FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

投資におけるアルファ(α)とは何か

金融理論をいろいろ調べると、アルファ(α)という言葉にであいます。これはCAPM理論のベータ(β)と対になる言葉で、インデックス投資を超えるパフォーマンス部分を指します。

 

 

アルファとは? 

つまり、インデックス投資で得られるリターンがベータ、インデックスを超えるリターンをアルファというわけです。

 

f:id:kuzyo:20180517125743p:plain※楽天証券「投資のリターンの分解:α(アルファ)とβ(ベータ)」より

 

 ベータとは?

ちなみに、ベータ値にも大きい、小さいがあって、これは個別銘柄のリスクの大きさを意味します。例えば、TOPIXが1%上昇したときに1%上昇する銘柄のベータ値は1ですが、倍の2%上昇する銘柄のベータ値は2になります。

 

だからといってベータが高いほうがリターンが大きいかというとそうではなく、理論的には逆にTOPIXが1%下がったときはベータ値が2の銘柄は2%下落します。つまり、リクスが高ければリターンも高い、という前提でいうと、ベータ値はリスクの大きさを表すわけです。

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アルファはなぜ生まれる?

ベータが市場平均だとすれば、つまりS&P500やTOPIXのような指数を意味します。つまり、インデックスファンドやインデックスETFへの投資、いわゆるインデックス投資はベータへの投資になるわけです。

 

逆に、インデックス投資を超えるリターンを目指す、いわゆるアクティブ投信などはアルファで評価されます。また、「自分が銘柄を選べば、自分の投資手法であれば、市場平均よりも高いリターンをあげられる」と思っている人は、「自分はアルファを生み出せる」と思っているのでしょう。

 

ちなみに、市場平均よりも高いリスクを取れば、リターンも自動的に大きくなるので(つまり高いベータ値へ投資している)、単にリターンが高いだけではアルファを見つけたとはいえません。市場平均に比べて、リスクの増加よりもリターンの増加が大きい場合をアルファというわけです。

 

しかし、そうだとすればアルファはなぜ生まれるのでしょうか? 市場にはシンプルな理論では説明のつかない動きがある場合があります。米国では大統領選挙の年は株価が上がりやすいとか、時価総額が小さい銘柄はリターンが大きいなどです。こうした不可解な歪みを、アノマリーといいます。つまり、アルファを生み出すのはアノマリーだといえます。

 

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アノマリーとアルファの矛盾

効率的市場仮説では、すべての情報はすぐに価格に反映されるため、株価の予測は不可能であるとされます。例えば自分の分析によるとこの会社の株は割安だ、と思っても、その価格は市場で適正につけられたもだと考えるのが基本です。ところが、市場の値付けにおかしなところがあるとしたら、それがアノマリーであり、アルファの源泉となります。

 

矛盾があるのは、そのアノマリーを参加者みんなが受け入れたら、その歪みは解消され、市場平均に組み入れられ、アルファは消滅するという点です。また、そのアノマリーを有効活用してアルファを得ているプレイヤーが大きくなりすぎると、その一部は市場平均へと還元されていくことになります。

 

プロほどリスクに慎重

最近思うのは、アルファを見つけたと思って何年か市場を超えるリターンを上げたとしても、実は単に課題なリスクを取った結果のリターンであって、アルファではなかったということがおうおうにしてあることです。

 

一般に、投資の素人ほど大きなリターンを目指して過大なリスクをとり、結果として破産したり、大きく資産を失って心が折れて撤退します。逆に、プロはリスクに敏感であり、大きなリスクはとりません。結果、数パーセント市場平均を上回るプロはたいへん賞賛されます。

 

継続してアルファが存在する手法があるとしたら、それは人間心理や制度に起因するものになるでしょう。例えば、機関投資家にはVaR*1を意識して過度なリスクのある投資はできないですし、四半期決算という制度上の歪みもあります。投資銀行にはできないけれど、個人ならば実行できるという手法もいろいろあります。異業者FXアービトラージなんて、まさに個人がチマチマとだからできるアルファだといえます。行動経済学でいわれる人間心理による歪みも、残り続けるでしょう。

 

 

*1:最悪の場合の最大損失。たとえば100万円の資産を、今後5年間保有し続けたとして、株価や金利変動によって失う可能性のある最大金額はいくらか? を計算する手法。「保有期間1年に対してVaRは15万円である」というような言い方をするらしい