで取り引きする方法です。そしてこの口座での運用資金は限定しておきます。ぼくの場合は資産の5%以下。金額を決めておいてもいいと思います。「売りたい」という感情をこの口座で発散するという方法です。
欲求を代償行為で発散するという考え方です。
同じような手法として、買い物をしたくなったらAmazonで商品を見るのではなく、ふるさと納税の商品を見て買うというのも良い手法です。どうせ調べてショッピングするなら、物品ではなく株を調べて買うというのも代償行為になります。
心の弱さをどう克服するか。それは個人投資家にとって、究極的に重要なことだと思っています。