投資でセミリタイアする九条日記

セミリタイアを実現したサラリーマン。ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使って資産運用をしています。

人はなぜ「理由」を求めるのか 心理的アノマリー

2社目の法人にて、銀行口座開設を進めています。りそな銀行で申し込んで「お断り」を頂いたのを機に、複数の銀行に一気に申し込んでみました。ゆうちょ銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、別支店のりそな銀行です。

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今回初めて申し込んだのはみずほと三菱UFJ。その中で、三菱UFJがなかなかおもしろかったです。

 

まず書類のほかにヒアリングをされました。事業内容の説明などはまぁわかるのですが、

  • 会社を作ろうと思ったきっかけはなんですか?
  • 太陽光発電事業をやろうと思ったのはなぜですか?
  • 法人名の由来を教えてください
  • なぜ三菱UFJを選んだんですか?
  • 当行がメインバンクということでいいですか?

なぜ三菱UFJを選んだのかと言われても、審査に落ちるからです。他の銀行にもすべて申し込んでますとはちょっと言えませんでした。メインバンクという言葉も久々に聞きました。僕の理解では、必要資金の多くを優先的に融資してくれて、経営相談にも乗ってくれるというのがメインバンクです。この段階で、メインバンクとして名乗りを上げてくれるというのは融資してくれるのでしょうか? それとも何か囲い込みのために効いているのでしょうか?

 

たいへん興味深かったのは、いろいろな「理由」を聞いてきたことです。

 

投資の理由ならまだ分かります。どのようなロジックで、どんな見通しで行うかは気になることでしょう。ただし、社名の由来や会社を作ろうと思ったきっかけは、何の判断材料になるのか分かりません*1。いくらでも作り話はできますし、詐欺的な目的で口座を作る人ならそれこそ話を用意しておくでしょう。

 

そこで思ったのが、人は理由を求める生き物だということです。

 

高村薫の『冷血』という小説に、残酷な犯罪を犯した人物の話が出てきます。警察は取り調べで、なぜ殺したのか?を執拗に問い正します。しかし、犯人の内面では自分でもなぜそれをやったのかが分からないのです。

冷血(上) (新潮文庫)

冷血(上) (新潮文庫)

 

 殺人に明確な理由なんてないほうが当たり前、という事実をこの小説は突きつけます。一方で、警察は何らかの理由を求めます。裁判において、理由、つまり動機というのは大きな要素だからでしょう。

 

心理学の実験で、並んでいるコピー機の列に割り込むというものがあります。無断で割り込めばもちろん文句を言われるのですが、何らか理由を述べると割り込ませてもらう可能性が高まるという結果でした。面白いのは、その理由は何でもいいということです。「次の授業で使うので急いでいるんです」という理由でも、「妻が妊娠してるんです」でも変わりませんでした。

 

ここでわかるのは、人は理由を述べられると納得する可能性が高いということです。その理由の是非よりも、理由があることが重要です。何らかの因果関係を求めるのが人間だということでしょう。

 

だから交通事故でもスピード違反でも理由を聞かれます。どんな理由でもいいのですが、理由が必要なのです。株価が下がったら、理由がニュースで語られます。その理由は全く因果関係はありません。誰にも株価が下がった理由なんてわからないし、ひとつの要因で下がるなんてこともありません。それでも、ニュースとしては何らかの理由を、後付で話さなければいけないのです。読者という人間が何かしらの理由を求めるからです。このくらい、人間は出来事には何らかの理由がないと納得できない生き物なのです。

*1:社名の由来をとくとくと語れるほうが、熱心であり真剣に事業をしようとしているという判断なのかもしれません。それならば、嘘でもなんでも社名の由来をペラペラ話せばよかったのかもしれません。でもこれって、単なる予定調和であり、判断材料にはならないですよね。ふと思ったのですが、入社時の面接でも似たようなことがありますね