FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

投資の為替リスクをヘッジする3つの方法

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世界への分散投資をしようと考えた場合、常にネックになるのは為替リスクです。例えば、米国株で10%のリターンが出ても、10%円高になれば相殺され、円建ではリターンがゼロになってしまいます。今回は、どうしたら為替リスクをヘッジ(なくす)ことができるか考えます。

 

 

円建投資信託やETFを買っても為替はヘッジできない

まず前提として、日本の証券会社で円建ての投資信託やETFを購入しても、為替リスクはついて回ります。これは、その投資信託がドルを買い付けてドル建てで米国の企業に投資するからです。解約時は、株式を売ってドルを得、そのドルを円に変えるので為替の影響を受けてしまいます*1

 

そのため、明確に「為替ヘッジあり」と書いてない限り、裏側の見えないところで為替の影響を受けていると考えられます。

機関投資家の為替ヘッジは為替先物

ネットで為替ヘッジとして検索するとすぐに出てくるのが、為替の先物です。これは未来の為替先物を予約して、取引の為替レートを固定する方法です。為替のフォワード取引などとも呼ばれ、貿易の世界ではよく使われます。

 

またフォワード取引は相手と期間やレートを相談する相対取引になりますが、取引所で先物を取引するのはフューチャー取引と呼ばれるようです。

 

ただこれらの方法はあまり個人投資家には一般的ではないですね。

FXを使った為替ヘッジ

個人でも行える為替ヘッジは、FXを使うものです。ドルを例に取ると、投資額と同額のドルをFXで売建しておきます。すると、投資額が為替の影響を受けたのをちょうど相殺するかたちで、FXのポジションが動きます。

 

この方法のコストは3つあります。1つは証拠金が固定されること。2つ目は取引に実質的な手数料となるスプレッドがかかること。そして3つ目は実質的な金利であるスワップポイントがかかることです。

 

具体的な計算は下記に書きましたが、いくつか補足します。

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まず、スワップポイントは二国間の金利差で決まってくるため、米ドルのほうが金利が高い状況ではコストになりますが、日本よりも金利が低い通貨に対してヘッジを行うと、スワップポイントを受け取る形になります。ヘッジを行うことで利益が出る形です。

 

また上記の記事でも書きましたが、必ずしも為替はフルヘッジする必要はなく、コストとのバランスで一定部分をヘッジしたほうが有効だということです。これは覚えておきたいですね。

CFDを使った為替ヘッジ

もう一つの方法は、CFDを使って海外通貨建て資産に投資することです。意外に知られていませんが、CFDのような差金決済は実質的に為替がヘッジされます。

 

CFDは、証拠金を差し入れることで、買値と売値の差額分を利益や損失として受け取る取引になります。買値と売値は、例えばNYダウならばダウの指数を使うので、為替がどう変化しても影響しません。つまり、元本に相当する部分は為替がヘッジされていることになります。

 

ただし、利益分や損失分はドルを円換算して計算するので、為替リスクを受けます。例えば、くりっく365株のNYダウは現在2万6419ポイントとなっていますが、これが+100ポイントとなった場合、100ポイント✕為替レートだけ円建の利益になります。つまり、損益と配当相当額だけが為替リスクを負う形ですね。

 

なお、必要な証拠金の額は為替変動によって変化しますし、元本相当部分は借り入れることと同義なので、為替リスクの代わりに金利が発生します。これが実質的に為替ヘッジコストだといえます。

 

また先物も差金決済なので、実質的に元本部分は為替ヘッジされていると考えていいでしょう。

通貨オプションを使った為替ヘッジ

さらに、通貨オプションを使って為替ヘッジを行う方法もあります。例えば、1万ドル分の投資をしている場合、円高に為替が動くと為替分の損失を被ることになります。そこで、1万ドル分のプットオプションを買っておくとどうなるでしょう?

 

プットオプションは指定した価格で買える権利ですので、価格が下がった時には利益となります。必ずしも指定した価格に達しなくても、プレミアム価格が変動するので、持っているプットオプションを売却すれば利益が得られます。

 

一方で、指定した価格よりも上がった場合は、権利を放棄すれば、損失は購入時にかかったプレミアム代金だけで済みます。この場合、円安になっているということなので、1万ドルの資産も為替面で利益が出ているので、資産全体としては利益になります。

 

つまり、円高になったらリスクがヘッジされ、円安になったらプラスになる。こんな美味しい話はないわけで、その分のプレミアム代金支払が最初に発生します。確率的には(手数料やスプレッドを除くと)ニュートラルなわけです。

 

FXを使ったヘッジに比べると、オプション買いでは証拠金が発生しないので、資本コストも含めると比較的コストを抑えられる可能性もあります。

 

ただし、円安になった場合は利益が出てしまうので、その分のコストとしてプレミアムが支払われています。つまり期待値としてはヘッジされていますが、為替の影響が無関係とは言えません。

 

カラー取引

そこで、プットオプションを買うと共に、コールオプションを売っておく方法が考えられます。いわゆるカラー取引です。

 

損益曲線としては、為替が円高になってもフラット、円安になってもフラットという形になります。さらに、コールオプションの売却益を、プットオプションの購入費に充てられるので、必要なコストも下げられます。

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ストライクプライスをいくらに設定するかで、かかるコストを増減させたり、ある程度為替の影響を受ける代わりにコストを下げるということも可能でしょう。

 

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*1:ドルを例にしましたが、英国企業に投資する場合はポンドの、新興国に投資する場合はその国の通貨の為替リスクを負います