FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

「答え」より「問題」が重要な時代


投資においてもほかの諸々についても、新しいことを学ぶのが好きです。そういえば、たまに「どうやって勉強してるんですか?」と聞かれることがあって、そのときは「ネットとか本とかから」とテキトーな答えをしてしまったので、ぼくの最新の学びプロセスを、ご紹介したいと思います。

すべては問題意識から始まる

世の中にはいろいろ学ぶに値するものがあるわけですが、ぼくが最も大事にしている起点は問題意識です。というより、そこに問題があることに気付ければ、あとはその解決法を探すだけ。重要なのは、何が問題なのかを把握することです。

 

そういえばアインシュタインも「「私は地球を救うために1時間の時間を与えられたとしたら、55 分を問題の定義に使い、5分を解決策の策定に使うだろう」といったという逸話がありますね*1

 

昨今は解決法よりも問題のほうが不足していて、正しく問題を定義できる人の価値が増しています。さらにいえば、問題がないところに問題を作れる人が最良です。これはドラッカーがいう新たな市場を作るようなものです。

 

投資でいえば「最良の投資法は?」みたいなビッグイシューだと、そのままでは適切な解がないので、問題を分割します。例えば「S&P500とオルカンならどっちに投資するのがいいか」「リスクを落とすには現金を追加するのが良いか債券が良いか」などです。

 

最近のブログから例を挙げると「給与振込扱いにできるネットバンクは」という記事は、「給与を受け取ればポイントがもらえるが、どうやったら給与を振り込めるのか?」という問題意識から生まれました。会社に言って振込先を変えてもらうじゃダメです。どうして自分で振り込んだんじゃ給与にならないのに、会社が振り込むと給与になるのかを解き明かす必要があるからです。

 

「”金融所得で社会保険料増”を試算する 影響を受けるのはだれ?」という記事は、時事問題そのものです。ストレートニュースに対して、誰が影響を受けるのかという問題を深堀りしてみました。

問題をどこから見つけてくるか

では問題はどこから見つけてくるのでしょうか。僕の場合は大きく3つのソースからになります。

 

一つはXなどのSNSやネットニュースです。時事的な問題だけでなく、誰かがふとした疑問をつぶやいている、それが問題に直結します。例えば下記とかは、どうしたら金融所得を総合課税化できるのか?という問題に対して、「源泉徴収はよくできた制度なんで廃止は考えにくい」というポストから、発想したものです。

 

2つ目は書籍です。書籍は問題解決のために読む場合もありますが、多くの場合問題を発見するために読みます。小説以外の書籍の構成は、著者が「問題を提起する」「その解決法を提示する」という形で進みます。解決法は解決法で面白いのですが、こんなことが問題になっていたんだ!という問題提起のほうが実は貴重です。

 

昨日読んだ下記の本『人はどう死ぬのか』では、「実は死ぬ間際の人は過剰治療で苦しんでいてかつそのタイミングの延命医療はほとんど意味がない」という問題が語られています。解決法も書かれてはいますが、これが社会的な問題であるということを知れたことが最大の収穫です。

 

3つ目は人から聞くことです。別に投資の専門家から投資の話を聞く必要はなく、全然別のジャンルの話を聞くことで、投資につながることはよくあります。ポイントは、テレビで見たようなことを受け売りで話しているのか、それとも実体験に基づいて話しているのかを見分けることです。

 

仕事で実際に関わった話、自分で購入して使っているモノの話、手を動かしてやっていることの話。これらはどんなジャンルの話でもたいへん聞く価値があります。重要なのは、そこに解決策を求めるのではなく、問題点を見つけることです。

答えは簡単に見つかる時代になった

一昔前であれば、与えられた問題を解ける人が優秀な人でした。テストに正答できることが大事だったのです。でも、今や真に重要なのは、問題を提示する人のほうです。それを解くことは比較的簡単になったからです。

 

一つは言うまでもなくネットと検索です。これであらかたの問題に対しては答えが見つかってしまいます。敢えていうなら、ネットは孫引き情報も多いので、できるだけ原典に当たるとか、複数の研究をまとめたメタ研究をチェックするとか、そういうことがが大事になります。

 

そしてこの1年、飛躍的に進歩したAIです。AIには得意な分野と不得意な分野がありますが、答えを見つけるに当たって、実は最も得意なのが自然科学分野です。何が素晴らしいかというと、正答が確定している問題については誤りなく学習している上に、それをさまざまなレベルで教えてくれることです。

 

例えば、フーコーの振り子の回転数は緯度によって変化します。この理由はなぜか?そしてなぜ 回転数=sin(緯度)の関係が成り立つのか。これを理解するには、けっこう幅広い知識が必要で、検索結果だけで理解するのは容易ではありません。でもChatGPTのようなLLMなら、指定のレベル感で、わからないところを質問しながら、これを説明してくれるのです。

 

法解釈とか文系の学問は苦手だし、数学の込み入った論理もLLMは苦手です。ただコードを書かせてモンテカルロシミュレーションをするなんてことは、とんでもなく簡単になりました。また独自のコンテンツを読み込ませて、第二の脳的に使う方法も現実的になってきました*2

 

というわけで今や、答えを見つけることではなく、問題自体を見つけることが重要。そして答えを学ぶのではなく、問題を見つける行為自体が学習なわけです。そんなわけで、「問題」を見つけるためにいろいろなものに触れ続けていきたいと思います。

www.kuzyofire.com

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*1:偉人の名言にはよくあることですが、調査によるとこれをアインシュタインが言ったというエビデンスはないようです。

*2:例えば、ぼくのブログのテキストをfew-shot学習用のデータとして読み込ませた上で、「ETFの活用法は?」みたいに聞けば、ブログの内容を元に解説してくれます。もう少し読み込みサイズが大きくなったり、few-shotではなく簡単にファインチューニングができるようになったら、僕のアウトプット内容を僕よりも知っている存在になるでしょう。