FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

株を売らずに利益を確定させるカラー取引とは NVIDIAでソフトバンクが行ったこと

今日、ソフトバンクが投資しているNVIDIAの株を売却する方針だという記事が出ていました。NVIDIAは、ディープラーニングと仮想通貨マイニング需要に乗って急速に業績を伸ばし、一時は300ドル近くまで株価が上昇しましたが、今後の業績鈍化の見通しによって大きく売られていました。

www.bloomberg.co.jp

 

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この記事で気になったのは、ソフトバンクがNVIDIA株で「カラー取引」を行っていたと書いてあることです。このカラー取引とは何なのでしょうか?

2020年9月に話題になったソフトバンクGのオプション取引「ブル・コール・スプレッド」について考察してみました。

現物株+オプション取引の組み合わせ

カラー取引とは、現物株とオプション取引の組み合わせです。初めて聞いた形だったのでちょっと調べてみました。オプション取引とは、「将来買う権利」=コール と、「将来売る権利」=プット の組み合わせによって、損益曲線を変化させるものです。また、うまく組み合わせると、値動きに関係なく、ボラティリティでも利益を出すことができます。

 

カラー取引とは、カバードコール(現物株+コールの売り)にプット買いを組み合わせたものでした。言葉で説明すると、現物株は上がれば利益、下がれは損失です。コールの売りは、一定価格で買う権利を売るので、一定以上の価格(ストライクプライス)になると損失が出ますが、その代わりに権利の売却益(プレミアム)を受け取れます。この2つを組み合わせたカバードコールは、株価の上昇益を諦める代わりにプレミアムを受け取るというポジションになります。株価が上昇しなくても一定の利益を確保できますが、株価が下落すると損失が出ます。

kuzyo.hatenablog.com

一方で、プットの買いは一定の株価で買う権利を買うことを意味します。通常は現在の株価よりも低い値段を設定するので、もしそれ以上に株価が下落したらお得となります。株価下落によって利益が出るポジションです。その代りに、一定のプレミアムを払います。

 

この2つを組み合わせると、株価上昇による利益はないがプレミアムが受け取れる(カバードコール)、株価下落によって利益が出るがプレミアムを支払う(プット買い)という状況になります。図にするとこんな感じです。

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ストライクプライスの設定にもよりますが、概念的には、株価が下がっても損失は固定、株価が上がっても利益は固定のポジションです。そして、プット買いのプレミアム支払いをコール売りのプレミアム受け取りで相殺できます。

 

つまりソフトバンクはNVIDIA株の継続的な上昇が難しいと判断した時点で、株式を売却せずに利益をある程度確定させたということです。

 

ただし上記の図は概念図なので、オプションの取引量やストライクプライスを調整したり、コール/プット間での価格の歪みをつくことで、カーブはコントロールできるはずです。

 

ソフトバンクほどの株式量を保有すると、売却行為自体が株価に影響を及ぼします。それを考えると、オプションを組み合わせて利益を確定するというのは、大規模な投資においてセオリーのひとつなのかもしれません。

 

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