新生銀行が、投資信託を購入した金額の10%を、10回に1回の確率で還元するというキャンペーンをやっています。期間は5月7日から6月28日まで。還元はプリペイドカードへのチャージなのでほぼ現金相当です。また還元上限は5万円となっています。
ふぅむ、これはもしかするとうまいリターンになるかもしれません。50万円の投資信託を買うと5万円戻ってくるかもしれないのですから。
【訂正と追記事を書きました】
- 6月5日から28日まで毎日買い続ける
- 何をショートして価格変動をヘッジするか
- 日経225CFDの特徴
- 資金管理をどうするか? 投資信託50万円を買い続けると1000万円必要?
- 期待値に対する利回りはどうなのか?
- 今回の結論
6月5日から28日まで毎日買い続ける
ただしこれにはリスクがあります。一つは買った投資信託が値下がりしてしまうこと、2つ目は当選しないことです。これに対する作戦を検討しました。これは、rukbatさんのブログを参考にしています。
値下がりへの対処は、投資信託の対象指数をショートして、ヘッジすることです。また当選しないリスクへの対処は、複数回抽選に参加することです。まずは、当選確率を上げるところから見てみます。
面白いことに、このキャンペーンでは毎日抽選を行い、都度当日の購入額の10%を還元します。つまり、毎日50万円ずつ投資信託を買えば、毎日10%還元チャンスがあるということです。上限は5万円なので、一回でも当たれば購入を終わりにします。
10回に1回の当選というのは、複数回繰り返すとけっこうな確率で当たります。グラフにしてみました。横軸は抽選回数。縦は1回でも当たる確率です。
16回の試行で確率は80%を超え、19回の試行で85%に達します。逆にいうと外れる確率は15%です。今日は6月5日ですので、最終日28日までは18回のチャンスがあります。
期待値は下記のようになります。18回トライ時の期待値は約4万1500円です。悪くないですね。
何をショートして価格変動をヘッジするか
次に、どんな投資信託を買って、何をショートしてヘッジするかです。国内投資信託が対象で、野村国内債券ファンドは対象外です。また今回はキャンペーン狙いですので、購入時手数料はゼロのノーロードファンドが必須です。解約時の信託財産留保額もゼロのものを探します。
もう一つの条件が、投資信託がベンチマークしている指数と同じものに連動する銘柄をショートすることです。となると、ほぼ投資信託は限られます。日経225ですね。この野村インデックスファンド・日経225が候補になります。
この日経225をショートすれば、投資信託の価格変動をヘッジできることになります。ではどんな方法があるでしょう? 日経225ベアファンドを買う方法、日経225ETFを空売りする方法などが思い浮かびます。ただし、拘束資金が大きくなることと、手数料が課題ですね。
そこで今回は、日経225CFDをショートすることを考えてみます*1。
日経225CFDの特徴
日経225CFDは、くりっく365株やGMOクリック証券の店頭CFDで扱いがあります。スプレッドが狭く、ロットが小さいのでGMOのほうが良さそうです。ちなみにくりっく365株では金利相当額がありますが2017年以降、実質ゼロ円のようです。
CFDでは配当相当額は6月は多少あるので、ショートするなら不利ですね。GMOクリックでは配当相当額は権利相当額と呼び、株価指数CFDでは発生しません。
CFDの場合、取引手数料はゼロなので、かかるコストは3種類です(GMOクリック証券 - 3種類の調整額)。
- 価格調整額は、ロールオーバー時の差額です。株式CFDの中身は先物なので、月に1回、限月の異なる先物に乗り換えます。このときの価格差分を払ったりもらったりするわけです。
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権利調整額は配当金相当です。ただし、日経225CFDには発生しません
- 金利調整額も日経225CFDには発生しません。CFDのレバレッジは、要は裏側で借金をしているので、その分の金利がかかってくるということです。一般にはオーバーナイト金利といい、日付が変わる(翌営業日に変わる)ときにもらったり払ったりします。
いずれも日経225CFDにはほとんど影響がなさそうです。そしてもう一つ、CFDの実質コストとしてスプレッドがあります。ただGMOクリックの日経225は非常にスプレッドが狭いんですね。驚きました。100万円相当分を買っても100円しかかからないことになります。ただこのスプレッドは10円程度までは開くことがあるようです。
資金管理をどうするか? 投資信託50万円を買い続けると1000万円必要?
まとめると作戦はこうなります。50万円分の日経225投資信託を買い、同時に50万円分の日経225CFDをショートするわけです。
さてこれで完了かと思うと、まだ続きます。毎日50万円分の投資信託を買い付けるといいましたが、それを18日続けると900万円もの資金が必要になるからです。これは次のような流れで対応します。
- 投資信託を50万円購入する(申し込み、同日約定)
- 同日15時に抽選が実施される
- 3営業日後に受け渡しが行われる →Funds-iは翌日受け渡しでした!
- 解約を行う。約定
- 4営業日後に資金が戻ってくる
- その資金で再度投資信託を購入する
絵にすると下記のようになります。かなり面倒ですね。。
わかったことは、資金の再利用までに少なくとも7セット、余裕を見ると8セットの購入資金が必要だということです。350万円〜400万円です。
ここで一つ疑問が生じます。解約をしてしまったら、抽選とキャンペーンへの影響はどうなのでしょう? サイトには「購入注文を取り消した場合は無効」と記載があります。そこで、ヘルプに確認してみました。
なるほど、抽選結果が出たあとは解約しても影響はないようでう。また、抽選が終わってしまえば、解約は自由のようです。
期待値に対する利回りはどうなのか?
では最後に、このキャンペーンを活用した場合の利回りはどうなるのでしょうか。ヘッジのためのCFDは、日経225を投資信託で保有している最高額が200万円なので、枚数100枚となります。1枚あたり証拠金は2060円程度必要なので、全体で20万600円で済みます。
投資信託購入資金は先のように350万〜400万円必要です。ここは350万円で考えてみます。
では冒頭の期待値に対して、利回りを計算してみると、下記のようになりました。
ううむ。なんとも微妙な値です。18回試行の場合の年換算利回り16%はなかなかですが、400万円近くの資金を動かして、1.1%、4万円程度の期待値というのはやはり腰が引けます。
さらに、スプレッド分のコストは確実にかかってきます。そして、往々にしてインデックス連動の商品は指数との乖離が生じます。1%乖離すると3万5000円の変化となり、悪く出ると利益の期待値を食いつぶしてしまいます。
CFDはエクスポージャで約20万円単位の取引になるので、最初の50万円の投資信託のヘッジとしては10万円ほどショート額が多くなるのも気がかりです。60万1800円分投資信託を買い、ヘッジ額と合わせるという手もありますが、そうするとさらに拘束資金が膨らみます。
さらに、キャンペーンに当選しないという確率が15%あることも引っかかります。
今回の結論
けっこういろいろと調べてなんですが、今回のキャンペーン参戦は微妙です。確率もそうですが、オペレーションをミスると想定以上の損失が出る可能性があるのも気になります。
【追記】投信が翌日受け渡しだということなので、せっかくなので参戦してみることにしました。
外貨預金キャンペーンで為替変動をFXでヘッジする作戦は慣れているので、似たようなものなのですけど。
*1:ちなみに日経225先物ミニをショートする方法もありますが、取引単位が100倍です。つまり20400円の100倍の200万円超になってしまうので、50万円単位の投資信託のヘッジには向きません