FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

グレーな節税をエビデンスを整えてシロにする 『社長の賢い節税』

個人には大して節税の技はありませんが、法人を作るとさまざまな手法が利用可能になります。それを知ろうと「社長 節税」みたいなワードで引っかかった書籍をけっこう読んできたつもりだったのですが、このたび最強の一冊に出会いました。『社長の賢い節税』です。

税理士の書いた本は教科書

こうした節税策についての本の多くは、税理士が執筆したものです。そして税理士が書いたものは、いかに法律通りか、を重視したいわゆる教科書的な内容がほとんどです。まぁ気持ちはわかります。悪い言い方をすれば税理士というのは税務署の出先機関みたいなもので、企業が適切に納税するお手伝いをすることが仕事だからです。

税理士は、税の専門家として納税者が自らの所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度の推進の役割を担います。

正しい税金の知識を持ち、正しい納税の意識を身につけていただくために、税理士はその手助けを惜しみません。

税理士とは - 日本税理士会連合会

しかし本書『社長の賢い節税』は一味違います。適切な税申告のためではなく、いかに節税するかを事例とともに紹介しているからです。

世の中は、つねにシロかクロかはっきりさせられることばかりではありません。クロとシロの間には、必ずグレーが存在します。(略)税金に関していえば、社長は、クロに近いグレーをシロにしたいと考えています。

(略)節税策でも、つねにシロの節税策ばかりではありません。グレーな取引は、エビデンス(証拠書類)を整えることで、シロにもっていけばよいのです。しかし、そうしたことをする税理士は、残念ながら少数派です。私は、グレーをシロにするキジでありたいと考えています。

例えば税務署との戦い方

本書には豊富な事例が載っていて、この手の教科書的な本をけっこう読み漁ってきたぼくからすると、よく聞いた話もたくさんあります。ただ、そこから一歩攻めているのが特徴です。口頭では聞いても、なかなか文章の形では見ることが少ない内容です。

 

例えば税務調査が入っても、言うことをそのまま聞く必要はないと著者は説きます。税務調査はつねに法的に正しいことを言っているわけではなく、会社に修正申告をさせるのが目的だからです。

ですので、税務調査で修正申告するようにすすめられても、それに素直に従う必要はないのです。明らかな誤りは別として、税務署の指摘に納得できなければ、「更正決定」をしてもらいましょう。

更生決定とは、税務署が会社の誤りを正すことです。否認の材料集めから証拠固めなどを税務署にしてもらうのです。

(略)したがって、闘う税理士は「更正決定(処分)してください」と言ってくれるのです。

なるほどなるほど。これは確かに経営者が税理士に期待する行動です。ぼくらは税の専門家ではないし、どうすればグレーではなくシロになるのかのノウハウがあるわけでもありません。

 

クロは論外ですが、シロにできるグレーならば、それに越したことはありません。こういう攻めたノウハウ本こそ読みたかった! ちなみに徹頭徹尾、事例を元にグレーをシロにするための解説が載っていて、本当に経営者の目線で書かれているところが素晴らしいです。法律条文とか税金の解説ではなく、こっち側に立った書き方なのです。

こんな内容

実際の内容はぜひ本書を読んでもらうとして、目次の一部を抜粋しておきます。

  1. 社長の手取りを賢く増やす
  2. ファミリーの手取りを賢く増やす
  3. 「戦わずして勝つ、戦っても勝つ」株式買取の賢い方法
  4. 「相続税ゼロ」高額株式の賢い承継
  5. 「会社」と「後継者」を守る高額退職金の賢い実務
  6. ホールディングスを賢く活かす
  7. M&Aで会社を売ることも賢い選択です
  8. 相続税を賢く減らす
  9. もめる「争族」を賢く避ける

ターゲットとしては年商10億などのオーナー企業なので、ぼくのような一人社長企業には重すぎる内容もけっこう含まれています。それでも半分くらいの内容は参考になる感触です。例えば、特損の使い方とか役員賞与のうまい使い方とか、医療費控除の裏技などは個人事業主でも十分に活用できるなぁという感じ。

 

素晴らしい本なのですが、一点、価格だけは高いです。まぁリセールバリューも高いので、もし内容に納得できないなら売却すればほぼ元は取れるでしょう。オススメの本です。