FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で自由主義者、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

米国株以外だとリバランスは効果を発揮するか

前回、米国株式を例に、長期でリバランス運用をした場合と、バイ&ホールドの場合のバックテストを比較しました。すると驚いたことに、リバランスをするよりもバイ&ホールドのほうが、だいたいの場合、パフォーマンスが良いという結果になりました。

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この時、こうなった理由として思ったのは、米国株式が長期的に上昇トレンドにあったということです。下記の記事に書いたように、リバランスは万能ではなくて株価が平均回帰するというミーンリバーサル効果をリターンに変えるための手法だからです。トレンドが継続する限りはリバランスしないほうがパフォーマンスは良く、サイクルが反転するくらいのタイミングと頻度でリバランスすることが重要になります。 

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米国以外の株式の場合

では、米国株式のように長期上昇トレンドではなく、上がったり下がったりのレンジ相場が長く続く場合は、リバランスが効果を発揮するのではないでしょうか。そこでさらにバックテストをしてみましょう。

 

今回選んだのは、米国外の全世界株式です。全世界株式も中長期的に上昇トレンドにありますが、その伸び具合の違いは歴然としています。こちらはデータの関係で1986年〜2020年となりますが、チャートを見るとこんなに違います。

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赤線がS&P500、青線が米国以外の株式です。これは対数グラフであることに注意してください。株式6割のポートフォリオで、最初の1万ドルが、米国以外が6万6381ドルになったのに対して、S&P500に投資した場合28万9050ドルです。実に4倍以上です。

 

値動きの傾向は似ていますが、上昇トレンドの強さとしては米国株のほうが圧倒的です。レンジ相場に近いといえますね。

株式6:現金4でバックテスト

では前回と同じく、PortfolioVisualiserを使い株式6割:現金4割で、1986年から2020年までバックテストをしてみましょう。比較するのは、

  • バイ&ホールド
  • 年1回のリバランス
  • 四半期に1回のリバランス
  • 月に1回のリバランス
  • 絶対値で5%乖離、または相対値で25%乖離したらリバランス(バンド)

の5種類です。今回の結果は次の通り。なんと、月次の場合を除いて、リバランス戦略がバイ&ホールドを年平均成長率(CAGR)で上回りました。バイ&ホールド5.7%に対して、年次リバランスは5.7%。0.2%もリターンが改善しています。

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たかが0.2%と侮るなかれ。金額ベースでいうと当初の1万ドルが、バイ&ホールドの場合は6万6381ドル、年次リバランスでは7万0020ドルです。4000ドル弱の違いが出ました。見事にリバランスの効果があった形です。

 

リスクのほうはどうでしょうか。こちらは米国株の場合と同様で、リスク(ボラティリティ)は減少し、ワーストイヤーも最大ドローダウンも改善しています。また年次リバランスが最も良い結果となりました。

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ちなみに、バイ&ホールド時の資産比率の推移は次の通りです。当初4割あったキャッシュは2020年の時点で16.4%まで減っています。ここで、株価が約10倍に上昇しているのに、なぜこんなにキャッシュ比率が高いのか、気になった人は鋭いですね。

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実は、この期間中でも現金の年平均成長率(CAGR)は3.24%もあったのです。株式部分のCAGRは6.67%ありましたが、現金も相当なもの。現金にほぼリターンがつかない世の中にぼくらは住んでいますが、長期で見れば、3%程度の率で現金も成長してきたというわけです。

2007年からの新興国

米国株以外では、リバランスの効果があることがバックテストから分かりました。どうやら、保有資産間のリターン差が小さかったり、ある程度レンジ相場に近ければ、リバランスの効果が上がるようです。

 

ではもっとレンジ的な値動きをした資産はないでしょうか。そこで、2007年からの新興国について、同じバックテストをしてみました。金融危機(リーマンショック)を挟んで、上がっているような上がっていないような値動きをしてきたのが新興国です。CAGRは2.9%。長期で見たら現金にも負けています。

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この相場なら、バイ&ホールドよりもリバランスしたほうがパフォーマンスがいいでしょう。はい。すべてのリバランス戦略が、バイ&ホールドを上回りました。CAGR、ベストイヤーともにリバランスの勝ちです。そして最も成績の良かったリバランス手法は年次でした。

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リスクも見てみます。期間が短かったせいでしょうか? それともレンジだからでしょうか? リスクについてはバイ&ホールドとそれほど変わっていないように見えます。それでも最も成績が良かったのは、年次リバランスでした。

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結論 米国株のように強いトレンド以外はリバランス効果あり 

ここまでの結論としては、(1)米国株オンリーの場合を除いて、リバランスによってパフォーマンスが改善する (2)リスクも相応に改善する となりました。

 

いくつかの資産クラスについてバックテストしただけですが、米国株のほうがイレギュラーな感じです。では次回は、株式:現金 ではなく、王道のアセットアロケーションといえる、株式:債券の場合について、検討してみます。