FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

VIXが20まで下がったので久々にロングしてみた

米国長期金利急上昇のショックから、はや3週間。特にグロース株の下落という影響がありましたら、もはやそのショックも織り込まれたようで、次第に市場は落ち着きを取り戻しています。

 

それに伴い、一時30を超えていたVIXがぐぐっと下がってきました。2月25日の金利上昇ショックでは30超え、そして3月5日あたりも30近くまで上昇していたのですが、なんと今は20を切っています。

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これは久々のVIXロングチャンス? と思い、ポジションを建ててみました。

VIXとは?

VIXトレードをするのは実に1年ぶりです。しばらくVIXから遠ざかっていました。VIXとはVolatility Indexの略で、ボラティリティ指数、恐怖指数などと呼ばれます。S&P500のオプション価格から算出されるものになります。

 

オプションは、価格変動率=ボラティリティが大きいほど高くなるため、S&P500のボラティリティが高いほどVIXも高くなるという関連性です。ちなみに、オプション価格の算出に使うボラティリティは、過去のボラティリティではなく、将来のボラティリティを市場参加者が予測したものが使われます*1

 

一般に、株価は上昇するときはゆっくりと、下落するときは急激に落ちます。そのため、ボラティリティは下落時のほうが大きくなり、つまり、VIXも相場が下落するときには大きく高まり、相場が落ち着くと小さくなるという傾向にあります。

 

相場が比較的落ち着いている現在、VIXは低下。しかしひとたび相場が荒れると、急上昇して火を吹くというわけです。

直近のVIX動向

相場の荒れ具合を表すVIX。では直近の動向はどうだったのでしょうか?直近3カ月見ると、1月27日の株価大幅下落のときの動きが目を引きます。このとき、ダウ、ナスダック、S&P500の主要3株価は2020年10月以来の下落となり、S&P500は年初来でマイナスに転落しました。VIXは37.21まで急上昇です。

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もう少しさかのぼってみましょう。過去1年で見ると、1年前の3月におきたコロナショックの凄まじさがよく分かります。このときは、3月16日に82.6というリーマンショック並の高さまで上がりました。ここでVIXをショートしていれば、いったいいくら儲かったんだろう? とか思いますが、実際は売り規制が入ったので、両建てで準備していた人以外は儲かっていないと思います。

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  • 2008年9月  リーマン破綻 48.4
  • 2008年10月 リーマンショック 89.53
  • 2015年8月  中国減速懸念 53.29
  • 2018年2月 米国景気悪化懸念 50.3
  • 2020年3月 コロナショック 85.47

ではさらにさかのぼって、コロナ前を見てみます。はい。こちら。コロナショックの凄まじさがよく分かりますが、実はコロナ前は上がっても20、通常は12〜15というのが普通でした。

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当時は「VIXが20まで上がったらショート」というような感覚だったので、最近のように「20まで下がったらロング」という雰囲気とは世界が変わった感じもします。さらにさかのぼって過去5年のVIX推移は次のようになっています。思い出すのは、2018年2月にVIXが特に理由もなく急に29まで上昇した「VIXショック」です。

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このとき、長らくVIXショートを継続していて、相当な利益を稼いでいたのですが、VIXショックに伴って投資先のVIXインバースETNは98%もの暴落となり、大損害を出しました。思い起こしても過去最大級の損失の1つですね。

短期勝負のVIXロング

さてこのような過去を振り返った上で、直近の動向でいえば、VIXはコロナ前の水準まで低下しています。この一週間の下がり方を見ると、驚くほどです。

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ただし、このままVIXが一本調子で下落し続けると考えるのは早計でしょう。必ずしも上がるとは限りませんが、コロナ変異種、アストラゼネカワクチンの血栓問題、米国金融政策のテーパリング見通しなどなど、必ずしも市場は楽観要素だけではないからです。

 

直近の動きを見る限り、20から25へ、また何かがあれば30まで上昇しても全くおかしくありません。そして、メインのポートフォリオが米国株インデックスなので、その暴落リスクをヘッジするという意味も兼ねて、ここはVIXのロングポジションをとってみました。

GMOクリックCFDでVIXロング

使った証券会社と商品は、GMOクリックの米国VIです。米国VIは、VIX先物に連動したCFDで、レバレッジは5倍です。基本的に1カ月先の先物なので、期日が来ると、翌月の先物に乗り換えるロールオーバーが起こります。

 

現在のVIX先物価格は、期先にいくほど価格が高いコンタンゴ状態。つまり、ロールオーバーが起きると差額分の支払いが必要になる状態です。米国VIのロールオーバーは月に1回、前回は3月10日に発生したばかりで、次回は4月14日です。

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コンタンゴ状態ということは、放っておいても徐々に先物価格はVIX値である20に向けて下がっていくわけですが、まぁだいたい4月14日までの1カ月が勝負という感じでしょう。ここまでに何かがおきてVIXが吹けばロングポジションを手仕舞い。そうならなければ、ロスカットという感じです。

 

今回は指値を繰り返し、24.2、24.22、24.1でポジションを建てました。平均すると24.18です。

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ポジション組成後、あれよあれよとさらにVIXは下落して一時は含み損に。そこから再び上昇して、現在は建値前後をうろうろしています。一応、ロスカットは20に入れてあります。

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取引単位10なので、数量1に対して、VIXが1動くと1090円の損益となる感じ。数量200だと20万円です。VIXが5上昇すれば109万円の利益となる感じですね。レバレッジ5倍なので、数量は200ですが、証拠金は100万円程度しか必要ではありません。

 

かなりハイリスクなトレードではありますが、VIXが下がるときは現物が上昇し利益を生み出します。逆にVIXが上がったときは現物が下落して損失が出ているはず。現物の短期保険的な意味あいでロングしたというのが正しいでしょう。

 

ただしオプションを元にした商品なので、ここには時間価値が含まれています。時間が経つにつれてロールオーバーにより真の意味で減価していくため、この1カ月の間にVIXが吹き上がるかどうかというポジションになります。まもなくFOMCもありますし、はてさて、どうなることやら。

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*1:正確には、将来のボラティリティを織り込んでオプション価格が決まるので、オプション価格から将来のボラティリティを計算して導き出すことになります。このため、過去のボラティリティが「ヒストリカルボラティリティ」と呼ばれるのに対し、オプション価格から計算されるボラティリティは「インプライドボラティリティ」と呼ばれます。