太陽光FITの固定買取期間は20年。20年が過ぎれば、それまでのような安定した固定の売上はたたなくなります。太陽光発電の出口戦略はどのようなものになるでしょうか。大きく2つの方向性があると思っています。
盛り上がるセカンダリ(中古)マーケット
太陽光FITは19年でほぼ終了しました。そのため、今後太陽光発電所を取得したいと考える人は、中古の売買、いわゆるセカンダリマーケットで入手することになります。これまでプライマリマーケットの仲介を行っていた業者が、徐々にセカンダリマーケットを手掛け始めており、例えば「タイナビ発電所」では「中古」の物件が2020/04/06時点で12件登録されています。
セカンダリマーケットの今後の期待は、節税目的の購入者です。
富裕層は相続税対策のために、タワーマンションを買うなどの手段を取ってきましたが、徐々にそうした手が禁止されてきました。では、太陽光発電所はどうでしょうか。太陽光発電のような動産は、原則売買実例価格で評価するそうです。ただし、実例が少なく評価が難しい場合、残存価格での評価となります。
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。つまり、17年末と残存価格はゼロになります。ところが、少なくともその後3年はFIT価格で発電をしてくれますね。評価額がゼロで3年分の売電収入はあるわけで、相続税的にはいろいろ活用できそうです。
卒FITの市場価格買い取り
太陽光発電のパネルは、20年経ったら動かなくなるのかといえば、そういうわけではありません。パネルの保障は切れてきますが、そうそう消耗するものでもないのです。
20年後のFIT終了後は、廃棄するという選択肢もありますが、土地が貸借ではなく所有なら、そのまま発電を続けることができますね。そのときはFIT価格ではなく市場価格になりますが、現在10円弱の価格で買い取ってもらえるところが出ているようです。
FIT18円の物件であれば、買取価格が4割ほど減ってしまいますが、それでも6割が丸儲けです。ローンも完了しているので、ほぼ丸々が利益。パネルの出力は徐々に落ちていくでしょうし、パワコンの交換も必要でしょうが、6割の価格で買い取ってもらえるなら、メンテンナンス費を入れても十分に競争力があります。
蓄電池後付によるパフォーマンスアップも
さらに、20年後のことを考えると設備のアップグレードも検討できます。例えば蓄電池です。低圧過積載の場合、49.5kWhのパワコンに対して、100kWh程度のパネルをつないでいます。朝晩などの日差しが弱いときにはパネル枚数が多いので発電量が増えますが、昼のピーク時は49.5kWhを超えた電力を捨ててしまっていることになります。
この捨ててしまっている分を、蓄電池を付けることで保存して、夕方から夜間にかけて販売するという方法です。
※Amptストリングオプティマイザ、300%過積載&夜間売電可能! 低圧ソーラーの賢いつくりかたとは|SOLAR JOURNALより
ただし蓄電池は数百万円のコストがかかります。現時点でも、300%過積載に蓄電池を組み合わせることで、売電額を2倍程度まで高めるというソリューションがあるようですが、投資額がたいへん大きくなる上に、蓄電池の寿命は10年程度です。
逆に、FITが終了する20年後には蓄電池の価格は大きく下がっているでしょう。世界中でEVの開発が進んでおり、EV普及の最大のネックはバッテリー=蓄電池だからです。この20年で、蓄電池の性能アップとコスト削減は、EV向け主導で大きく進むことを想定しています。