FIer: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIerを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

未来を予測したいならSFを読もう

日本企業の経営者でSF好きというのは珍しいと思いますが、海外テック企業の創業者は多くがSFを愛読しています。日本の、特に昭和の経営者が好きなのは歴史物で、これはこれで重要な視点だとは思うのですが、歴史が過去を振り返るのに対し、未来を見通すための物語がSFです。

イーロン・マスクのお勧めするSF

 テスラのイーロン・マスクはけっこうSFが好きなようで、次の本がよく紹介されています。

 銀河ヒッチハイクガイドはコメディの入った古典SFの名作です。

ある日、地球に宇宙船団が飛来し、「銀河ハイウェイ建設工事の立ち退き期限が過ぎたので、工事を開始する」と言って地球を破壊してしまう。数少ない生き残りの地球人アーサーは、その仲間たちと共に宇宙を放浪する。

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というストーリーで、本文中には数々の名言が含まれています。一時は絶版で、幻の名作となっており、ぼくも絶版中に入手したのですが、現在は普通に買えるようでよかったですね!

 

一番有名な名言(?)は、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」とは何か?というものでしょうか。Googleで検索すると、その答が表示されます。

 ファウンデーションは古典SFの大作家アイザック・アシモフの代表作の1つです。「1万2千年続いた銀河帝国の衰退後、新たな第二銀河帝国の核となるべく設立された第一ファウンデーションに関係する人間を中心に描かれた物語」であり、未来史エンターテイメントとしては一級品です。

 

銀河帝国の崩壊を予測しファウンデーションを設立したのは心理歴史学者のハリ・セルダン。この心理歴史学というのは、現実に存在する学問ではありませんが、「未来を数学的手法で予測する」というものです。その具体的な手法は本書内では記されていませんが、ビッグデータを元にしてディープラーニングで未来を予測することに、とても違い概念だと思いませんか?

 

1951年というまだコンピュータの黎明期に、こうしたビジョンを描いた本書は、まさに未来を読み解くSFとしての本領発揮だといえるでしょう。ちなみに、ぼくがファウンデーションシリーズを読んだのは小学生の頃で、この心理歴史学に憧れて、大学では統計分析を使った心理学を学ぶ道に進みました。

 アシモフと並んで、古典御三家と言われるのが、このロバート・A・ハインラインとアーサー・C・クラーク。ハインラインは元軍人でもあり、代表作の1つ「宇宙の戦士」では国家のために戦う姿を描き「右翼」といわれたりもしました。宇宙の戦士は、戦争の馬鹿らしさをパロディとした映画にもなったので、見た人も多いと思います。

 

一方で、こちら「月は無慈悲な夜の女王」は、地球の植民地である月が独立を目指して革命を起こすという内容の本です。1966年に書かれ、社会主義的な色が強くこちらでは「左翼」と呼ばれたりしました。

 

ちなみにハインラインの言葉で一番ぼくが好きなのは、「世界が進歩したのは、怠け者がもっと簡単な方法を探そうとしたからだ」というものです。

 

続いて「異星の客」は、読んだ記憶はあるのですが内容を覚えていません。火星探検隊の遺児の一人が火星人に育てられ、火星的な思想を身につけ、地球に戻って新たな宗教を興すというストーリーです。ぼくが読んだのはおそらく小学生から中学生だったと思うので、宗教というテーマは難しすぎたのかもしれません。

 

異星の客は、ヒッピーの聖典とも呼ばれ、この宗教観が当時の人たちに大きな影響を与えました。スティーブ・ジョブスを始め、当時の先進的な人たちはヒッピー的な人が多かったですものね。

 

ちなみに軽い読み物のほうが好きなら、よくお勧めされるのが「夏への扉」。こちらは思想が色濃く出ているわけでもなくハードなSF考察でもないので、読み物として。

マーク・ザッカーバーグがお勧めするSF

 Facebookのマーク・ザッカーバーグはSF好きで知られます。そもそもが読書好きで、さまざまな本を読んでいますが、SFの筆頭として出てくるのが「エンダーのゲーム」です。2013年に映画にもなったので、知っている人もいると思います。

 

プロフィールにアップしているあたり、かなり好きな一冊なのでしょう。

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 エンダーのゲームは、書けば書くほどネタバレになってしまうので紹介が難しいのですが、ストーリーとしては天才的な少年エンダーの成長物語です。異星人バガーの侵略に備えるため、司令官候補としてわずか6歳でバトル・スクールに入学したエンダーが、どうやって仲間の信頼を得て、成長していくのかが記されます。

 

もともと1987年に出版されたもので、ぼくは出版直後くらいに読みました。マイベストの1つに数えられる一冊です。ところがこちらも絶版となり、さらに訳者が変わって現在は新訳が出ています。ちなみに、短編集「無伴奏ソナタ」には短編版エンダーのゲームが収録されているので、ファンの方はぜひこちらも。

 スティーブ・ジョブスがお勧めするSF

 Apple創業者のスティーブ・ジョブズが挙げてきたSFはかなり暗いですね。1984年は、ジョージ・オーウェルによるディストピア小説です。全体主義国家によって分割統治された恐怖の世界が描かれます。

 

Apple躍進のきっかけとなった初代Macの伝説のCMは、この「1984年」のオマージュとして有名です。


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初代Macが発売されたのはまさに1984年。当時、コンピュータ業界を牛耳っていたのはIBMで、それを全体主義国家の恐怖政治に例え、個人が自由に使えるコンピュータであるMacintoshがそれを打ち破るというCMでした。

 ジェフ・ベゾスがお勧めするSF

 Amazonのジェフ・ベゾスは「デューン」です。残念ながら、ぼくはデューンを読んだことがありません。1984年にデイヴィッド・リンチが映画化しており、それを見たくらい。でも、今年10月に再び映画化されるんですね。ちょっと楽しみです。

 もう一つ、後に出てくるニール・スティーブンスンが書いた「ダイヤモンド・エイジ」を読んで、電子書籍リーダーのKindleの着想を得たとされています。

 

 マーク・アンドリーセンがお勧めするSF

Netscapeの創業者であり、VC投資家としても知られるマーク・アンドリーセンもSF好きです。オルタード・カーボンはNetflixでドラマ化され大人気となったので、知っている人も多そうです。

 

ぼくは2005年の単行本で読みました。まさにサイバーパンクの最新版という感じの一冊。ドラマとは一風変わった趣で、マイベストSFの一つです。

 啓示空間もオルタード・カーボン同様のサイバーパンク版スペースオペラ。1000ページを超える長さが特徴の一つで、それでも息つくことなく読み終えてしまう内容です。内容としてはけっこうハードなSFなので、こういうのが好きな人向けでしょうか。 

個人的には、古典を別にすると好きなスペースオペラは、ヴァーナー・ヴィンジの「遠き神々の炎」シリーズと、 「アッチェレランド」。アッチェレランドは、シンギュラリティ後の世界を前提としたサイバーパンクなので、まさに未来を見通すには向いているかも。同じチャールズ・ストロスが書いた「シンギュラリティ・スカイ」も、シンギュラリティ後の世界がどうなるのか、SFならではの想像力で描きます。

 

ちなみにヴァーナー・ヴィンジは、シンギュラリティの提唱者の一人でもあるので、注目です。

ラリー・ペイジお勧めのSF

 サイバーパンクといえば、1984年にウイリアム・ギブソンが発表した「ニューロマンサー」が草分けと言われていますが、この小説はけっこう難解で、電脳空間三部作は読み通すのがきつい内容でした。

 

一方で1992年に発表されたニール・スティーブンスンの「スノウ・クラッシュ」はポストサイバーパンクとも呼ばれ、近未来のアメリカの様子を描いています。

近未来のアメリカ。世界の技術が均衡しテクノロジーの優位性を無くし、巨大船や巨大気球の安価な輸送で天然資源の強みは無くなった。アメリカ人が誇れるのは、音楽、映画、マイクロコード作り、高速ピザ配達。その国土はバーブクレイヴ(郊外都市国家)と呼ばれる小さな区画で仕切られた「フランチャイズ国家」の集団で分割されている。(Wikipedia)

LinkedINの共同創業者のリード・ホフマン、投資家のピーター・ティールもこの小説が好き。現在40代のハイテク企業の創業者や従業員にとってのバイブルともいえる一冊です。

 ここではラリー・ペイジのお勧めとされていますが、実はサーゲイ・ブリンも「『スノウ・クラッシュ』を通じて、バーチャル・リアリティに関する洞察力を養った」とされています。

 

昨今、仮想世界のことを「メタバース」と呼んだりしますが、この名前を与えたのがまさに「スノウ・クラッシュ」。この小説には、いまや普通に使われるようになった次のような概念が盛り込まれています。

『スノウ・クラッシュ』はモバイル・コンピューティング、バーチャル・リアリティ、ワイヤレス・インターネット、デジタル通貨、スマートフォン、拡張現実ヘッドセットなど、当時の未来的なテクノロジーのサイバーパンク的な探求を描いた画期的な小説だった。

メタバース SFが夢想した次世代ソーシャルメディア

 

ブログを書くために、改めて調べたり思い出したりしながらSFの名著を振り返ってみましたが、アシモフ・クラーク・ハインラインの御三家から、ウイリアム・ギブソンからニール・スティーブンスンに続くサイバーパンク、そしてヴァーナー・ヴィンジとチャールズ・ストロスといったシンギュラリティ小説は、まさに科学とテクノロジーの発展をなぞっているなと感じたりします。まさに、これから世界がテクノロジーでどう変わるかのヒントを得たければ、SFを読むべきだということです。

個人的なお勧めSF

ちなみに、ハードなハードなSFが読みたければ、現在最もお勧めなのは、やはり三体三部作。特に第三部のスケールは圧巻です。これ以上のスケールのハードSFは無かったかもしれません。

三体

三体

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そして、実は「民主主義に対する疑念」という点で共通しているのが、軽い、でも深いスペースオペラである『われらはレギオン』。 

さらに新たな世界の見方を示してくれるという意味で、グレッグ・イーガンも外せません。そこそこ読みやすいという理由で『しあわせの理由』と『宇宙消失』をお勧めしておきます。

 

 そして海外SFだけでなく、未来を見通す上で、最良最高の国内SFの一つが、惜しくも早世してしまった伊藤計劃の『ハーモニー』と『虐殺機関』があります。

テクノロジーが未来をどう変えていくのか。その最先端のビジョンを知りたければ、SFを読むのが一番です。

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