FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

日本の富裕層(1億円以上)は何で資産を築いた?

以前、世界の超富裕層がどうやって資産を築いたかを紹介しました。では、日本ではどうなのでしょうか?

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 日本の富裕層が資産を築いた方法

このときの調査は、あくまでこれは資産1000億円以上のビリオネアに関する調査なのには注意が必要でしょう。いわゆる富裕層、資産1億円超の場合は、給与収入でも十分に達成できます。引用の引用になってしまうのですが、下記の記事に、富裕層が資産を築いた方法について書籍からの引用が載っています。

giraffyk1.hatenablog.com

  1. 相続を受ける(17%)
  2. 株式や不動産投資で成功する(2%)
  3. 一流企業で経営者になり、高額の報酬を得る(24%)
  4. 著作物や特許によるロイヤリティー収入を得る(1%)
  5. 医者や弁護士などの専門家になり、高額な報酬を得る(25%)
  6. 自分のビジネスを起こして成功する(28%) 
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ここでも、やはり起業が28%と大きな比率となっています。また、株式や不動産投資で成功して富裕層になった人は2%しかいません。富裕層の話でよく出てくる野村総研の調査だと、資産1億円以上の富裕層は日本に約120万世帯いるようです。

 

世帯と個人は違いますし、調査年度でも違ってきますので、かなりの概算ですが、120万世帯という数を、上記の比率で計算すると下記のようになります。 

  • 相続     20万人
  • 株・不動産 2.4万人
  • 経営者   28万人
  • ロイヤリティ 1.2万人
  • 士業    30万人
  • 起業    33万人

 本田氏の書籍自体に当たっていないので、どのような調査だったかわからないのですが、先の世界のビリオネアの調査を見比べると、少し違和感もあります。まず相続の割合がこんなに少ないのだろうか? という点。株や不動産はこんなに少ないのだろうか? ということです。

相続で富裕層の仲間入りした人は何人か?

例えば、国税庁によると課税対象となる相続は年間50万人程度発生しているそうです。2015年以降は控除額の引き下げが行われたため年間100万人に達しています。

 

そして注目すべきは、相続を受けた100万人の、1億3960万円という平均相続額です。平均で見ると、相続を受けた時点で富裕層となる計算です。しかしそのまま単純には受け取れません。

 

国税庁によると、相続財産のうち半分以上は、土地や家屋です。有価証券や現預金は、05年のデータで33%というところ。そして、有価証券や現金の比率は、年を追うごとに増えているようです。つまり富裕層の定義である自宅を除く金融資産で1億円以上でいうと、保守的に見て3億円程度の相続を受けないといけません。

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ではどのくらいの人数が、3億円以上の相続を受けているのでしょう。控除額が引き下げられてからは課税対象相続が増加して100万人に達していますが、それ以前はだいたい50万人程度でした。そのときの平均相続額は2億6560万円とされています。その分布を推定した資料が、農林中金総合研究所から出ていました。

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これによると、3億円超の相続は、18%程度になります。つまり、年間50万人のうち9万人が相続によって富裕層になっている計算です。年間で約9万人の富裕層が相続によって新たに生まれている計算になりそうです。

1億円以上の金額を相続する人数

しかし、相続する先は1人ではありません。妻だけということもあれば、子供二人に相続する場合もあります。いったいどのくらいの法定相続人がいるのでしょうか? 野村資本市場研究所の資料に、そのものズバリの表がありました。

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野村資本市場研究所の資料

 なるほど、これを見ると、やはり3億円以上の資産を持つ人が亡くなった場合、相続でだいたい一人あたり1億円が相続されていることが分かります。いや、そのうち金融資産の割合は33%程度なので、相続だけで1億円以上の金融資産を得ようと思ったら、相続額が3億円以上でなければなりません。

 

その数字を見ると、どうやら相続額10億円の場合、一人あたりの相続額が3億円前後、つまり1億円程度の金融資産を得ているのではないかと推定されます。そしてその人数は、3511人。いやはや、実に小さくなりました。

 

毎年相続によって3511人の富裕層が生まれるとして、一方で死んでいく人はわずかです。日本の人口は約1億3000万人、そして年間死亡者数は136万人、つまりだいたい1%が亡くなっています。つまりとてもざっくりですが、死んでいく人に大して100倍の人数が生きていることになるでしょう。

 

3511人の100倍は、35万1100人。なるほど、ここまで計算して、冒頭の本田氏の書籍による、「相続で富裕層になった人は20万人」という計算に、だいたい一致しました。