AI企業の筆頭、AIブームにおけるツルハシ製造企業ともいえるNVIDIAの好調が止まりません。8月23日に同社が発表した2023年5-7月期(3Q)の決算は、好調とされていたアナリスト予想をさらに上回る結果となり、株価も反応。アフターマーケットで約9%の上昇となりました。
471ドル→517ドルへ
NVIDIAは生成AIブームに最も追い風を受けた企業です。5月24日に2-4月の決算発表と合わせて翌四半期の見通しを発表したところ、そのあまりの好調っぷりに株価はいきなり27%増加。100Bドル(1兆ドル)企業に到達しました。
その勢いは止まりません。8月23日発表の決算では、アナリスト予想をさらに上回り、売上高は13.5Bドル、利益は6.1Bドルとすさまじい成長となりました。翌Q4の会社予想は16Bドル。売上高も利益も伸びが尋常ではありません。
この業績好調を受けて、株価も一気にジャンプ。終値の471.16ドルから一時517.88ドルと9%超の上昇となりました。
AI学習用チップがひっぱりだこ
好業績の背景にあるのはAI学習ニーズです。最新のサーバ向けGPU「H100」は1枚475万円と言われているだけでなく、在庫が払拭しており確保が困難です。下記の記事にあるように、米テックジャイアンのほか、AIスタートアップのOpenAI、その他にH100は押さえられており、バックオーダーを抱えている模様です。
現在のNVIDIAの急激な事業成長を支えているのが、まさにこのAIニーズ。13.5Bの四半期売上のうち、10.3Bドルはデータセンター向けです。ほかは微妙な循環にあることが分かります。
まさにAIにフォーカスしてきたNVIDIAにとって、ついにやってきたAIブーム。そして、アナリスト予想ではデータセンター事業の売上高は2025年度には40Bまで伸びる見込みです(10Bx4四半期)。
指数を牽引するNVIDIA
急激な事業の躍進により、NVIDIAは米国の株価指数の牽引役にもなりました。現在S&P500に占めるNVIDAの割合は2.9%で、Apple、Microsoft、Amazon、Alphabetに次ぐ5位。TeslaやMetaよりも大きなボリュームです(7/31)。またNASDAQ100においては、4.2%の割合を占めます。
生成AIブームはまだ始まったばかりで、人々が手放せなくなるようなユースケース、キラーアプリケーションはこれからどんどん出てくるでしょう。そのとき、AI開発におけるツルハシであるGPUを販売するNVIDIAの価値は、唯一無二となっていきそうです。