FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

eMAXIS Slimオルカン、信託報酬を半減0.05765%に VTを抜き全世界でも最安?

全世界の株式に投資するeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンが信託報酬の大幅値下げを発表しました。これまでの0.1133%から一気に0.05765%へと、ほぼ半減です。

業界歳低コストの座を維持したオルカン

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、低コストインデックスの王者であるeMAXIS Slimシリーズの中でも、S&P500に投資するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)に次ぐ規模を持つヒット投信です。

 

eMAXIS Slimシリーズ全体では純資産総額(AUM)は5兆円超え、トップの米国株式は2.5兆円、オルカンは1.3兆円と巨大な規模を誇ります。

 

そのオルカンが、信託報酬をほぼ半減させることを発表しました。これまでの0.1133%から一気に0.05765%へと、9月8日から引き下げます。

背景には、日興AMの「Tracers全世界オール・カントリー」と野村AMの「はじめてのNISA ・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」が、ともに0.05775%の信託報酬を打ち出したことにあります。Tracersは商標ライセンスフィーが信託報酬に含まれないとあって、混乱も生じましたが、結局、ライセンスフィーを含む諸費用の上限を抑えることで、総コストを圧縮してきました。

 

こうした低コスト化の流れに対し「業界最低水準のコストを目指し続ける」としているeMAXIS Slimが追随したわけです。結果、最低コストの座を維持することになりました。詳細に計算していませんが、おそらく売買コストやその他費用を入れた総コストでも最安となるでしょう。

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恐ろしいほどの低コスト 全世界で最安か?

今回のコスト引き下げで面白いのは、さまざまな投信の中でも「全世界株式」が飛び抜けて低コストになったことです。下記の通り、これまで最も低コストだった投信はS&P500指数に連動する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)でした。0.09372%です。

 

ところが今回オルカンのコストが0.05765%に引き下げられることで、S&P500インデックスの投信を抜き、圧倒的低コストの投信がここに誕生しました。世界で見ても、全世界株式インデックスの最安値は、これまでバンガードのVTだといわれており、そのExpense Ratioは0.07%。米ETFと国内投信を直接比較はできませんが、今回VTをも下回るコストに到達したともいえます。

 

そもそも投信においては、運用会社の自国の株式のコストが最も下げやすいと言われています。日本でいえば、TOPIXとか日経平均ですね。ところが低コスト投信を求める顧客が全世界株式に集中した結果なのか、TOPIXや日経平均インデックスは信託報酬0.143%なのに、全世界株式のほうは0.05765%だというねじれさえ生まれてしまっています。

信託銀行、ネット証券の取り分よりも少ない運用会社

さらに、そこには運用会社の取り分が極端に小さいという、別の歪みも引き起こしました。

 

信託報酬は関係する3社で分け合います。委託会社と呼ばれる運用会社(この場合は三菱UFJ国際投信)、販売会社と呼ばれる主にネット証券会社(SBI証券とか楽天証券とか)、そして証券の管理を行うのが受託会社と呼ばれる信託銀行です。

 

通常の投信では、受託会社の取り分はわずかで、残りは委託会社と販売会社が折半する場合が多くなっています。例えば公募投信でAUM業界2位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型」を見ると、信託報酬は次のようになっています。

  • 合計 1.727%
    • 委託会社 0.825%
    • 販売会社 0.825%
    • 受託会社 0.077%

対して引き下げ後のオルカンは次のようになります。

  • 合計 0.05765%(引き下げ前 0.1133%)
    • 委託会社 0.01915%(引き下げ前 0.04565%)
    • 販売会社 0.01925%(引き下げ前 0.04565%)
    • 受託会社 0.01925%(引き下げ前 0.022%)

まず受託会社の引き下げ幅はわずかですが、なんと販売会社と同率、委託会社よりも高くなってしまいました。コストの取り分が、信託銀行=ネット証券>運用会社 となるわけで、これはこれですごいことです。

 

ちなみに運用会社の率が一番低いのは、ファンドの純資産総額が増えるに従って、運用会社の取り分だけ、率を引き下げているからです。

 

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