今回、初めて金地金を購入してみました。次に気になるのは、これにかかる税金です。どのくらいかかって、どうすれば減らせるのか。簡単に調べてみました。
金地金は総合課税が基本
まず金地金は、譲渡所得で、総合課税となります。つまり、給料などに合算される累進課税です。これはいただけません。ただし、さまざまな控除があります。
5年を超えると税金が半分に
譲渡課税には、総合課税になるものと分離課税になるものがあります。金のほかゴルフ会員権や宝石などの売買で出た利益が総合課税、株や土地などの譲渡益が分離課税(20.315%で完結)です。
一見すると総合課税(累進課税)の金は不利ですが、まず利益から50万円の控除枠があります。さらに、5年を超えると、課税対象金額が半分になります。
5年以内の場合、利益に、その他の総合課税譲渡所得を足して50万円を控除。残った金額が給与などと合算の総合課税です。5年以上の場合、上記の計算で出した「残り」を半分にして総合課税となります。
具体的に計算すると?
具体的に計算してみます。金地金の売買で100万円の利益が出たら、50万円を控除して50万円ですね。
5年以内なら、50万円の総合課税、5年以上なら、25万円の総合課税となるわけです。
ということは、年間利益が50万円以内になるように、売却数量をコントロールすれば無税です。また、将来所得が少なくなってから売却すれば、総合課税でも税率が20.315%より小さくなるタイミングで課税できます。
総合課税で税率が20.315%より小さくなるハードルは以外に低いです。下記は、所得税に関する実効税率を年収別にまとめたものです。
これを見ると、一番控除が少なくて厳しい単身者の場合でも、年収1400万円以下なら実効税率は18.29%と分離課税を下回ります。配偶者と高校生、大学生なら1600万円以下、配偶者と大学生2人なら1700万円以下から20%を下回ります。
ただし、この実効税率には健康保険や年金などが計算に入っていないことには注意です。国民年金は一定、厚生年金は給料に比例なので問題ありません。しかし健康保険はちょっと複雑です。
個人事業主が加入する国民健康保険の場合、確定申告時の所得を元に計算するので、総合課税譲渡益があると料率が増えてしまいます。一方で、会社の健康保険(協会けんぽと組合けんぽ)の場合、給与を元に計算するので、確定申告による所得の増加は計算に反映されません。
なるほど、このあたりを考えると、会社員はお得ですね。