前回、生命保険控除による利回りを計算した明治安田生命の「じぶんの積立」ですが、実際に申し込みをしてみました。どんな感じだったのか、落とし穴はないのか、状況を解説します。
- Webから面談申し込み
- 歩合のセールスマンと比べるとやっぱり今ひとつ
- 払込完了の5年後に再加入も可能
- 口座振替オンリーでカード払いは不可
- ドル建ての同様の保険を勧められる
- 明治安田生命は「アフターサポート」
- お客さまに寄り添ったアフターフォローの充実
- 申し込みはタブレット端末で完了
Webから面談申し込み
まず明治安田生命のWebから面談を申し込みました。相談窓口に行くか、自宅または勤務先近くの喫茶店などに来てくれるということで、来ていただくことに。
申し込みから数日して、電話がかかってきて、面談の場所、必要な持ち物などを指示されました。身分証明書、また銀行引き落としとなるのでキャッシュカードと印鑑が必要だということです。
当日近くの喫茶店に来てくれたのは、明治安田生命勤務だという女性の営業の方でした。
歩合のセールスマンと比べるとやっぱり今ひとつ
若い女性の方だったのですが、やはりというかなんというか、歩合で保険を売り歩いているセールスマンの人と比べると、知識、対応などが今ひとつ。世の中には若い女性に対応してもらったほうがいいという人もいますが、ぼくはしっかりとした知識を持ったベテランの方のほうが好きですね。
開口一番言われたのは、「これはドアノック商品なので」という言葉でした。ほほぅ自分から言うのか、という感じです。
ドアノック商品というのは、関心を持ってもらいアポを取り付けるために使う商品で、会話をしていく中で別の商品を販売するのが目的だということです。あからさまにそれを言うことに驚きました。
払込完了の5年後に再加入も可能
まず気になったのは、節税効果がなくなる5年後、再度この保険に入れるかどうかです。もし入れるなら、ずっと節税効果を享受できます。答えは、
「じぶんの積立は3年前にできたばかり。ドアノック商品として販売しているので、5年後にまだ存在していれば加入できます」でした。
ネットでも、山崎元さんなど「どうして金融庁はこの商品を認可したのか?」と書くほど、節税目的なのがプンプンしているこの商品。確かに果たして5年後も存在しているかは怪しいところです。
では、節税効果が薄れてくる数年後に解約して、再度加入することはできるのでしょうか。
「解約から3年間は再度この保険には加入できません。また、口数は減らすことはできますが、増やすことはできません」
なるほど、さすがに毎年解約して毎年加入するという強引な技は使えないようになっているようです。さすがにそこまではしませんが、いろいろと考えられています。さらに、
「解約や口数変更などは電話はNGです。住所変更以外は再び対面でのやりとりとになります」
ドアノック商品だけに、なにかを変えるなら、都度別の商品の営業をかけさせてもらいます、ということですね。なるほど。
口座振替オンリーでカード払いは不可
支払いは銀行口座からの振替オンリーです。以前は請求書を取り寄せることでカード払いも可能だったようですが、現在はできないようでした。
掛け金の引き落としは翌月の27日からになります。タイミングによっては、翌々月になることもあるようです。
払込の5年間が終わると、解約返戻金は100%ではなく103%となりますが、これは払込が終わった月の翌月1日からが対象だそうです。例えば、1月27日に最後の払込が終わったら、2月1日から返戻金が103%とになるということです。
ちなみに死亡時保障は払込済み額の110%なので、保障は手続きをしたその日から始まりますが、直後に死んでも何ももらえません。あくまで払い込んだ額の1.1倍ということでした。
ドル建ての同様の保険を勧められる
今回正直に「節税が目的」と伝えていたからだと思いますが、営業されたのはドル建ての貯蓄性保険です。こちらじぶんの積立と似ていて、保障額は払込済みをベースとしています。大きな違いは下記の通りです。
- 予定利率は1.9%(5年毎見直し、最低0.25%)
- 保険料は円で支払い(為替手数料50銭)
- 受け取りも円
- 金額は細かく設定可能
- 年数も15年など設定可能
なるほど、じぶんの積立のかゆいところに手が届くように作った感じです。節税目的なら、こちらが気になる人もいそうです。
ただし問題が2つあります。1つはドル建てということです。為替は大きく変動するため、元本が返ってくる保証はありません。得するかもしれませんし損するかもしれません。つまりリスクがあります。リスクがあるのにリスクプレミアムは予定利率の1.9%です。しかもこの予定利率というのは内部的な運用目標を示すもので、このリターンが被保険者にもたらされるわけではありません。
2つめは、50銭という恐ろしい為替手数料です。手数料だけでリターンを0.5%近く蝕んでしまいます。銀行の外貨預金の手数料と同等といえば普通のように思いますが、FXなどでは0.3銭まで下がっていることを忘れてはいけません。
というわけで、為替リスクを取るならFXでドルロングポジションを取るほうがスワップ金利を見てもお得です。しかもこの保険には保障もありません。そして節税という意味では、じぶんの積立のほうがノーリスクなわけで有利ですね。
明治安田生命は「アフターサポート」
申し込み後、毎年「アフターサポートのためにお時間をいただきます」とのこと。確かに明治安田生命のWebには次のようにあります。
お客さまに寄り添ったアフターフォローの充実
超長期にわたる生命保険契約の特性をふまえ、お客さまに「確かな安心を、いつまでも」お届けするために、保険金・給付金等を確実にお支払いすることはもとより、お客さまに寄り添ったあたたかいアフターフォロー(※)に努めます。
しかしこの「あたたかいアフタフォロー」というのが何を意味しているのかというと、年に一回新たな商品を営業しまっせということのようです。
もうちょっとこちらの状況を元に、新たな提案をしてくれる営業ならぜひ話を聞きたいところなのですが、知識も微妙で事務仕事もけっこう間違ってしまう営業さんだったので、アフターフォローにもちょっとドキドキしますね。
申し込みはタブレット端末で完了
申し込み自体は営業さんの持っているタブレットに必要事項を入力して終わりです。身分証明書の確認もありました。別途紙の書類への記入などもなく、証書もオンライン証書となるようです。
一点、ちょっと気になったのはその場で顧客ページのログインパスワードを入力しなくてはならず、これがあとからの変更が不能ということです。こういったセキュリティは、ちょっと嫌ですね。
1時間ほど、あまり興味のない商品の営業を聞かされたこと以外は、意外とスムーズに話が進み、保険に入ることができました。検討される方は、ぜひ参考にしてみてください。また、なにかほかに気になることがあれば、コメント欄に記入いただければ、できるだけ情報共有したいと思います。