ネット証券各社が次々と手数料無料化の方向に向かっています。大手5社は、投資信託をいずれもノーロード化。さらに、信用取引も現物取引の無料枠も拡大し、個人投資家にとってはありがたい方向性です。
各社の無料化状況
現時点での各社の無料化の状況です。
- SBI証券 1日50万円まで現物無料、夜間PTS取引無料、ETF/REIT信用取引無料
- 楽天証券 ETF/REIT信用取引無料
- auカブコム証券 信用取引無料
- マネックス証券 信用取引無料
- 松井証券 1日50万円まで現物無料
ただし、auカブコム証券は、信用取引手数料自体は無料でも、現引/現渡に手数料を取るため、信用取引を使って現物を安く手に入れることはできません。さらに、金利/貸株料も大きく引き上げたため、優待クロスのひとたちからは「カブコム終わった」という声もあります。
上のグラフは、現物手数料と現引/現渡の手数料を比較したものです。このように、これまで無料だった現引/現渡に手数料がかかることで、優待クロス勢にとっては信用手数料が無料になっても別のコストがかかってしまうことになります。
信用買は、制度で2.98%→3.98%へ、信用売は一般長期で1.5%→2.25%にアップです。一般短期は2.9%→なんと5.85%へのアップ。これは本当にいただけません。
信用取引売買手数料無料化に伴う変更点のご説明|info|株のことならネット証券会社【auカブコム】
どこを選ぶか?
現在のところ、現物であれば、日興証券から現引き、または楽天証券の大口優待で現引きするのが最も安く手に入れる方法でしょうか。信用については、日興証券がそもそも手数料無料ですし、新たに手数料無料になったマネックスで売りを立てて、現物を楽天から移管するというのもいい手法です。
SBI証券と松井証券の「1日50万円まで無料」はどうでしょうか。一つ考えられるのは、異名義クロスでの活用です。
異名義クロスとは、売りを建てる口座と、買い建てる口座を変えてクロスする手法です。名義が違うと移管もできません。これまで、異名義クロスを行うと、信用売りの返済は楽天でも日興証券でも無料なのでいいとして、現物側の決済にコストがかかっていました。
ところが、現物側をSBIか松井で用意すれば、50万円以下の銘柄についてはノーコストで売買可能になります。これは活用ができるかもしれません。
残るは楽天証券の動き
さて、大手5社の状況を見ると、今回は明らかに楽天証券が出遅れています。SBI証券が手を打っているのに、楽天がそれに追随しないことは考えにくく、おそらく今週中には同様の料金体系を導入するでしょう。
それを考えると、慌ててSBIや楽天の口座を用意しなくても良さそうです。少なくとも12月いっぱいは様子を見て、各社の手数料体系が出揃ったところで判断です。