また不思議な優待の導入が発表になりました。ラストワンマイル(9252)は10月13日に、株主優待優待制度の導入を発表。しかも、1株保有で1000円分のギフト券を年に2回進呈するというのです。13日終値からすると、優待利回りは、59%にも達します。
1株以上で1000円分のギフト券
ラストワンマイルの優待制度の概要は次のとおりです。
- 基準期 2月末、8月末
- 2期連続で同一株主番号での保有が確認できること
- 初回優待は2024年2月末(2月29日)
- ギフト券はメールで送付
つまり、以前からラストワンマイルの株を持っている人なら24年2月末まで保有すれば優待権利発生。これから買うという人は、24年2月末の権利日に保有し、24年8月末の権利日まで保有すれば、優待がもらえることになります。
当然ですが、1株でOKなので、利回りを重視するなら1株保有です。100株保有の場合、利回りは20分の1になります。
優待の「ギフト券」ですが、クオカードやAmazonギフト券などを想定しているということです。ただしメールで送るのが前提なので、クオカードPay?でしょうか。
本日IR公開した株主優待の件で、ギフト券の内容について決算説明会で回答予定でしたが、お問合せが殺到しているため、ポストさせていただきますm(_ _)m
— 株式会社ラストワンマイル IR/広報担当 (@LastOneMile9252) 2023年10月13日
現時点では、クオカードやAmazonギフト券等の株主のみなさまが幅広く利用できるギフト券を想定しております。…
株価は急騰
この発表時、ラストワンマイルの株価は3365円。年初は1000円くらいだったので3倍くらいまで上昇していました。
発表後、PTSの夜間取引では一気に4000円まで上昇。週明けの寄付もこのレベルになるのではないかと思われます。
株価が4000円だとしても、1株購入による利回りは50%。かなり美味しい優待ですね。
どの証券会社で買うか
というわけで、急ぎ過ぎもせず株価が落ち着いたタイミングで各名義で1株保有するつもりです。どこで買うのがいいかといえば、端株として1株の手数料も無料化したSBI証券か楽天証券が候補になります。
ただし、楽天の場合、手数料は無料なのですが、売り買いに0.22%のスプレッドが乗ります。株価が4000円だとしたら購入時の価格は4009円、売却時は3991円になり、往復で18円のコストがかかる計算です。
※そしてそもそも楽天ではこの銘柄は端株売買対象外でした
SBI証券は完全無料なので、ここはSBI証券で買っておくのがベターです。ただ、SBI証券で頻繁に取引する人の場合、端株がポートフォリオに混ざってくると見え方が混乱するので、それはちょっといやかも。
東京日産コンピュータシステムの二の舞いになるか?
1株保有で大きめの優待を出すといえば、東京日産コンピュータシステムの例を思い出します。このときは株価560円に対し500円のクオカード優待だったのでよく似ています。
しかし、導入から1年。同社がTOBを受け買収されることを受けて、優待は廃止。10月30日をもって上場も廃止となることになりました。結局1回しか優待はなかったということです。
まぁ端株ホルダーにとってどうだったかというと、600円くらいだった株価はTOBによって1700円まで上昇したので、大成功だったとはいえるでしょう。
いずれにせよ、1株あたり500円の優待出して大丈夫か? と話題にはなりました。同じように、ラストワンマイルもコスト的に大丈夫か? とは思われるわけです。これに対し、同社IR担当は、「優待コストは売上高の0.1%以内。利益計画に与える影響は軽微」だとしています。
株主優待のIRについて、
— 株式会社ラストワンマイル IR/広報担当 (@LastOneMile9252) 2023年10月13日
「1株で優待だして大丈夫?」
「会社の利益大丈夫なの?」
このようなお声をいただいておりますが、
当社としては問題無い範囲であると考えております。…
ちなみにラストワンマイルの前期の売上高は94億2700万円、当期純利益は3億2700万円でした。配当はゼロです。売上高の0.1%は900万円。確かにこれなら利益インパクトは小さそうです。
ただしコスト900万円というのは、作業コストがゼロだと仮定しても、増加株主数の増加は9000人と見込んでいるということです。これはリアリティ、どうでしょう? ちなみに東京日産コンピュータシステムの場合、端株優待発表前の2022年3月時点での株主数は1697人。発表後2023年3月時点での株主は倍増して3400人でした。わずか1703人しか増えていません。7万6575人となっています。
22年3月時の株主数は議決権を持つ単元株ホルダーの人数なので、その当時、端株も含んだ株主がどれだけいたのかは分かりませんが、7万5000人弱も株主が増加しました。単元株保有者は1703人増加しただけなので、端株保有者は最大で7万3300人も増えたということになります。
となると、ラストワンマイルの想定する9000人という株主数増加はかなり甘いとも考えられます。当時よりも端株が買いやすくなったことも踏まえると、その10倍くらいは株主が増えてしまうこともあり得ます。そのときは優待コストは1億円近くにのぼるわけで、その負担を継続できるか、は気になるところです。
※初出で端株を含まない単元株主数で書いていました。訂正します